すっかり月例となってしまった村田ライブの後。
以前伺ったインド茶店「INDIAN CHAIHOUSE」の帰り道で気になっていた路面的蕎麦のお店に寄り道しました。
真ん中の柱に立て掛けるように置いた板には「手打蕎麦 ちりん」とあります。
暖簾越しにみえるカウンターの様子は、蕎麦専門店というよりは、お酒もお蕎麦も出すカウンターという雰囲気。
落ち着いた濃茶のスツールにセンスの良さを思います。
妙な創作的メニューがわらわらあったら困った感じかもと思いながら開いたお品書きには意外や、およそ正統なお蕎麦屋さん的ラインアップが並ぶ。
こりゃ、ちょっと呑るのにいいよなぁと思いつつ、なぜか今夜はお蕎麦だけと決めて、温かいそば「鴨南蛮そば」をお願いしました。
比較的澄んだ印象の汁にひたひたと浸る鴨と葱。
啜る甘汁の加減は悪くない。
啜る蕎麦の仕立ても悪くない。
如何にも手打ちらしい、儚さと素朴さとが素直に嬉しくてひとりニヤリ(笑)。
どんぶりを干して、「また来まぁす」と告げたその後日。
「Again」での用事を済ませて向かった今夜は、すっかり呑る気分。
早速麦酒をもらって、まず「青唐だし巻き玉子」。
オープンなキッチンゆえ、目の前で獅子唐を細かく刻んでいる左利きの包丁がよく見える。
ふっくらした玉子焼きをはふはふしながら噛めば、出汁と玉子のほの甘さの後から青唐のひりっとした青っぽい辛味が過ぎていく。
「へー、いいじゃん」と呟きそうになってちょっと慌てる(笑)。
「鴨がき、ってあるのは、鴨とそばがきってこと?」と訊くと、「そうです、鴨なしのそばがきもできますよ」と云う。
「んじゃ、それ」ってことで芋のグラスを舐めていると、奥側のコンロの上でそばがきとの格闘が始まった。早く力強く手鍋の中をぐいぐい掻き廻す。粘度をみては、またぐいぐい。
かつて目黒の「小菅」で初めてそばがきを作る様子を見てから、そばがきって体力勝負なんだと知ってはいたけど、なんかちょっとやっぱり申し訳ないような贅沢な気分になちゃうな。
熱々のお湯に腰まで浸かった「そばがき」。
そのままをちょっぴり口に含んでから、箸の先で適当な大きな切り割っては小皿の汁と薬味でいただく。
少し冷まして口に運ぶごと、むにんという独特の歯応えとほのかな日向臭いような蕎麦の風味を愉しむ。
蕎麦屋酒の冥利って、ここにあるのじゃないかなんて、そんなことを思ったりして(あは)。
今度は冷たい蕎麦と「せいろ」と云おうとして、いつもの習慣かまた「鴨せいろ」と口走っていた。
盛りにも満足のせいろは、食べ口にも満足。
恥ずかしいくらいに、どんどん啜ってしまうのです。
小山台高校脇の小路沿いの蕎麦「ちりん」。
ショップカードには、風鈴のイラストがある。
なるほど、「ちりん」はその風流漂う“ちりん”なのですね。
口関連記事:
手打ちそば「小菅」で限定そばがき生湯葉鴨せいろ狛江のこすげ(03年02月)
インド茶店「INDIAN CHAIHOUSE」でラムカリー美味しいチャイ(08年05月)
「ちりん」 品川区小山3-5-20 03-3719-3778
http://www.soba-chillin.com/
column/02644 @4,000