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ただいま鋭意、旧サイトより記事移築中です。
2005年03月まで遡って移築が済みました。
でもまだまだ3合目くらい。頑張れ自分(汗)。


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喰いねぇ 鮨天麩羅鰻アーカイブ

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口うなぎ「宮田楼」で ひつまぶし四段活用大須観音老舗の焼きぶり

miyataro.jpg伏見通りから門を潜り境内へ。
聳り立つ大きな幟は、南無聖観世音菩薩の八文字と一緒に、風と雨に揺れている。
そんな大須観音のお堂に一礼してからさらに奥を臨むと、境内がそのままアーケードと繋がっていて、大須観音通商店街と示す看板が読める。
のんびりとした雰囲気のアーケード。
そのアーケードの下に入って傘を畳んで振り向けば、そこにあるのがうなぎの店「宮田楼」だ。

miyataro01.jpg

外装は漆喰風の外壁が綺麗に手入れされていて、殊更草臥れた印象はないものの、暖簾やその上の庇あたりはシブい風情になっています。
そして店内は、そんな入口廻りの雰囲気と同じ時間を過ごしてきたことを思わす年輪の味わいだ。


miyataro02.jpg「おしながき」の冒頭は、「上長焼き定食」「長焼き定食」。
でもここでもやっぱり所望するのは、ひつまぶし。
あれ?っと思ったのは、「上ひつまぶし」のところにお茶漬け出来ます、と書いてあって、「並ひつまぶし」のところにはそれがないこと。
お茶漬けまでの三段活用がひつまぶしのお決まりかと思っていたけど、そふいふ訳ではないのかしらん。
お櫃に塗す、から「ひつまぶし」であるとすると、茶漬けにすることとはそもそもは直接関係がない、ってことかもしれないね。


そうはいってもひとまず、三段活用に馴染んでしまっていることもあってお願いしていた「上ひつまぶし」がやってきた。miyataro03.jpg薄くカリっとしたところが包んでいるのは、ふっくら柔らかな気配の白い身。
ふと熱田神宮の有名店「あつた蓬莱軒」を思い出し、それらと比べると、タレや焼きっぷりのコッテリ感が控えめに映る。


お約束に従って、まずは茶碗によそったまんまをガツガツって頬張る。miyataro04.jpgタレは十分に甘く、ぐっと引き込む味わいの芯と脂とを備えている一方で、見た目に沿うように遠火の炭火というイメージのやや繊細な焼きぶりだ。


今度は、細かく刻んだ葱をたっぷりとのっけて。miyataro05.jpg意外なほどツユだくなご飯とちょっと混ぜ込むようにして、ハグハグ。
うん、薬味のしゃくしゃくと鰻の旨み、脂と甘辛いタレの風味の渾然が思わず頷かせる感じ。


そして、出汁を注いで、茶漬け仕立て。miyataro06.jpgやっぱりお茶でなくて、出汁がいいよなぁと独りごち。
呑んでの仕上げならお茶を注ぐスタイルで、こうしてひつまぶしの流れの中でいただくのであれば出汁で、というのが持論であります。


丸いお櫃から1/4づつを取る所作が通例で、茶漬け仕立てを啜ってもまだ1/4ほどがお櫃に残る。
で、その4杯目を2杯目と同様の薬味のっけにしてしまうのも通例パターンの四段活用。
ちょっぴり山椒を添えたりなんかして。miyataro07.jpgうん、この食べ口がやっぱり一番うまい。
そこを考えれば、茶漬けのない「並ひつまぶし」でという手もあるのかもしれないね。


大須観音に寄り添う、創業大正元年の老舗「宮田楼」。miyataro08.jpg買い物帰りのおばちゃんが慣れた様子で「うな丼」をと声を掛ける様子もまた似合っていて、何気なくも印象的な光景でありました。


口関連記事:名物ひつまぶし「あつた蓬莱軒」本店 でカリしっとりなひつまぶし(06年06月)


「宮田楼」 名古屋市中区大須2-21-31 [Map] 052-231-3815

column/02909 @2,500-

口てんぷら「味覚」で かき天丼じゅわんと牡蠣エキス塩天丼もいい

mikaku.jpg久方振りの六本木。
そういや、いまだにミッドタウンで食事したことがないのが、可笑し恥ずかし(笑)。
そんなことを思いながら下るは、ご存じ芋洗い坂。
そうか、ライブスポットの「スイートベイジル139」はここにあったのか、などと呟きつつ、その前を通り過ぎる。
頃合いをみて右手の脇道を覗くと見つかるのが、てんぷら「味覚」の看板だ。


縄暖簾を潜ると、右手にカウンターが視野に入り、
と同時に「いらっしゃいませ~」「っらっしゃ!」と声が掛かる。
カウンターの中央から短く声を発してくれたのが、どうやらこちらのご主人。
その風貌や表情には、かつて裏街道の切れ者であったかもしれないと、
そう思わせる雰囲気も窺える。
ホールに比較的若い男性がひとり、奥に年輩の男性がひとり、という布陣だ。


mikaku01.jpgカウンターの真ん中に腰掛けると、
そのおっかなさそうな主人と対峙する気分になる。
卓上に置かれた品書きから「塩天丼」をお願いしようとして、ご主人の背後に貼られた貼り紙に目がいった。
「三陸生かき かき天丼 1,200圓」とある。
おお、そっちだと急に路線変更して、「かき天丼」をとホールの兄さんに伝えます。


すっすと流れるような所作でいつの間にか出来上がったどんぶりには、柚子の欠片。mikaku02.jpg野菜の天ぷらを脇に従えて、牡蠣の天ぷらが真ん中に鎮座。
そーっと咥え、はむっと歯を立てると、じゅわんと活性した牡蠣のエキスが零れて、薄手の衣と一体となる。mikaku03.jpgんー、旨い。
フライもいいけど、天ぷらもいい。
下町ックでない、あっさりめのタレであるのもポイントであります。


獅子唐もあるねと齧ったら、なんとその中にも牡蠣の身が!mikaku04.jpg牡蠣に獅子唐を取り合わせるというアイデアは、なかなかニクイ。
獅子唐のしゃくっとした青みが牡蠣の魅力を鮮やかに引き立てるンだ。


日を変えて、再びの芋洗い坂。mikaku11.jpg当初の目的だった「塩天丼」をいただきに参りました。


mikaku05.jpg
笊に盛られた野菜たちや硝子ケースの緑のトマトを眺めながら、
ぼんやりと待つ。
奥へ向けて「どんぶりご飯!」と声を掛けるのが、揚げ上がる合図。
味噌汁椀やおしんこが脇から整えられ、正面からすっとどんぶりが渡されました。mikaku06.jpg


