日赤病院下の信号から「ダノイ」の方へと折れたあたり。
ずーっと昔に一度お邪魔したバー「Le Club」があったと同じビルの1階にあるのが、「和楽惣」。
わらそう、と読むようです。
しっとり落ち着いた中に設えたカウンターの上には、活き活きとした魚介がぎっしりと並べられた硝子ケース
。
右手の蛤から左手に視線を移せば、金目やキンキがこんにちは(笑)。
なんだか期待できそうです。
例によって麦酒をぐいっといただいてまず、お造りから「白海老」を選んでみました。
透明感が甘く誘う白海老の身がたっぷりと。
小さな身を殻から剥く、その手間を重ねてくれているんだね。
焼物から「地蛤」。
大振りな蛤をカプと噛めば、しみじみ伝わる磯の滋味。
こいつぁいけねぇと、青森の吟醸「豊盃」。
「馬たてがみ」の独特の食感を楽しんで、またクピクピ。
そこへ届いたのが、カキタベニストの一員としてチョー気になるお品、「岩カキフライ」だ。
殻にのったフライを拝むのは、移転する前の「銀圓亭」以来か。
でも、こちらは冬場を時季とする真牡蠣のフライじゃなくって、今も旬といえる岩牡蠣のフライなんだ。
カリっとしたテクスチャーが見た目にも伝わるフライ。
やっぱりそのまんまサイズでカジリつくってのは適切でないようで、既に三分割に包丁されています。
その断面を覗き込む。
ううーん、いい表情であります。
もうそのまま何もつけずに、ぱくっと口に放り込む。
澄んだ澄んだ海の香りを円く描いたあと、ジュンと旨味とコクが伝わり、清々しい余韻がすっとキレよく消えていく。
うん、うまーい。
冬の牡蠣の繊細で幾重にも滴る魅力とはちょっと違う大らかさは、大味ということでは決して、ない。
こうして冬場以外の時季でも「牡蠣フライ」が楽しめるというのに、どうして余所では見かけないのだろうね。なーんか不思議。
グリルから「黒豚ロース」、箸休めに「水菜のお浸し」をいただいて、
再び視線を硝子ケース
に移し見る。
赤橙に活きの良さをみせるお魚を、焼いてもらおうか、はたまた煮るか蒸すか。
「きんき」を煮付けてもらうことにしました。
上品な脂がのりのりで、ふるふるとはらはらとしっとりと。
お魚そのものが甘いねんな、と腕組感心であります。
フルーティで柔らかなコクが呑み口のいい「豊盃」の盃を重ねて、〆にと「肉じゃがカレー」を茶碗で。
なはは、白金のあのお店の「肉じゃがカレー」とイメージが重なって、なんだか嬉し楽し大好き。
ふう、満足満腹だ。
そうそう「和楽惣」は、そんな〆メシのバラエティも嬉しいところ。
「うにとろろ」「じゃことろろ」などの「とろろめし」にはじまり、「牛すじ丼」に「ひな鶏親子丼」に「納豆おまぜ丼」。そして、「お茶漬け」に「せいろめし」。
野田麦、岡崎赤だし、信州、秋田こけしと味噌と具を選べる「味噌汁」も添えられちゃう。
日赤病院下の和食「和楽惣」。
魚介を活かした佳い料理を食べたくなったとき、候補のひとつとしてきっとまた思い浮かべるンだな。
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「和楽惣」 港区南麻布5-1-1PLAZA KAYビル1F 03-3445-0550
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