郷土料理「おば古」で むきそばこんにゃくかぶそぼろに庄内風情

obako.jpg縄暖簾の下がった入口廻りのちょっとした風格が以前から気になっていた、郷土料理「おば古」さんに闖入してみました。静かで落ち着いた店内の佇まいが、かえって夜の熱気の残り香をどこかに含むようなそんなコントラストを想わせます。カウンターの左隅では、ひと待ち顔のおっちゃんが既にビールを干している。使い込まれた湯煎器を前にするカウンターの右隅へ案内されました。おばちゃんに「カキフライ」と告げると「お食事セットでよろしいですね」と訊かれた。実は店頭の黒板の「カキフライ」の文字に反応してのことでもあったのだけど、そうか、「おば古」のお昼は、ランチセット、松花堂、座敷食事の3種のみなのですね。まず届いた「むきそば」がなにせ美味しい。涼しくした出汁が蕎麦の剥き身にすっと沁みて、少しほくほくとしたその身の風味と一緒に冷たい茶漬けを啜る要領でいただきます。続いて「あじ塩焼」と「かぶそぼろかけ」「こんにゃく味そ和え」がやってきました。目当ての「カキフライ」は立ち上がりの時季ゆえか、まだ小振りで牡蠣らしい豊穣さはいまひとつ。配慮をお願いすべきは、おきまりメニューの提供なのに、塩焼きやフライが冷めかかっていたところ。上階にも客間があるようで、人数への対応は難しい点もあるのかもしれないけど、叶うなら焼き立て揚げ立てをいただきたいなぁと、ね。そのあたりにも気を使って食事を供してくれそうな佳い雰囲気があるからこそ、望んじゃうってことなのですけれど。正面に見上げる黒板には、夜の酒肴メニューが白墨の麗しき書体でびっしりと書き連ねられています。「山形名物いも煮」「うなぎ養老煮」、食用菊「もってのほか」「きのことんぶり」「米沢牛味噌漬」「あけび田楽」「はらら子煮」に「出羽地鶏焼」「はたはた焼」。山形・庄内や出羽あたりの郷土料理が中心のよう。なんだか、ぬる燗きゅいっといきたくなってきちゃうね。夜に来なくっちゃだ。 「おば古」 中央区銀座1‐4‐10 03-3561-6466
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