とんかつ「燕楽」でカツ丼カツカレーロースカツ定食あの頃の溢れる活気と朗らかさ

enraku大門の駅を降りて地上に上がり、第一京浜から一本日比谷通り側の裏道を新橋方面へと歩く。
駅に近いだけあって幾つもの飲食店が連なっていて、角にある中国薬膳料理「味芳斎」の店先なんかを懐かしく思い、今もヌードポスターが貼ってあるのかと硝子越しに覗き込んだりする(笑)。
どふいふ訳か、焼肉系のお店が多いエリアだなぁと思ったりもする。
今はどの街でも肉料理の店が凌ぎを削っているけれど、この辺りはそれ以前から韓国料理店を含めた焼肉系のお店が多かったような気もします。

そんな裏通りは浜松町一丁目信号辺りで商店街の端に出る。enraku01頭上を囲うアーチで、
それが「芝神明商店街」であったことが判る。
そしてその向こう正面にポッと点る看板の灯り。
看板には”とんかつ”と書いてあります。

信号を渡り当の看板の主の場所へと近づけば、
岡持ちもまた看板代わりになっている。enraku02enraku03いつから用いているものなのでしょう。
藍染の暖簾がいい感じで色褪せて、
擦り切れたところに穴が空いています。

夕暮れの店内に入ってまず驚くのが、
先客のないこと。enraku04卓上のショップカードは、
1950年の創業と伝承の味であることを知らせています。

オーダーを告げたその後に、
コンロの上に使い込んだ親子鍋が置かれた。enraku05五徳が大きくて火が鍋の回りから零れるので、
持ち手が焼けてしまわないか心配になったりする(笑)。

お願いしていたのは「ロースカツ丼」。enraku06完成度を思わせる端正な顔立ちのドンブリである、
と云い切るには少々無理のある見映えではある。
営業形態が変わる前の築地場内「豊ちゃん」の「カツ丼」に見た、
三つ葉のあしらいや溶き玉子のかけ回し具合、
火の通りの加減などと思わず比べてしまいました(汗)。

もうひとつのカツ丼はドンブリが違うのですぐに見分けがつく。enraku07どっちと訊かれたらやっぱり「ロース」と応える。
でも、もうちょっと自分の年嵩が増したら、
「ヒレカツ丼」が好きだと云い始めるかもしれません(笑)。

妙にカレーも食べたくて「カツカレー」を所望した或る夕べ。enraku08コッテリし過ぎていない代わりに、
特段の深みもないカレーをソースとしてロースカツを頬張る。
お蕎麦屋さんのカレーに似た感じやもしれません。

ちょっと呑みたい時には麦酒ではなくてハイボール。enraku09細かく気の利く、中国系の方だと思われる女将さんが、
缶からジョッキに注いでくれるので、
角瓶と炭酸の割合は間違いはない。
「ロースカツ定食」を注文して、
添えてくれる「ポテトサラダ」と「お新香」をアテにして、
もう一杯(笑)。

ロースカツの揚げ上がりに思う遜色はなし。enraku10enraku11店内に貼られたポスターから、
使っている豚は平田牧場の三元豚であるらしい。
衣が豚の身から剥がれてしまっているのが少々残念だけれど、 火の通りや脂の程よい甘さに文句はありません。

季節が冬ともなればやっぱり、アレが気になる(笑)。enraku12enraku13黄色い品札にその名を見つけたならばの「カキフライライス」。
タルタルではなくポテトサラダが添えられるスタイルに、
丁度よいサイズのカキフライが基本形なる5連隊。
噛んでじゅわっと滲み出す牡蠣の旨味を味わいながらふと、
池上の「燕楽」には「カキフライ」があっただろうかと考え始めます。

創業1950年と謳う老舗とんかつ店「燕楽」は、
浜松町一丁目信号の近くの裏道にある。enraku14今を営むはどうやら三代目の方のようで、
女将さんと同じく中国系の方なのではないかと思われる。
ずっとずっと昔何度か訪れた頃の、
職人技の発露に集まるひと達の溢れる活気と朗らかさには、
残念ながら触れることが叶いませんでした。

「燕楽」
港区新橋6-22-7 [Map] 03-3431-2122

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