
西武線にすっかり馴染んでいても、
離れ小島のようになっている武蔵境と是政を結ぶ多摩川線に乗ったのは、多磨霊園に赴いた際の一度しかない。
そして、萩山と国分寺を結ぶ多摩湖線となると、多分一度も利用したことがないと記憶する。
そんな西武多摩湖線沿線へと武蔵野うどんを求めてやってきました。
国分寺からひとつめの駅にあたる、一橋学園駅の南口からマクドナルドの脇の道を一橋大のキャンパス方向へとしばらく。
駐車スペースの向こうに「むぎきり」と示す潔く白い暖簾が下がっていました。
入ってすぐ左手に小上がりがあり、正面にテーブル席。
お昼どきの店内は、なかなかに賑わっています。
どっしりとしたテーブルの隅に案内されて、視線の先には硝子で囲んだ麺打ち場。

その前に置いたテーブルには、
群馬産の切り干し大根や群馬赤城山麓の大豆を使った味噌、
群馬産の地粉を使ったすいとんなど、
群馬由来の産物が並べられています。

さて、お品書きの「手打ちうどん」のところを探してみましょう。
武蔵野うどんなのかな?とも思う「肉うどん」は、
温かいかけ汁にお肉トッピングのどんぶりで、所謂武蔵野うどんではない。
“温肉汁”と示した「あったかつけめん」がターゲットです。
禁煙指定が嬉しいなぁと思いつつ、
厨房や麺打ち場、その向うの湯殿前を行き来するご主人の姿をなんとなく眺めながら、
出来上がりまでのひと時を過ごします。
塗りの捏ね鉢に黄色みがかったうどんがたおやかに。

三つ葉をあしらったつけ汁もたっぷりとしています。

実は、豚バラが泳いでだらしなく脂の浮いたようなつけ汁が好みなのだけど、
こちらの肉汁はその点やや品よく仕立てている感じ。
水でしめ、水を切ったばかりのうどんが煌めくようにしているところを、
そのまま掴み上げて噛んでみる。

おおお、これぞ粉の風味が喉と鼻腔あたりを気持ちよく擽ってくる。
これもやっぱり、群馬の地粉なのでしょか。
どれどれと改めてうどんを引っ掴んで、肉汁に浸していただきます。
出汁の安定して、甘過ぎず、辛過ぎず。

こっそりと人参なんかの”糧”も肉汁に仕込んである。
その汁が骨太な風味と食べ応えのうどんによく馴染んでくる。
うんうん、いいね、いいね。
ご主人なりの解釈の中に、正統派武蔵野うどんの気概がどっしりとある模様。
ありがとう、美味しくいただきました。
小平は一橋学園駅最寄りの武蔵野うどん処、その名も「むぎきり」。

箸袋に描かれた麦穂イラストの筆致も素朴にして小粋な表現。
生うどんをお土産にして帰りましょう。
「むぎきり」
小平市学園西町1-26-26
[Map] 042-344-5151
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