軽快にさくさくとした衣は、塩であればこそ。
天ぷらのタネそのものを甘く愉しませてくれるのも、加減の利いた揚げ具合と塩なればこそ。
mikaku07.jpgmikaku08.jpgmikaku09.jpg
海老に玉葱に茄子、春菊、獅子唐、掻き揚げがそれぞれの香気で甘さを伝えてくれる。
やや塩っ辛く感じるところもあったけど、それでもやっぱり塩でいく天ぷらの良さを確認してしまったのでありました。


芋洗い坂のてんぷら「味覚(みかく)」。mikaku10.jpg店主みずから汗掻き汗掻き、自家農園で育てた野菜を天ぷらで供するという。
べらんめぇな主人と与太話をしながら、それ揚げてこれ揚げてと云いつつ、トマトの天ぷらなんかで一杯呑るのもきっといい感じなンだろな。


口オイスターパラダイスブログ:「カキタベ! ~牡蠣を食べよう!~」


「味覚」 港区六本木6-7-17 [Map] 03-3404-1800 
http://www.tenpura-mikaku.com/

column/02895 @1,200-

口鮨「ものほし寿司」で にぎり寿司銀座の路地と物干しと統制と

monohoshi.jpg八丁堀の裏道にいつの間にかできていた、
「ものほし寿司」。
はて、どこかで聞いたような、そうでもないような。
どちらさんのご自宅かしらんというおよそ無機質な佇まいに、「寿司ものほし」と筆文字の流れる古びた板が構える。
まだ夜の部へお邪魔したことはないけれど、以前よりお昼どきにお世話になっているのです。

「こんにちは~」と親戚の家を訊ねるような気分になりながらアルミのドアを引くと、そこに玄関はなく、代わりにこじんまりしたカウンターとその奥にテーブルが見える。


お昼のメニューmonohoshi01.jpgは、にぎりかちらしか、普通盛りか大盛りか、上かどうか。


長方形の皿に盛り付けられてくるのが、「にぎり寿司1.5人前」。
monohoshi02.jpg
白魚の軍艦やみっつ並んだ鮪、"メ"と刻むように切れ目の入った小肌、などなど。
玉子は大振りに包丁した甘過ぎず、で海老の握りの枕になっている。
monohoshi03.jpgmonohoshi04.jpg
舎利はもうちょっと酢が強めの方が好みなのだけどなぁと思う日が多いけれど、
それはまぁそれとして。


「上にぎり寿司」は、角皿に載せてくる。monohoshi06.jpgmonohoshi05.jpgmonohoshi07.jpgmonohoshi08.jpg
蛇腹の鮪や雲丹、あっさり煮蛤などがひと揃いしています。
普段使いのお寿司としては、にぎり1.5の方が満足度高く感じたりして、それはボリュームのためばかりでもないかもしれません。


ちらしはと云えば、彩り鮮やか。
monohoshi10.jpg
monohoshi11.jpg
真ん中を飾る海老の下から青柳の舌が顔を出す。
くるっと二つ折りにするようにタネを丸めて、ぎっしりと敷き詰めているのだ。


ちょっと厳ついお顔立ちの大将に、以前はどちらでと尋ねると、銀座一丁目から再開発で立ち退いて、実家のあるこちらへ移ってきたのだと云う。
あれ?銀座一丁目の再開発といえばもしや、お稲荷さんを角に、鰻「ひょうたん」やなんともそそる佇まいから忍び込んだことのある小料理屋「卯波」があったところのことじゃぁないのかな。
そう訊くとその通り。
「ものほし寿司」は、「卯波」から魚屋を挟んだ並びにあったのだそうだ。


そして、検索してみて合点がいったのは、往時の様子をtakapuがレポートしてくれていたから。
それでなんとなく見知った気分がひっかかっていたのかも。
銀座の店の入口脇にあった板看板をそのまま今の店先に移しているンだね。


河岸での通り名は、「蛇の新」。
銀座を離れ、今は八丁堀の片隅で営む「ものほし寿司」。monohoshi12.jpg店の名をどうして「ものほし」としているかというと、戦中か戦後か、食糧統制の敷かれる中で、二階の物干し場に上がるとヤミで寿司が喰える処として、初代が営んでいたことに由来するそう。
寿司を食べに行こうと大っぴらに口にできないので、符丁として俗に「ものほし」と呼ばれたのだね。
銀座の頃にも一度、行っておきたかったなぁ。


口関連記事:
  小料理「卯波」で 穴子の煮凝り筍の直煮銀座路地裏店幅一間半(05年04月)
  うなぎ「ひょうたん屋」一丁目店 で名残惜しむうな重の中(07年11月)


「ものほし寿司」 中央区八丁堀2-28-6  [Map] 03-3551-5710

column/02772 @1,300-

口てんぷら「天寿」で 天丼の蓋のなぞ紫芋天と牡蠣天と

tenjyu.jpg高輪の病院で検査を終えて、
さあお昼ご飯を何処でと腕組み。
何気なく朝来た桜田通りの方へ引き返して、
高輪台の駅上で再び腕組み。
そこでふと、去る晩夏に天ぷら定食をいただいたことを思い出した。
もう一度あちらに寄ってみようかな。

tenjyu07.jpgTempura TENJU」とあるアクリルボックスの下。
何方の為す書か、「天下第一等の美味」と認めた額縁を横目に、払う無地の暖簾。
表情に熟練を思わす店主は、ずいっっとカウンターの奥へどうぞ、と仰る。
仰せの通りに、カウンターの最奥に収まって、先客のいない椅子たちを振り返ってみたりする。tenjyu01.jpgひと通りの決して多い場所ではないので、お店の営みはそれなりに大変なのだろうなと。
扉の向こうで、車のシルエットが通り過ぎる。


過日の「天ぷら定食」は、正直、あまり印象に残っていないので、
今日は「天丼」にしようと決めて、松竹梅とある中から「竹」をお願いします。
「かき揚げ丼」もあるンですね。


油に浮かんだタネをちょんちょんとつついては、ひっくり返す。
手鍋に沸かしたタレを大きめのスプーンでドンブリのご飯に振りかける。
柚を刻み、揚がった天ぷらをのせ、再びスプーンでタレを廻しかける。
そして、どこに置いたっけと手元を泳がせてからドンブリの蓋をした。
やっぱり、蓋、するのね(笑)。

