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インドカリー「夢屋」で ひき肉カリーにマサラにビリヤニのあっさり
浅草寺の横手を往く馬道通り。
左に折れれば、伝法院通り。
その入口の門構えに寄り添うようにあるのが、インドカリー「夢屋」です。
黄色い看板に誘われるように入る店内は、小ぢんまり。
カウンターの隅に座って眺める厨房には、コの字の取っ手をつけた円盤で蓋をしたタンドリーが覗ける。
脇の壁には、フェンネル、ミント、コリアンダーなどなどのスパイスの小瓶が並べられています。
まずは「チキンひき肉カリー」。
「辛さは?」と訊かれて、基準が判らないので「ちょびっと辛めで」と応えます。
15分ほどかかるという「タンドリーチキン」も2ピースでお願いします。
コック帽のマスターが判ったようなそうでもないような曖昧な表情でふんふんとして、手を動かす。
あ、いや、その、あんまり辛くしないでね(笑)。
手渡されたライスの真ん中にさり気なく載っているのは、クローブか。
炊いてから一度洗ったかのようにツルンとベタツキのない、仄かなスパイスライスだ。
そしてカレーはさらさらというか、シャバシャバというか。
とろみは野菜由来がちょっと、という風情で、そこに鶏ひき肉がほろほろと混じる。
懸念に反して(笑)、辛過ぎることはないけれど、辛味が浮ついているというか、旨味と乖離していて、首を傾げたくなる感じ。う~む。
焼き上がった「タンドリーチキン」を齧りながらカレーを口にすると、なにかがちょっと満たされた気分になった。
それでは、「マサラ」はどう違うのだろうと別の夜。
「マトンマサラ」をやや辛の「ナン」でお願いする。
そうか、辛さは、中辛、やや辛、辛口、激辛の4段階から選ぶようになってたのだね(汗)。
10分ちょっと過ぎた頃になって、マスターから「あ、マトンマサラねー」と声が掛かる。
出来たのだと思って振る向くと、「いやぁ、お仕舞いなンです」と。
思わず大きくズッコケたポーズをとって、「随分と間がありますねー」と苦笑い。
気を取り直して、改め「チキンマサラ」に。
んー、マスターのすっとぼけキャラは、本物なのかも(笑)。
「カリー」に比べると、やや粘度のある「マサラ」。
対比が面白いかというとそうでもなくて、「カリー」に野菜のコクをちょっと増したような仕立て。焼き立てのナンは、厚みのある縁の辺りがモチッとして香ばしく、いい。
溶かしバターなどを使っていなそうな素朴な風味は、冷めるほどにパサッとしてくるので、急いで急いで食べなくちゃ。
無理やり辛さを外して考えてみると、とてもあっさりした、良く云えば優しい味わいが「夢屋」のカレーなのかもしれないなぁなんて思ったりする。
「夢屋」には、「ビリヤニ」というインド風ピラフもある。
チキン、エビ、マトンの三種類。
エビを選んで、受け取るお皿。スパイスの風味がふんわりと香りつつも刺激は控えめで、同時に旨味やシズルもどちらかというと控えめなエビピラフ。
うん、これもあっさりだ。
スパイスの風味のために、美味しさの根っこが希薄になってたら本末転倒なような気もするのだけど、どうだろう。
浅草伝法院通りのカリー「夢屋」。コックコート姿のマスターの風貌がなんとなく、ご近所「大宮」のシェフのイメージとダブるのは、ボクだけでしょうか(笑)。
浅草でカレーといえば、そうだね、「DUO」の店主が急逝してからもう一年が過ぎました。
「夢屋」 台東区浅草1-35-8 [Map] 03-3841-1681