column/01513
築地の活貝焼専門屋台「和光」で 亀の手平貝蛤白貝大アサリ
通り掛かりの鈴らん通り。
古びた木造店舗の土間に屋台が突っ込まれている光景が目に留まって気になっていました。
まだ暮れ切らない時間帯にいそいそ訪ねる。
ところが、店の奥まで入り込んでみたものの、ひとの気配がない。
う~ん、どうしたものか。
暫く入口の前でワンワン吠える犬を眺めていると、スーツ姿の男が「あ、丹羽さん、いませんか」とやってきました。
「とりあえず、呑んでましょう」と云う。
いや、え、いいかな、いや、でも…。
そこへ、「いや~、ちょっと買い出し行ってまして~」と、店主が戻ってきた。
その店主の説明によると、この店ではメニューは貝のみ、飲み物はオール1杯500円で自らその都度箱に現金を入れて勝手に呑るシステムだという。
初めての客には、既に店に入っている客が先達として、どこにビアサーバーがあるかなどと指導する慣わしなのだという。へー、面白いじゃん。
2杯分!などと呟きながら、千円札を投げ入れて、エビス黒を注ぎグイと干す。
折角なのでと「からくち浦霞」を舐めつつ、屋台の入口側に座り込みます。
「はい、亀の手」。おー、久々に見る珍味。
如何にも日本酒にぴったりな野趣ある酒肴だ。
続いて「ハマグリ」「白貝」、そしてデッカイ「平貝」、学名ウチムラサキの「大アサリ」などなど。炙りたて熱々の、エキスの迸る活貝の醍醐味が堪能できて、
お酒が進むというものです。
「浦霞」に「大七純米 生酛」。
すっかり酔っ払いとなってしまいました。
この店のなによりの魅力は、瑣末な時流や客になんら阿らないあるがままが潔い店主のキャラ。
下田発のメロン売りから紆余曲折を経て茅場町に至るその遍歴を聞くのも楽しい。店の奥には常連の巣窟もあり、夜な夜な”勝手しい”な連中による変幻自在なコミュニティが形作られているようです。
「和光」 中央区日本橋茅場町2-5-5 [Map] 03-3751-0141 http://yatai-wako.jp/
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