天丼というものは、蓋を収めて初めて完成するという様式に頑ななものなのでしょうか。
目の前にいるのだから、わざわざ蒸れさせなくてもいいのにとすぐにそう思ってしまう。
蓋を開けた時に立ち上る湯気とともに味わうトキメキの臨場感のための演出、なのでしょうか。
あ、もしかして、「オープン・ザ・ふた~」ができないとゆきむらさんが困るから、ではないか(笑)。

tenjyu02.jpg
で、肝心のドンブリ。
海老に蓮根に茄子に烏賊ゲソに。tenjyu03.jpg

およそくたっとした天ぷらたちの中に見つけた小さめな薩摩芋らしきものを齧ったら、
断面が鮮やかな紫色。
tenjyu04.jpgtenjyu05.jpg
隅っこで控えめに待っていたのは、おー、牡蠣の天ぷらではありませぬか。
いっそ牡蠣の天ぷらだけの天丼はできませんか?と、危うく訊ねてしまうところでありました(笑)。


桜田通り沿いの天ぷら「天寿」。
追って入ってきたタクシーの運ちゃんは、3分置きに少し腰を浮かせるようにして正面に停めた車を気にしてる。tenjyu06.jpg駐車禁止の取り締まりが営業に随分と差し障りを来たしているようです。


「天寿」 港区白金台2-11-6 [Map] 03-3447-4706

column/02753 @1,400-

口寿司の伝導師「酢飯屋」で 都内某所に秘かに饗す宴黒米の握り

sumeshiya.jpgそれは年の瀬も押し迫った頃。
襟足を過ぎる風が身を縮めさせ、足下からセリアガる冷気が身震いさせる冬の夜。
都内某所のひと通り少ない裏通り。
閉めているはずの店にこそこそと、ひとりまたひとりと集まる挙動不審な輩たち。
そこが、裏世界で「酢飯屋」と呼ばれる闇寿司店の最近のアジトらしい。

自ら"寿司の伝導師"と名乗り、カルトで神出鬼没だという「酢飯屋」。
その「酢飯屋」を舞台に密かに饗された宴に潜入してみた。


まず提示しなければならないのが、持参した酒。
自らの嗜好や共有したい滴、怪しい場にふさわしいプレゼンテーションなど錯綜する想いを酒瓶に籠めろ、というのだ。

カウンターではなく、小上がりに案内されて、一同に目配せ。
早速マグナムな「POMMERY」を抜く儀式で、何事かが始まる。


卓上には、「煮貝の盛り合わせ」「小物の南蛮漬け」。
sumeshiya01.jpgsumeshiya02.jpg


そこへ大きく赤い異物が持ち込まれ、添えられた人数分のスプーン。
sumeshiya03.jpgsumeshiya04.jpg
大間の鮪のものだという中骨を中おちのついたままをデンと載せ、スプーンで削って食べるようにさせる様式は余興要素をも含んでいて愉しいが、これもまた何かの儀式ではないのか。


様々な瓶には、甘口赤の「天橋立ワイン」があるかと思えば、津軽のりんごジュースが差し出され、果たして梅干を入れ割る球磨焼酎「もっこす」。前後して、出処秘匿の無農薬米純米酒に発泡酒「すず音」に「酔鯨」に燗酒にと、いよいよ訳が判らなくなってくる。こ、これは危険だ。


酔いの縁を辿り始めたところに牙を剥いた異形にハッとする。sumeshiya05.jpg老成バラクーダにも似たグロテスクに黒いカマスを「しゃびの塩焼き」と謳って、まるで生贄のよう。
黒々とした外皮とふわりと軽やかな白身とのコントラストが妖しい。


海産が互いに僥倖を想うよな「牡蠣とブリの味噌鍋」で、ぶりっとした牡蠣の身の洗礼を受けたかと思えば、
sumeshiya07.jpgsumeshiya06.jpg
内子と味噌と剥き身が混然となった「豊前本ガニ」に陶然とする。


このまま酔いに任せてしまおうかと悪魔が誘う中で、めくるめく握り世界が展開されていく。
sumeshiya08.jpgsumeshiya09.jpgsumeshiya10.jpgsumeshiya11.jpg
赤酢にしては妙に鮮やかだなぁと想った酢飯は黒米仕立て。
sumeshiya12.jpgsumeshiya13.jpgsumeshiya15.jpg「穴子の押し寿司」を経て、「バラちらし寿司」へと至る。
sumeshiya14.jpgsumeshiya16.jpgsumeshiya17.jpg
ふう、なんとか無事に寿司の伝道師のアジトへの潜入を果すことができそうだ。


背中で遠ざかるアジトは、はて、いつまで其処にあるのだろう。
酩酊した脳裏で想うのは、そうとなれば今度は、ゆっくりと適度な酒量配分で、かつ、正対するカウンターで握ってもらいたものだということ。


今夜の宴の司祭は「築地市場を食べつくせ!」の築地王さん
そして執事役多謝の「フェティッシュダディーのゴス日記」のジュネさん
また、秘かなる宴の様子は、ワシ・ブロさん佃の旦那さんの潜入レポに詳しい。


「酢飯屋」 都内某所 詳細不詳

column/02751 @11,500-

口和食「直よし」で 三島うなぎ白焼ききも焼き炊いた鰻の茶漬け丼

naoyoshi.jpg三島駅南口界隈にも8店ほどが見つかる「三島うなぎ横町」の幟。
夕刻に訪ねたのが、その中の一軒「直よし」です。
白木の格子戸と白い暖簾がきりりとして、どこか店主の気っ風を思わせるような佇まいだ。
こちらの「三島うなぎ横町」幟は、小さいタイプ。
暖簾に合わせて、おいでおいでと風にそよいでいました。

店内は、右に厨房とカウンター、左に座敷というレイアウト。naoyoshi01.jpgカウンターの椅子に腰掛けて正体した大将は、怒ったらちょっと怖そうな、でもファサードの印象ともなるほど合い通じる、頼りがいのありそうな表情で迎えてくれます。


手にしたお品書きnaoyoshi02.jpgには、「うな重」を含む定食7種に、幾多の一品料理が並んでる。
早速ビールをお願いすると、「蒲焼きももちろんできるけど、白焼きなんてどうです?」と大将。
なんで大将は、客の心の裡が判っちゃうのだろうと訝りながら(笑)、「はい!白焼きで」と即答する。

naoyoshi03.jpg
プレミアム・モルツをキュイッとやってからいただく白焼きは、もっちりしっとりした食感が面白い。
カサカサと香ばしさを発揮する仕立てじゃなくて、といって脂ギッシュという訳でもない。
naoyoshi04.jpgnaoyoshi05.jpgnaoyoshi06.jpg
表面の極薄いパリッとしたところが凝縮感のある鰻の身を包んでいる、そんな感じだ。
折角なら本山葵で食べたいところだけど、それは贅沢かな。

naoyoshi07.jpg

ビール呑むなら当然こいつも注文むよねと、「鰻きも焼」。
ちまちましない量感は、大将の心意気のなせる業。naoyoshi08.jpgうへへと嬉しくなるほどの直球の苦味とすっきりした滋味がいい。


