
上野駅の公園口で待ち合わせ。
改札向かいの東京文化会館は、
改修工事のため休館中。
まだまだ眩しい陽射しに照らされつつ、
動物園方向へとのんびりと歩きます。
沢山のテラス席のあるスタバを横目にし乍ら進むと、
藝大の学生らしき若者たちが、
手作りした小物なぞを売っている。
その先、藝大美術学部の構内を門から覗けば、
力強く勇壮な造形の手作り神輿が目を惹いている。
藝祭と呼ばれる文化祭が盛り上がりはじめている頃みたい。
成る程、そんじょそこいらの学園祭とはちと違う、
クリエイティビティを想わせるものでありますね。
藝大の敷地を離れて、言問通りの上野桜木の信号に出て、
交叉点の角にある「カヤバ珈琲」の佇まいをいいねと眺める。
古民家をリノベーションしたカフェのひとつとして有名みたい。
「カヤバ珈琲」のかき氷、「谷中ジンジャー」に後ろ髪を引かれつつ、
ほんのもう少し足を伸ばします。
そこに現れたのは、これまたなんとも素敵な佇まい。

檸檬色の帯に大きく描いた文字は、「愛玉子」。
冬瓜绿のストライプの軒先テントがいい表情だ。
古びたペンキ塗りの硝子戸も、
その前に下げた暖簾と「喫茶」の文字の味わいもいい。
こんにちは、を戸を引いた店内もなかなかの風情。

右手の背凭れの高いボックスシートにお邪魔しましょう。

木目化粧合板の壁に貼られたメニューは、
これまたなんとも味のある手書き文字。
そして、卓上の懐かしきカードケースに入ったメニューも癖のある手書き文字。
角の千切れた、雑誌の切り抜きが貼り込んであります。
「チーウィスキー」「チーワイン」なんかも気になりますが(笑)、
ここはやっぱり「オーギョーチー」でしょうね。
二代目さんなのでしょうか、お兄さんが運んでくれた硝子の器に瞠目する。

なんとも鮮やかな檸檬色。
都立大学の「Hibusuma」でいただいた以来の「愛玉子」だ。
どれどれと、掬ったスプーンを口にすると、
つるりん!と口元を滑って、シロップのレモン風味とそれ相応の甘さが追い駆ける。
その、つるりん!がなんとも涼やかで、いいですなぁ。
食感は、みつまめなんかの賽の目の寒天のそれに近く、
やや大きめやや柔らかめゼリー寄りといったところでしょうか。
寒天質そのものに味があるというよりは、シロップとセットで愉しむもののよう。



壁の額には、「愛玉子」の効能書きを掲げてる。
「愛玉子」とは、台湾の高山植物で、
新高山(現玉山、海軍の暗号電文「ニイタカヤマノボレ一二〇八」のニイタカヤマ)の、
山麓あたりに密生するものらしい。
瓜のような無花果のような、
その果実を裏返すと粟粒みたいな種子のツブツブが外側に出て、
それをナイフでこそぎ落とし、さらしに入れて、カルシウムを含む硬水の中で揉む。
すると、種子に多く含むペクチン質によって寒天状に固まるという。
黄色いのはやはり、主として檸檬のシロップの色のようだ。
冷やして美味しい「愛玉子」は、
彼の地台湾の屋台なぞで今も、庶民の味として親しまれているようです。
台湾の、そして谷中の夏の風物詩、愛玉子の専門店、
その名もそのまま「愛玉子(おーぎょーちい)」。

「愛玉子」は、台湾語で「オーギョーチ」。
昭和9年(1934年)の創業とも云われる「愛玉子」だけど、
雑誌の切抜きには、大正2年から「愛玉子」を売っていたが、
戦時には原料が入らなくなり、その後昭和54年に復活、とある。
今の建物は、いつ頃のものなのかなぁ。
谷中散策の休憩処として、他の古民家カフェに負けない風情を想います。
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「愛玉子」
台東区上野桜木2-11-8 [Map] 03-3821-5375
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