
何度も何度もその前を通りながら、
一度も訪ねたことのないお店って意外と多いよね。
新大橋通り沿いに板張りのファサードをみせている韓国料理のお店もそのひとつ。
店頭の写真メニューたちが、どうもちょっとあざとく映ったせいなのかもしれません。
それでもこう、昼なお冷える日が続くとなると、
“石焼き”なんて言葉の響きの誘惑にふらふらと扉を開いてしまいます。
店内は、湯気の上がる厨房をフロアの真ん中に据えて、
その周りをカウンターがぐるっと囲むレイアウト。
奥にはテーブル席もあるようです。
窓側のカウンター席に案内されて、改めメニューを眺めます。
ぐつぐつチゲも勿論気になるものの、まずはここからと「石焼ピビンパ」。
やや油に汚れた硝子越しの厨房では、忙しなく鍋を揺すったり、
石焼きの器をコンロにかけたりしている。
大変だろうけど、硝子周りやそのすぐ内側は一番目に留まり易いので、
できれば日々磨いて欲しいなぁなんて思います。

器は熱いのでお気をつけください。
そうちゃんと注意を受けていたのに、思わず掌の隅が触れて、あちち、となる。
いや、ほんとに熱々です。

なので、タイミングを逃しちゃいけないと、早速スプーンを取り出して、具材とご飯を混ぜ合わせます。

ジュジジと鳴るのを確かめ確かめ、器の肌にやや押し付けるように、ね。
混ぜていると口の中にだんだん涎が溜まってくる(笑)。
ちょっと慌てて、いただきましょう。
コチュジャンかテンジャンか、おこげを交えたご飯は赤味を帯びているのだけれど、辛さよりも甘さが味わいの芯にあって、それを辛さが引き立てている感じ。

それが、嫌味なく旨い、という印象に真っ直ぐ結びつく。
うん、いいね。
これまたよくよく掻き混ぜ掻き混ぜいただく「石焼きユッケピビンパ」の他にも、「石焼き明太子ピビンパ」や「石焼きカルビピビンパ」なんてメニューもある。

「ピビンパ」、「ビビンバ」、「ピビンバ」……。
店によりちょっとづつ違う表記に出くわしている気もするのだけど、どれが正しいのだろう。
原音に近く「混ぜ飯」をカタカナで書くと、「ピビムパプ」になる、らしい。
今日も冷えてるなぁという、別のお昼どき。
思い切り温まってしまおうと、気になっていたチゲのランチを。
「五湯道」冬のランチメニューに双璧として並んでいるのが、
「プデチゲ」と「熱辛チゲラーメン」。
訊けば、「プデチゲ」というのは、具材にソーセージやスパムを使い、麺がインスタントラーメンであるところが特徴だという。
「チゲラーメン」の方は、生麺で、辛さはやや抑え目だ。
スゲー辛くても困る(笑)ので、「熱辛チゲラーメン」をお願いしましょう。

周囲のオーダーを何気に聞いていると、「熱辛チゲラーメン」の人気が高い。
コンロにどんどん載せられる石焼き器の多くがそれ用みたいだ。
湯気を立ててやってきた黒々石焼きの器では、スープが激しく沸き立っている。

それを構わず、箸の先を突っ込んで掻き回すと、解れる玉子の黄身白身と一緒に縮れた麺が顔を出す。
取り皿に受けて、スープを注いで、ふーふーして、湯気に顔を浸すように啜ります。
ああ、「ピビンパ」の時と同じ、甘さと辛さの主従バランスがここにもある。
辛いけれど、ささくれ立ったような厭な辛さでなく、円い辛さ。
そしてやっぱり旨さの真ん中にどこかとろんとしたよな甘さがある。
どうやら、自慢の特製薬味「ヤンニョム」、っていう合わせ調味料がキモらしい。
ちょっと感心したのは、ぐつぐつの灼熱中にあった生の麺。


溶けたり弛んだり伸びたりすることなく、平気な顔して歯応えを主張する。
ぐつぐつの中でやっとちょうどいい具合の硬さになってるような気もするけど、どういう配合でどうやって仕立てりゃ、こんな麺つくれるのだろうね。

ランチのサービスでつけてくれる小ライスを残りのスープに投入するのはもう、お約束。
その頃にはもう、あちこちから汗が滴って、大変なことになっている。
洟水が出てないのが辛うじての救いだ(笑)。
「チゲラーメン」は、ピビンパやクッパなんかとの「ハーフ&ハーフ」なんてこともできるみたいですよ。
美医食同源を謳う、韓国料理の「五湯道(おたんどん)」。

韓国宮廷料理として食された「五湯十二蝶」のスープ、というのがその名の由来らしい。
丸の内のPCPビルや品川港南のNTTデータビル、広尾の駒沢通り沿いとかにも店舗がある模様。
八丁堀の焼肉「梨の家」とも同系列なのだね。
口関連記事:
KOREAN CUISINE「梨の家」で 藻塩ちょんのもち豚カルビランチ(07年08月)
「五湯道」八丁堀店
中央区新富1-17-4
[Map] 03-3552-5219
http://www.a-team.co.jp/otandon/
column/03074