〆は「うな重」ってことになるだろね、と考えているところに「茶漬けもできるけど、どう?」と大将。
また客の心理を読むンだから、もう困るなぁ(笑)。

「これちょっと食べてみて、炊いたやつ」と差し出してくれたのは、小皿に載ったうなぎ。naoyoshi09.jpgおー、炊いた鰻とは。
山椒風味をふわんと煮含めてあって、さっと炙ってあるのか程よい香ばしさを纏って、
蒲焼とは違う魅力。
大将に向かって、ぶんぶんと首を縦に振ると「じゃ、半分はどんぶりにして、半分を茶漬けで」。
ひつまぶしのノリもちょっと拝借しちゃおうって工夫、うん、大歓迎。


丼に放射状に配置した鰻を端から、ガシガシと掻き込むように。naoyoshi10.jpg気を利かせて多めにかけてくれたタレの味が強くなっちゃったので、
「タレ、なくってもいいぐらいですよ」と生意気云いつつ、再びガシガシ。


そして、残り半分になったところで、急須に用意していくれた鰹昆布出汁をだーっと注ぐ。
そうそう、お茶じゃなくってやっぱり出汁だよね。naoyoshi11.jpg三つ葉と海苔、あられの薬味を載せて、今度はズルズズ。
ひつまぶしの仕上げとはまた違う、ちょいと品のあるシズルをズズ、ズズズ。
なはは、一気に食べちゃった(笑)。


この、炊いたの、も白焼き同様お品書きには載っていなのだけど、確認するとおよそいつも仕込んでおくようにしているそうだから、大将に訊いてみる価値はあるね。


そんなうなぎ料理を始め、品書きにホワイトボードに酒肴メニューあれこれの和食「直よし」。naoyoshi12.jpgそうそう、「う巻き」は一匹使ったヤツだからふたり以上でね、と大将。
三島駅南口からも程なくの、「三島うなぎ横町」の小さめ幟が目印です。


口関連サイト:
「三島うなぎ横町」14店のクーポンあるよのサントリーグルメガイド「静岡うなぎ特集」banner_blog_unagi01.jpg


「直よし」 静岡県三島市一番町12-23 [Map] 055-971-3119

column/02749

口お食事処「源氏」で 三島のうなぎ伏流水の活性と釜飯の軽やかさ

genji.jpg鰻と云えば静岡の代名詞のひとつ。
三島も鰻で有名だって知ってました?と訊かれれば、
うん、でも、正直云って当地ではいただいたことがない。
それではその片鱗に触れてみましょう、ということで乗り込んだひかり号。
品川から37分で到着したホームからは、しっかりと雪を頂いた富士山が望める。
富士の裾野エリアを訪れているという臨場感に「ほぉ」と牽かれる瞬間だ。

いつ以来だろう、随分と久し振りに降り立った三島駅前。
駅舎を背にして、路線バスが信号を待つロータリーを進む。


すると正面に見つかる三角屋根を壁に模した店。
二階の壁に大きく掲げた木札には、「しらす」「桜えび」「近海魚」「生そば」、そして「うなぎ」。genji11.jpg
早速こちら、お食事処「源氏」にお邪魔してみましょう。


時刻は、正午に30分ほど前。一階の客席は既に賑わいをみせているね。


昼間っからビールを呑んじゃう気分満点(笑)なので、品書きの「うな重」を横目に「蒲焼だけってできますか」と訊いて、そのように。
届いた鰻の飴色をじっと眺めてから、箸の先でひと口に千切って口元へ。genji01.jpggenji02.jpgやや甘めでちょっと粘性のあるタレに包まれつつ、ひと切れがすっすと消えていく、そんな感じ。
プレミアム・モルツのぐっと華やぐよな香りとの取り合わせもいい。


さてご飯モノもいただいちゃおうとお願いしたのが「うなぎ釜めし」。
鰻の釜飯を口にするのはおそらくお初だ。

たっぷりの錦糸玉子の下に並ぶ蒲焼。genji06.jpgその下のご飯の色合いが濃いめなのはもしや鰻のタレを含ませて炊いているからなンだろうかなどと想像しながら、まだ熱いひとり羽釜に箸を伸ばします。
genji07.jpggenji05.jpg
いただく印象は、ふっくらと軽やか。
厭な脂も勿論くさみもなく、すいっと食べれて気がつくと、もうなくなりかけている。

genji08.jpg底の方から改め杓文字で掬ったおコゲと鰻の名コンビ(笑)。


ご馳走さまをして目に留まった、店頭ではためく幟には「三島うなぎ横町」とある。

「三島うなぎ横町」とは、三島のうなぎをもっともっと遍く広く知ってもらいたいという活動のことで、
三島駅南口から三島広小路を中心としたエリアを気をつけて歩いてみると、
同じ幟がいくつも見つかる。genji09.jpg
三島で鰻を食べたけりゃ、この幟を目指して店を訪ねればいいンだ。


あ、でもそう云えば、三島産のうなぎ、というのは聞いたことがないよね。
三島のそこここに養鰻場があるわけではなくて、
では市内の河や池で川鰻が獲れるのかというと、天然鰻が希少なものとなった今では、それも概ねないよう。
なのになぜ鰻料理を供するお店が比較的狭いエリアに多くあるのかというと、その秘密はさっき新幹線のホームで拝んだ富士山にあるのだという。


富士に降った雪や雨が年月をかけて浸透し、伏流水となって湧き出すのがここ三島の地。
例えば、三島ゆかりの文学者たちの句碑「水辺の文学碑」が立つ桜川は、菰池公園の湧水池を源流としているそう。

そして、富士山の伏流水は、分子が小さく酸素を多く含んだ所謂活性水だという。


鰻をその伏流水に晒すことで、鰻が持つ生臭さや泥臭さを消し、水の持つ活性が美味しさの素である蛋白質を保ちつつ余分な脂だけを落とす働きをするというのだ。
伏流水で活性した三島のうなぎ。
釜めしのうなぎが軽やかに感じたのは、そんなことが背景にあるのかもしれないね。


genji00.jpg
「三島うなぎ横町」の一店、お食事処「源氏」は、なにせ駅南口の真正面。
伊豆箱根鉄道の改札からもきっと見つかる。
修善寺や伊豆長岡からの温泉帰りにすっと寄って、三島のうなぎ、ってのも一手です。


