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札幌ラーメン「どさん子」で ブーム懐かしや哀愁の味噌ラーメン
すっかり黒く煤けた赤いテントと郷愁を誘うような丸い提燈型の灯りの並び。
遠く北の地の町角にいるような錯覚を一瞬覚えるのは、
急に冷え込んだ夜風の所為か。
荏原町改札前の「どさん子」を眺めながら思うのは、
札幌ラーメンが一世を風靡したのはいつ頃のことだったけかな、ってこと。
湯気に曇った硝子越しに、先客の影が見える。
ちょっと寄ってみましょうか。色褪せた丸椅子の並ぶカウンターの真ん中に腰を降ろして、辺りをきょろきょろ。
見上げる頭上のアクリルプレートには、味噌、塩、正油にコーン、バターのトッピング。
餃子にワンタン、半チャーハンもあるけれど、懐かしいままの札幌ラーメンの構えを残してくれてる。
やっぱり味噌からかな、と「味噌ラーメン」をお願いします。
実直そうな大将がコクンと頷いて、両手に包んだ麺を湯殿へ滑り込ませます。
生まれて初めて感激しながら啜ったラーメンは妙に覚えていて、
それは所沢駅前通りにあった「博多屋」というお店。
一階で今川焼きを売ってるようなお店だったのだけど、二階でラーメンが食べられた。
味噌仕立てで、北京鍋でモヤシと挽肉を炒めたトッピングで、ニンニクと生姜の利いた気持ちよくコクのあるスープが堪らなかった。
記憶に間違いがなければ、それを札幌ラーメンと称していたンじゃないかな。
それは叶うなら、今でも食べたい。
そんなことをふと思い出しながらドンブリを迎えました。のせてもらったバターも効果なく、化調を使いながらスープはあくまでもあっさりとして、力感のある装いではない。
そう思うのは、ラーメンを食べ歩くことになる起源の味に想いを馳せていたからかもしれない。
いつの間にか強い味、濃い旨味、脂の甘さ、多層的風味が当たり前になっていることに気づかせる。
懐かしさが微笑ましく思えればそれもまたいいのだけれど、どこか哀愁漂う感じになっちゃうのが切なくもあり。
改めて同じカウンターの真ん中に陣取って、「野菜ラーメン」。
仕込んだスープが同じであれば、印象が同じなのは自然なこと。
大将の丁寧な所作を眺めていると、
ずっと変わらぬ味を守ってきたのだなぁとそんな感慨も沸いてくる。
当初、フランチャイズ店に与えられたレシピから我流への舵は切ってないのだろう、と。
ブーム懐かしやの札幌ラーメン「どさん子」の一店、荏原町。訊けば、開店から遥か35年ほどになるという。
ずっとこの駅前にある、その歴史は讃えなければいけませんね。
「どさん子」 品川区中延5-2-2 [Map] 03-3785-8071
いいですね~。たまりません。僕のラーメン食べ歩きは味噌ラーメンブームの後だったんでしょうね~。ちょっと昔を思い出す感じで食べてみたいです。
Re;くにさま
今のラーメンが、いろいろな意味でどんだけ贅沢か、判るような気がしたりします、なんちゃって(笑)。