柔からな味わいの「スープ」に続いて、 「かきフライ」がやってきました。 「入舟」こだわりの牡蠣は、黒板によれば、三陸は広田湾大船渡湾の産。 軽い色合いの衣を愛でつつ、ナイフの先を切り入れます。 不思議やどれもが衣と牡蠣の身が離れてしまっていて、その身も縮んでいるようなどこか覇気のない食べ口になっている。普通に美味しいのだけれど、大人しすぎるというか。もう時季を逸しているからと考えつつ、もしかしたらこの優しい味わいが「入舟」の基調なのかもしれないな、とも思う。 お隣のテーブルでは、おとーさんと男の子が「タンシチュー」を恭しく食べ、おかあさんが「岩中豚かつ丼」をかっこんでいる(笑)。洋のプレートとドンブリが呉越同舟しても勿論違和感がないのだね。 スタンド看板などがなければ一般の住宅と見紛うモルタル造りの「入舟」は、大正13年創業だという。築地の仲卸し前川から仕入れる鯵を使ったアジフライあたりを目指してまたお邪魔したいけど、今度は二階のお座敷に上がり込むのか、再びおばあちゃんの笑顔に会いに一階を訪ねるのか、きっと迷っちゃうな。 口関連記事:更科そば 「布恒更科」 でいつもの舞茸天もりの昼下がり(02年10月)
「入舟」 品川区南大井3-18-5 03-3761-5891
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