口関連サイト:
「三島うなぎ横町」の14店を紹介している、サントリーグルメガイド「静岡うなぎ特集」banner_blog_unagi01.jpg


「源氏」 静岡県三島市一番町15-22 [Map] 055-975-0882 http://www.genji3.jp/

column/02748

口祇をん・う桶や「う」で 桶横目に鰻丼ふわっと広がる濁りなき旨味

uokeya00.jpg花見小路沿いのお店にはおよそ入ったことがなくって、
それはどうも余りにも観光客相手っぽさが鼻につくからってこともあるのだけど、
すぐその脇の路地へと潜り込みたくなる、そんな性分からかもしれません。
ロジスキーは、極自然な足取りで花見小路から一本裏手の細道へと歩みを進めます。
建仁寺の方から入ってもすぐのあたりで、木板に表した「う~」というよな文字に立ち止まる。
格子のところに提げ掛けられた札には、「京のう舞」uokeya07.jpgとあって、「名代う桶」「鰻丼」と並んでる。
うん、鰻屋さんなのですね。


暖簾を潜ろうとしたら、棒の通しが浅かったか、暖簾がふわっと落ちてきた。
あれあれすいませんと店主が厨房から出てきてくれて、二階へと案内いただきます。

こざっぱりとした座敷の座布団に腰を落ち着けて、お品書きuokeya06.jpgを眺める。
お向かいの卓では丁度、桶が届いてわー、蓋を開いてわーっと小さな喚声が続いてきます。

三人前、四人前、五人前とある「う桶」をいただく訳にいかないのがちょと切ないものの、それを「鰻丼(松)」と張り込んで紛らわせる(笑)ことにしました。

uokeya01.jpg
せいの高くないどんぶりに添えたきも吸いの小さな椀に香の物。
端正な情景にも映る卓上に、もう桶のことは忘れて向き合います。

どんぶりに横たわるうなぎの表情は、櫃まぶしのそれとは明らかに違う。uokeya02.jpg関西風の蒸さない鰻のようにも見えないのだけれど、う~むと腕組み考えても仕方がない(笑)ので、早速箸を動かします。

すいっと身を分ける箸の先。
やや硬めが好ましいその下のご飯と一緒に口に運べば、ふわっと広がる濁りなき旨味。
この優しい食べ口は、蒸しを入れているに違いない。
背開きか腹開きかは分からないけど、つまりは江戸前な焼きってことになるのでしょう。uokeya03.jpgどちらかといえばあっさりとしたタレの加減も鰻の旨味を引き出すに専念したかのような加減。
結局山椒なんか振らないで、ぺろんと食べてしまう。
香ばしく焼いた鰻もこうしてふっくら焼いた鰻も、どちらもいいよねと素直にそう思う。


踊り場の上に積まれた桶を眺めつつ階段を降りるとその正面の厨房のところに「今日の鰻は静岡の産」と貼ってある。訊けば浜名湖の産だという。
uokeya04.jpguokeya05.jpg
当たり前のことなのかもしれないけど、産地の明示は信頼感に繋がるね。


西花見小路に見つかる「う」の文字。それが、祇をんのう桶や「う」。uokeya.jpg豆乳仕立ての「うなべ」ってのも気になります。冷え込む京の夜に、ね。


「う」 京都市東山区祇園西花見小路四条下ル [Map] 075-551-9966

column/02706 @3,400-

口麻布十番・天ぷら「畑中」で 油と衣の繊細魔法活性する甘さ

hatanaka.jpg例えば、今はピーコックの向こうへ移転した「かどわき」にお邪魔した時。
例えば、今は改装なった「鳳仙花」へとまわり道した時。
そのお店についてなにも知らないまま、横目でみる暖簾とその佇まい。
その情景に想う、ちょっとした敷居の高さとそれが故のささやかな羨望。
そんなずっと秘かに気になっていたお店「畑中」に出掛けてみました。

やや遠くからも目に留まる「天ぷら」の筆文字hatanaka01.jpg
朧に浮かぶ満月に蟹らしき影を描いた暖簾を今夜はすっと払います。

カウンターの右手隅に席を得て、まずはプレモルで喉を湿らせる。
目の前には、大振りな蓮根や茄子、アスパラなどなどを収めた桶が瑞々しい装いで据え置かれています。
予約の際にも、大変恐縮されながら値上げの旨伝えられていた、そのお安い方の「榎」hatanaka02.jpgでお願いしました。


まずは、さっと炙った墨烏賊。
噛めば炸裂する甘さに思わず顔を見合わせる事態を呼ぶ(笑)。
素朴なお皿から溢れる魅惑に日本酒が欲しくなる。
でも、炙り立てを逃しちゃいけないとペロッと平らげる。
烏賊には間に合わなかったけどと、山口の特別本醸造「東洋美人」のお銚子を。


最初に敷き紙の上に据えられた天ぷらは、剥いたばかりのマキ海老の頭。
煌く珊瑚にも似た色合いをさくぅとすれば、口腔に広がる軽やかな甘み。
続いてやってくる身の方は、まずは塩で。
そして、二本目は、やっぱり塩で(笑)。
素直な澄んだ甘みがじーんとくるのだね。


薄ぅく衣を纏ったアスパラが弾けさせる大地な甘さ。
衣の間から甘い湯気を立てる鱚の白身。
合わせた半切をそっと開けば秋の甘さ滲み出る茄子は松山の産。
中心に向けてほんのり桜色半生仕立ての帆立の甘さったらない。
肉厚蓮根のしゃくとした歯触りのその後から襲うほの甘さ。
くるんと丸まった穴子の身の甘さには野生が潜む。
揃え並べた隠元と伏見唐辛子の青い甘み。


油と衣の繊細な魔法は、
こうして食材の活性を色々な甘さで届けてくれるのだと教えてくれているようだ。


〆にかき揚げ。
天丼か天茶かのいずれかでってことなのだけど、そのままいただいて、天ばらにしてしまう。
だって、かき揚げに含む魚介や野菜の甘さを直裁に愉しむには、
こうするのが一番いいと思ったンだもの。


店主とのお約束もあって、店内の写真を載せるのは控えてるけど、それがちょっと残念です。


蝶ネクタイで凛々しく迎えてくれる麻布十番・天ぷら「畑中」。hatanaka03.jpgそれには、巷知る日本橋の老舗天ぷら店のトレードマークが思い浮かぶけど、それはどうやら見当外れではなく、日本橋へのリスペクトの想いが籠められているもののようです。


