洋食「入舟」で おばあちゃんの笑顔とかきフライは優しい基調

irifune.jpg蕎麦「更科布恒」に寄るたびにちらちらとその外観を眺めては「今度こ~よぉっと♪」と思いながら、結局お邪魔していなかったお座敷洋食「入舟」。 春の陽光ぽかぽかとする中、足を運んでみました。 店頭には、サラダ、カルパッチョ、シチュー、そして「ハンバーグ」「ロールキャベツ」。 そして、「オムライス」「ハヤシライス」「岩中豚ポークソテー」までのメニューが黒板irifune01.jpgに書かれています。 その脇には、「入舟こだわりの食材」と題した「天使の海老」に始まる食材の解説が丁寧な書きっぷりirifune02.jpgで提示されています。
妙に重たい硝子ドアを引き開けるとそこは、懐かしさを含む昭和な佇まいの喫茶店のようなハコ。 おばあちゃんの柔和な笑顔に迎えられました。 お座敷はどこ?と思い乍ら(笑)、空いていた入口すぐのテーブルに腰を下ろしました。 irifune03.jpg硝子越しに外の陽射しを眺めていたら、 「おかあさん、ビール!」という台詞が口を附いて出る。 くーっと半分ほどを喉に注ぐ。あは。余り好みではないスーパードライが、なんだか妙にうまいのは、春の暖かさの所為でしょうか。irifune04.jpg
柔からな味わいの「スープ」に続いて、 「かきフライ」がやってきました。irifune06.jpg 「入舟」こだわりの牡蠣は、黒板によれば、三陸は広田湾大船渡湾の産。 軽い色合いの衣を愛でつつ、ナイフの先を切り入れます。 不思議やどれもが衣と牡蠣の身が離れてしまっていて、その身も縮んでいるようなどこか覇気のない食べ口になっている。irifune07.jpg普通に美味しいのだけれど、大人しすぎるというか。もう時季を逸しているからと考えつつ、もしかしたらこの優しい味わいが「入舟」の基調なのかもしれないな、とも思う。 お隣のテーブルでは、おとーさんと男の子が「タンシチュー」を恭しく食べ、おかあさんが「岩中豚かつ丼」をかっこんでいる(笑)。洋のプレートとドンブリが呉越同舟しても勿論違和感がないのだね。 スタンド看板などがなければ一般の住宅と見紛うモルタル造りの「入舟」は、大正13年創業だという。irifune08.jpg築地の仲卸し前川から仕入れる鯵を使ったアジフライあたりを目指してまたお邪魔したいけど、今度は二階のお座敷に上がり込むのか、再びおばあちゃんの笑顔に会いに一階を訪ねるのか、きっと迷っちゃうな。 口関連記事:更科そば 「布恒更科」 でいつもの舞茸天もりの昼下がり(02年10月)
「入舟」 品川区南大井3-18-5 03-3761-5891
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