八割の入りの店内は、今もって軽井沢定番のお昼処であることを印象づける。テーブルから見上げる、厨房の上の写真には、例えば若かりし頃の裕次郎がいる。 隣では、昼にしてすっかり出来上がっちゃた兄ちゃんが新幹線の時間なんか気にせずに呑むんだと駄々を捏ねている(笑)。 お銚子をいただきましょう。
安っぽい燗酒にはワサビを添えたきつねのお皿。 甘く煮立てた油揚げに忽ち、ゆるゆるとした気分になってきます。 野沢菜あたりだと気が利いた感じになるのだけどとも思うお新香は、 キャベツの浅漬け。 でもこれがずっと「かぎもとや」のスタイル。 これだけで、お銚子を何本もお代わりしちゃうヒトも少なくないかもしれません。
今日は蕎麦打つ様子は見られないかなぁと厨房の方を眺めつつ、 ざるそばに天ぷら、けんちん汁のつく「もみじセット」をお願いしました。 笊に載るやや幅広のそばは、変わらぬ黒っぽい色合いの。 繊細かつ洗練の蕎麦とはやっぱり対極にありそうな蕎麦だと思わせるその表情は、 惹きぐるみのそば粉を大胆に繋いでいる様子に映る。丸抜きの蕎麦の仄かな甘さみたいなものではなくて、 外皮が齎すであろう日向くさい野趣が「かぎもとや」のおそばの個性なのであります。
宿場町沓掛(くつかけ)に「かぎもとや」が創業したのは、明治三年のこと。「かぎもとや」は、”鍵本屋”。 Webサイトには、「鍵本の名は、本陣の鍵を預かっていたことから由来し、如何に、お上に信用があったかが伺われる。」とある。 往時の宿場町としての賑わいの残り香に唯一触れられるお店なのかもしれません。
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「かぎもとや」中軽井沢本店 長野県北佐久郡軽井沢町長倉3041-1 [Map] 0267-45-5208 http://www.kagimotoya.co.jp/
column/03178
こんにちは。最近は、ご無沙汰な軽井沢ですが、、、いつも寄ってましたね、、、定番です。特に、どうってことない蕎麦屋ですが、毎回寄るっていう場所があって、同じ空間と時間を味わえるっていうのが、好きなんだと痛感できる場所かと、、、。
Re:桃猫さま
こんにちはー。
そうなんです、どうってことない蕎麦屋なんです。
積み重ねてきた時間にちょっと誘われる、ってな感じでしょうか。
旨いかどうか、って訊いちゃいけません、、、(笑)。