「畑中」 港区麻布十番2-21-10 麻布コート1F [Map] 03-3456-2406

column/02705 @10,500-

口うなぎ和食「しら河」で ひつまぶし焼き目の香ばしさと4膳目

shirakawa.jpg名古屋地下鉄の鶴舞線に浄心という駅がある。
“浄い心”なんて地名は名の知られた神社仏閣のお膝元だからかぁと地上に上がるも、そこはどこにでもありそうな高速の高架下。
交差点のこじんまりしたお寺がその名の由来らしい。
そこから弁天通りを渡り、裏道へ廻ったところにあるのが、
今日のお昼どころ「しら河」です。

shirakawa01.jpg狭い間口の簡素な建物の前に立つ。
そちらは旧来のお店で、既に使わなくなっている様子で、振り返ったその向かいに堂々とした店舗が控えていました。


客溜まりに足を踏み入れると、右手に数人の空席待ちがある。
ちょっと待つようなのかなと思いながら人数を告げると、なぜかすんなりとテーブル席へ通されます。
目的はもちろん、ひつまぶし。
「上ひつまぶし」を「きも吸」つきでお願いします。

shirakawa02.jpg
専用のお櫃の蓋をぱかりと開けて、
湯気とともに如何にも香ばしそうな焼き目とご対面(笑)。shirakawa03.jpg軽くまぜまぜしてから、例の手順でまずそのまま茶碗によそっていただきます。

うんうん、しっかりと主張する焼き目の魅力。
そこへ身の中からふつふと発揮してくる甘み旨味が、ややタレダクのご飯と相俟って、遜色ない。
shirakawa04.jpgshirakawa05.jpgshirakawa06.jpg
二膳目は、小葱、海苔、山葵の薬味風味を添えて楽しんで、三膳目には湯桶から熱いところを注いで啜る茶漬け篇。
「吸茶」と呼んでいるも、こちらもお茶ではなくて、昆布主体と思われるお出汁。
その出汁にタレが溶けだし脂が追いかけして、いい具合のお味加減。
うんうんと頷きながら、あっと云う間に軽い一膳を平らげます。


ここで仕舞とするのが、ひつまぶし本来の食べ方なのかもしれないけれど、
最近はここから「その二」に戻るのがパターンになってる。shirakawa07.jpg残しておいたところを茶碗に移して、薬味も一掃するように載せて刻み海苔をぱらぱらと。
つまりは、この場面が一番好きってことなのでしょうね。


ひつまぶしのお店10傑くらいには入るのであろう、浄心の「しら河」。
沿革には、公設市場の天麩羅店が起源で、和食料理屋・割烹から派生した鰻料理店がひつまぶし専門店の本丸になっていった経緯が記されています。shirakawa08.jpg店名の「しら河」は、豊橋の白河町に関連があるのかな。


「しら河」浄心本店 名古屋市西区城西4-20-12 052-524-1415 http://www.hitsumabushi.jp/ [Map]

column/02687 @1,900-

口炭焼「うな富士」で あかしゃえびと肝入りひつまぶしご馳走さま

unafuji.jpg鶴舞駅からピークの炎天に炙られつつ歩いて、
やっとこ辿り着いた山王通りという高速高架下。
ところが、店に近づくにつれ、歩道から店を眺めるようにするひと達の姿がはっきり見えてきた。
あれあれ?という厭な予感は、店の入口が見渡せるところで現実となりました。
このクソ暑いなか、店の外で待っているのがひとりやふたりではないのです。
こりゃあかん、とすぐさま引き返す。
そして、しぶとくも再び夕刻にやってきたのが、ひつまぶしの「うな富士」です。


この時間もまた、空席待ちあり。
足回りがいい訳でもないのに、なんだか篤い人気じゃないですか。

じっと待ったのち、小上がりのテーブルに案内されました。


呑まずにいられないビールのアテにと一品料理の品書きをみると、20種類の魚介類てんこ盛り!!と添えられた「うな富士盛り」の文字が目に留まる。でもどう考えても食べきれない。
と、その横に<単品>として、「あかしゃえび」「くるまえび」「まんだらえび」「生甘えび」「特大しゃこ」と並んでるunafuji09.jpg。おー、どれもが気になる甲殻系だ。

そこから選んだのは、素揚げに鮮やかな紅を発色した「あかしゃえび」。unafuji01.jpg殻がなんとも香ばしく、ワタを含めた身が甘くほの苦く。なはは、イケるビールのお供だ。三河湾で捕れたものなんだろね。


ジョッキの滴を呑み干したところへいよいよ、メインのお膳がやってきました。
数量限定と括弧書きされた「肝いりひつまぶし」。unafuji02.jpg

ぬらぬらと鈍いテカリを魅せているのが、そう、肝。
たっぷりとした量の肝は、これだけで軽く一合呑めそうな感じ。
unafuji03.jpgunafuji04.jpg
そして、その肝をのせた大葉の下には、びっしりと鰻の身が並んでいます。


肝も交えつつ、ひつまぶしのお約束通りに茶碗によそって、まず一膳。
とろっとかりっと芳しいうなぎの身と肝のほの苦味のあわせ技が、うへへ、なのよ、もう(笑)。
unafuji05.jpgunafuji06.jpg
軽くよそった二杯目は例によって薬味ののせていただき、肝すいを啜ってから、もう一膳しようと杓文字をお櫃に入れると、お、中入りになってるのに気がついた。

四膳目を急須から注いだ出汁で啜る。
うんうん、やっぱりお茶でなくて、出汁でいくのがいいのだなぁ、とひとりごち。

で五膳目を再び、薬味のせでシメる。unafuji07.jpgほどよく脂が落ちていて、タレもほどよくあっさりめの鰻。くどくもしつこくもないので、自然とこうしたくなるのだね。
満足、そして満腹。ご馳走さま。


相変わらず、店頭で空席待ちの待機する「うな富士」。unafuji08.jpg訪れるひとの、そのほとんどがきっと地元客なところも地力を思わせます。


「うな富士」 名古屋市昭和区白金1-1-4 プレザント白金1F 052-881-0067

column/02672 @5,700-

口御膳「喜寿司」で 雲のごとき穴子和菓子のごときおぼろ

kizushi.jpgその前を通る度に、佇まいが醸す気っ風に「うん!今度来よう!」と小さく叫んだこと幾度となく。
週末の人形町。
「喜寿司」の前に再び立って、見上げる金看板。
草書体といわれる、七を三角に重ねた味な文字をそのまま表現できないのが、ちょっと切ない。
「にんぎょう町」と染めた、初夏に涼しい絣の暖簾を払いましょう。

華美なところのない、すっと和む雰囲気の一本の桧のカウンター。
老舗由来やオッカナイ大将がもたらす妙な緊張感はありません。
それでいて背筋のしゃんとした空気が凛と滲む感じがよいではありませんか。
ご主人油井さんのきりっとそして柔和な目線が眼鏡の奥で光ります。


おきまりの「特上」をお願いしてその前に、1本だけとお銚子の冷たいところ。
お造りを拵えてもらいます。
kizushi01.jpgkizushi02.jpg
つるーっと滑らかな口触りの鰹、酢橘の香りの似合う京都からの鱸、矧いだ皮目の銀色が涼しい鰺、そしてコリっと甘い赤貝。
う~む、この佇まいの中で唇湿らす正午のお酒。いいなぁ(笑)。


さて握りの先陣を切るのが、平政。kizushi03.jpgあれ?ひらまさってこんなにトロンとしているのだっけとちょっぴり陶然とする。
煮きりとの相性もいいよね。


そして、まぐろの赤身、すみいかと紅白に続く。
kizushi04.jpgkizushi05.jpg
ねっとりとしたすみいかには、タネとシャリの間に海苔が挟んであって、風味を添えています。


まぐろらしい香りと品のいい脂の合奏が延髄を刺激する中とろ。
kizushi06.jpgkizushi07.jpg
玉子はいわゆる鞍掛けで、鞍の下にはおぼろが顔を覗かせてる。
分厚い玉子焼きゆえ、ぷちっと真ん中から千切れてしまいそうでいながら、焼き色がそれを支えています。


木札を見上げて、追加をお願いしたのがまず、穴子。kizushi08.jpg青空に浮かんだ雲がすうぅっと消え去るような軽やかな蕩け様。
こっくりしたツメが似合う穴子もいいけれど、ふんわりを極めると奴もいい。


お椀は、真子鰈の骨のもの。
kizushi14.jpgkizushi09.jpg
ひもきゅうと鉄火の巻物に続けて、とり貝を。

舎利の上でピシと叩けば途端に生き活きと蠢くようなとり貝のシズル。
kizushi10.jpg
ぬははは~、くきゅんとした食感が、旨いぃ。


たっぷりしたその身に甘さ綻ぶ蝦蛄に、煮きりを塗った二丁づけの小肌。
kizushi11.jpgkizushi12.jpg
「喜寿司」の新子は例年お盆くらいからだそう。


これを握ったのって食べた記憶がないなぁと、最後に、おぼろ。kizushi13.jpgコロンと丸ぅく可愛いサーモンピンクのにぎり。
おっとりしたほの甘さを含んだたっぷりした量感のおぼろに、〆に和菓子をいただいてる感じになる。


全体の印象としては、ネタとシャリとの纏まり感というか、一体となって解れていく感がもっと鮮烈に感じられたらいいかも、なんて思いながらあがりを啜る。


創業来80余年。花街の残滓を記す置屋造りの御膳「喜寿司」。
その店名は、先々代のお名前によるものだという。
kizushi15.jpg改めて腕組み眺めるその佇まいに、やっぱりいい顔してるわと感心頻りであります。


昼下がりのご同席多謝は、「華麗叫子の胃袋は偉大なるコスモ」の華麗叫子さん。ありがとー。


「喜寿司」 中央区日本橋人形町2-7-13 03-3666-1682

column/02630

口鰻「三福」 でうなぎ釜まぶしの起承転結パリッと濃いぃテカリ

sanpuku.jpg名古屋の佳品ひつまぶしと云えばまず、
熱田の「蓬莱軒」を思い浮かべちゃうのだけれど、
この地にしっかり根付いた鰻文化はそこここに鰻の老舗を擁しているようなのです。
こちら、金山駅南口すぐの「三福」さん。
和式なショーケースに広げられたお品書きsanpuku01.jpgを覗くと、
「うなぎ釜まぶし」と書いてある。
あれあれ?「櫃まぶし」では、ない?
確かめるべく暖簾を潜ってみましょう。

古びたカウンターの奥に狭い座敷が窺える。二階にも客間があるのかな。
カウンターの真ん中で、「釜まぶし」の出来上がりを待ちます。
奥の常連らしきひと影と会話を交わしているは、
こういう年期の入ったお店にぴったりのおばあちゃん。大女将とお呼びするべきか。


さも当然に、お釜がやってきました。
sanpuku02.jpgsanpuku03.jpg
そっと木蓋を返せば、立ち上る湯気。
てらてらと、やや鈍い濃いぃ色のテカりが如何にも香ばしそうだ。sanpuku04.jpg
幾重にも重ねたような、刻んだ鰻たちの量感も嬉しい。sanpuku05.jpg

溢れる涎を抑えつつ、平静を装いつつ、イワユル「ひつまぶし」三段活用の要領に準じてまずは、そのまんまモードで鰻とご飯を茶碗によそっていただきます。
うんうん、やっぱり外周の香ばしさがご飯をソソる感じがいい。
sanpuku06.jpgsanpuku07.jpgsanpuku08.jpgsanpuku09.jpg
葱や山葵の薬味を載せ加えて、ちょっとした変化を楽しんでからお茶漬けにするのがお約束。
やっぱり水っぽくなっちゃうなぁってことで三段活用ならぬ起承転結の結びを再び薬味載せで謳歌する。

折角のパリっとしたテクスチャーを楽しむには、そんな展開もオススメ。
もっとも、鰻のボリュームが揃ってないと叶わないのだけれど、ね。


鰻・割烹の「三福」の創業は、昭和25年。sanpuku10.jpg「まぶし」店リストの一角に入れておいてもいいかもしれませんよ。


口関連記事:名物ひつまぶし 「あつた蓬莱軒」本店 でカリしっとりなひつまぶし(06年06月)


「三福」 名古屋市熱田区金山町1-2-19 052-671-1496

column/02615

口江戸前「金井寿司」 で楽しいカウンター穴子笹焼き名物焼き寿司

kanai.jpgひとクセあるオジサンたちのパラダイス大井町東小路に、
「焼き寿司」も話題の寿司店があるという。
そうなりゃなんだか気になるよね~。
と、いふことで出掛けた宵闇の路地一本目。
中華「永楽」の勇姿を横目にそのまま進んだ並びにある暖簾が、
そう、「金井寿司」です。
路地の情緒にぴたりと馴染む佇まいでなのであります。

kanai01.jpg迎えるは、10席にも満たないL字のカウンター。
予約時からおまかせでお願いしてあったので、その通りでと確認してまず麦酒。
桜海老の甘さをツマミながら、ぐいと呷ります。


すっと渡された小皿には、白魚(しらうお)と蝦蛄。
のれそれにしては大きいし、平べったくないもんね。
kanai02.jpgkanai03.jpgkanai04.jpg
何気ないけどイケる酒肴が、蛸。胡椒を含むタレで和えたところが金井流だ。
続くお皿は、タイラ貝赤貝トリ貝青柳とヒモも含めて貝づくし。

んん~ん、やっぱりひや酒が気分かと白鶴のお銚子をもらっていい調子でくぴっとね(笑)。


そこへ、焼けた笹の葉らしきものを頂いたお皿がすっと届いた。
これが「金井寿司」名物のひとつ、「穴子の笹焼き」だ。kanai05.jpg

穴子を笹の葉で挟んで、コンロで炙り焼いたもの。
kanai06.jpgkanai07.jpg
中の穴子が温かしっとり柔らかとして、舌の上ですうぅっと消えていく。
おほほ~、これにはツメもいらないよね、って感じ。


勢いづいて、くぴっくぴっとしているところへ登場は、
中トロクラスのマグロを大胆なぶつにしてオゴ(オゴノリ)で和えたもの。kanai08.jpgよく刺身のツマとして食べられないまま虐げられている不憫な海草も仕立てようによっちゃー活きるだろってな心意気。
隣でつきじろうさんが「ご飯にのっけて喰いたい!」と叫ぶのに同感だ。


そしてまたまた「そーきたかー」の逸品が、小肌。kanai09.jpg〆た小肌にガリや大葉の一片を挟み、海苔で巻いて包丁を入れたもの。
サーモンピンクにも映る断面がソソるのだね~。


kanai10.jpgと、再びコンロの上の焼き網が活躍し始めた模様。
やってきました「金井寿司」名物のもう一翼、その名も「焼き寿司」。

ところどころ焦げ目がつくほどに炙った香ばしさと、なにより脂ののった鮪に含ませたにんにく醤油の風味がキモ。kanai11.jpgうははは、やべぇ、これ、うまい旨い、うははは。
隣のromyさんも感心しながら笑ってる(笑)。
こんなの正統派江戸前寿司からは邪道だ、なんていいっこなしよ。


築地の仲買に勤めていたこともあるという二代目大将の、往時の河岸事情話に感心したり笑ったり。
体育会系の懐の深さが頼もしく、気の置けないカウンターが楽しいな。


昭和25年創業の「金井寿司」。kanai12.jpg今度は、握り中心で「金井寿司」を味わい愉しむべく、東小路を辿りたいな。


「金井寿司」 品川区東大井5-3-5 03-3474-8840

column/02598

口鮨割烹「閒」 で落胆の握り六貫は京流か閒流か

aida.jpg桜の散り際を迎えた祇園の白川に架かる橋、新橋。
その橋近くに町屋の表情で構えるのが、鮨の「閒」です。
暖簾から短いアプローチを辿り進んだ1階のカウンターは、先客もなくがらんとしている。
桜の時季にこの状況とは果たしてと一瞬戸惑うも、間違えましたとも云えず(笑)、促されるままカウンターの中央へ。実は、とある書籍に載っていた「変わり鮨」と洒落てみようという目論見だったのだけれど、開いた品書きには、そのあたりの件が見あたらない。
訊けば、もう随分前に止めてしまったのだという。
あ、左様ですか。然らば、コース料理の「新橋」をお願いすることにしましょう。

aida01.jpg
名物と枕詞された、ねっとりした食べ口の「焼胡麻豆腐」が口開け。
そして、前菜「帆立とフルーツトマトのミルフィーユ仕立て」。
フルーツトマトのスライスが薄く過ぎて、フルーツトマトらしい甘い風味が活かされず、帆立と合わせた意図がよく判らない。
aida02.jpgaida03.jpg
続く御椀に浮かぶは桜鯛。
しゃきっとした若芽で囲み、桜の花の塩漬けをアクセントにしています。ただ、出汁は弱いか。

向付の三品は、三重からの直送天然ものだという鰹に鰤に鱸。
ポピュラーなお造りは、品書きの冒頭にある”選び抜かれた”タネだとは素直に思えず、伏し目がちになる(笑)。
aida04.jpgaida05.jpg
進め肴「汲み上げ湯葉とオクラの土佐醤油ジュレ」。
ただ醤油を垂らすのではなく、土佐醤油にしてそれをさらにジュレに仕立てた仕事は、湯葉のとろみとシンクロさせるもの。ふうむ、例えば湯葉を岩塩だけで食べさせるのじゃシンプル過ぎるものなぁ。


メインとも云うべき握りが六貫。
吸盤ふたつを載せた活蛸、きはだマグロ、ツメの弱い煮穴子、浅い〆の鯖、底にシャリを仕込んだ玉子、白身はグレ(関西で呼ぶところのメジナ)。aida06.jpg正直云って、桧のカウンターの鮨屋で寿司をいただいてこんなに落胆したことはない。
第一にシャリがシャリじゃない。
関西のシャリは甘い傾向があると聞くけれど、こちらでは砂糖を使っていないそうで、つまりはそんな甘さのふくらみもなければクっとした酢や塩の切れもない。あっけないほどのあっさり。ほろほろっと崩れる具合はいいのだけれど。

タネも上品と云えば聞こえはいいけど、迫ってこないというか、潜む旨味にも乏しいというか。
ああ、嗚呼。
aida07.jpg趣味志向が合わないからだとしても、もしや回転寿司に行けばよかった?と思わせるよな事態ってお互いに幸せじゃないよなぁと心に涙する。
折角のカウンターが静謐なままなその理由が判ったような気がしてしまう。


4年ほど前からツケ場を守っているという大将は、関西では、押し寿司がそうであるように“ご飯を食べさせるための寿司”なのだと云う。う~む、そしてこのシャリかと反って判らなくなってしまった。難しいなぁ。江戸前のつもりで食べる食べ手に決めつけが過ぎるのかもね。

洛中のお店だけで、東京での修行経験はないという大将。
つまりは、京流の握りということなのでしょうか。

食文化は上方からやってくる、と思うことも少なくない。
迎合しないことて守り抜いてきたことも多いのだとも思う。
でも、こと握りについては今や別だと思う。
もしも江戸前を知った上での京流ではないのだとすると、それは了見が狭いと思わざるを得ないな。


町家姿の「閒」に見送られ、aida08.jpg京都の他の店々へもお邪魔しなければならなくなったなぁと思案しながら歩くは、桜散る白川沿いの夜道でありました。


「閒」 京都市東山区祇園花見小路新橋西入ル元吉町57-1 075-531-5757

column/02578


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