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Restaurant「YEASTWEYL」で原木椎茸アミエビなめこじゃが芋鰻仙台牛芯々ロティ

今年の達郎師匠のコンサートツアー、仙台の会場はと云えば、仙台”サンプラザホール”。
そのホールの名前を聞けばやっぱり、1年前に閉館したあのホールの「さよなら中野サンプラザ音楽祭」最終日のことを思い出す。
閉館イベントのトリを務めたのが、我等が達郎師匠であり、そのコンサートに参加できたなんて、ちょっとした奇跡だったなぁと思い返したりもする。

盛夏の中の薄曇りの日。
そんな達郎師匠の、
遠征先でのコンサートを夕刻に控えた日中には、
仙台城跡(青葉城址)を散策し、
その麓にある仙台市博物館を観覧する。 案外見応えがあったねと話しつつ、
日本フィギュアスケート発祥の地、
五色沼を横目にして歩み、
広瀬川を跨ぐ大橋を渡り、ふと振り返る。

大橋を渡り終えた左手は、
櫻岡大神宮を軸に広瀬川沿いに広がる、
桜ケ岡公園の西公園。 西公園の通りを挟んで向かい側。
店の前に立てば、青葉城の杜が見渡せる。
そんな立地に、この日のために予約した、
おひるどきの目的地がありました。

引き戸の中の店内は、余計な飾り気のない、
でもデザインされ、洗練された見映えのする。 ハイサイドライトからは、
西公園の並木の緑が窺える。

カトラリーは、お手元のに抽斗に、
というスタイルは、スタンダードになってきた。 こちらのお店でもご多分に漏れず、
そこにメニューが忍ばせてある。
そしてそのメニューはと云えば、
一品に対して、素材3点程を並記するのみ。
最近こふいふメニュー記載の手法、
増えてきてますね。

おススメに応じてワインは、
おまかせのペアリングにしてもらう。 口開けのスプマンテは、
アットゥアーレAttuale。
肌理の細かい泡が印象的で、美味しい。

ひと品目のお皿のお題は、
「トマト ずわい蟹 カッペリーニ」。 味がぼやけないように、
塩をやや強めにしたカッペリーニは、
ひとまず具材の下に潜んでる。

フルールトマトのなかなかの甘味と酸味、
ずわい蟹の旨味と塩っ気の気配、
じゅんさいの食感と穂紫蘇の香り、
全体をそっと纏めるジュレ。
タイトル通りって云ったらそのままだけど(^^)、
うんうん、夏に美味しいカッペリーニだ。

ふた品目のお皿のお題は、
「椎茸 アミエビ なめこ」。 キノコ類ふたつにアミエビ、
つまりはオキアミとの組み合わせで、
果たしてどんな料理が出てくるだろうかと、
腕組み思案して想像するも、
まったくもってイメージが湧かなかった(^^)。

そんなこんなで、届いたお皿を覗き込む。 左手に鎮座する舟形は、
南魚沼産の原木椎茸に、
南三陸のアミエビのムースを詰めて、
生ハムと青菜で包んで焼き上げたもの。
ソースは、鳥海山のなめことアミエビ、
つまりは甲殻類的なソース。

舟形を横にゴロンとしてやっと、
大振りな椎茸だと確認できる。
椎茸の大きさにも少し驚いたけれど、
それ以上に、アミエビでムースって、
どんだけの量のアミエビを使っているのー?
と不思議な心持ちになる。 手間かかってるやんと思いつつ、
なめこのソースと併せ食べれば、
芳ばしくしたアミエビが顔を出す。
小さいヤツが主張する香りが、
なかなかのものであります。

ふたつ目のグラスには、
CHATEAU LA ROSE BELLEVUEのロゼ。 気取りなくそっと華やかで、
吞み口の綺麗なロゼであります。

三品目のお皿のお題は、
「じゃがいも 鰻 フォアグラ」。 福島産の鰻と聞いて、
茶色いブロックを改めて観察すると成る程、
鰻がじゃが芋にサンドされているのが判る。
鰻とじゃが芋を重ねて型に入れて、
オーブンで焼いたテリーヌだ。

ソースには、
煮詰めたバルサミコとドライフルーツ。 イチジクとクランベリーとレーズンを含めた、
酸味と仄甘さのあるそんなソースで、
じゃが芋とも鰻とも合うのが面白い。
その手前にあるのが、フォアグラのムース。
時にソースの代わりにどうぞ、と云う趣向だ。

よっつ目のお皿のお題は、
「メカジキ 枝豆 ハーブ」。 お皿のセンターに据えられるは、
エッジの利いたメカジキのソテー。
覗き込むと身肉の肌理がよく判る。

メカジキを支えるソースは、
白ワインと魚の出汁を使ったもの。 ソースには、魚の出汁がよく利いている。
そこへ夏らしく、枝豆、茄子やパプリカ、
ズッキーニ、茗荷、そして林檎など、
夏野菜の角切りを彩りよく添えている。

五つめのお皿のお題は、
「仙台牛芯々 きのこ 茄子」。 腿肉の中心、芯の部分を”芯々”と呼ぶそうで、
その芯々を塊のままローストしたものの、
火入れ加減や文句なし。
そこに寄り添うソースはと云えば、
アンズダケとも云われるジロール茸に、
ポルチーニとマッシュルームと、
ちょっと秋の気配(^^)。

そんな仙台牛には、
「じゃがいもと鰻」のお皿同様、
サブビジュアルの品が添えてある。 茄子の上に玉葱のコンフィと大葉を載せ、
オーブンで蒸し焼きにし、
グラナ・パダーノをトッピング。
時々茄子の合いの手を入れつつ、
脂軽やかな芯々を美味しく平らげた。

デザートのお皿のお題は、
「レモン クリームチーズ パイナップル」。 これはもう、お題のまんま、そのまんま(^^)。

予約の際に、シンプルなスタイルで、
お祝いのひと品もとお願いしていました。 するとなんと意外や、届いたお皿には、
ひらがなの縦書きの祝辞が描かれて。
ありがとうございます(^^)。

仙台は、青葉城址へと広瀬川を渡る大橋の袂、
桜ケ岡公園の西公園向かいに、
レストラン「YEASTWEYL」は、ある。 店名は、”イーストワイル”と読む。
その名の由来を訊いたら、
最近取材を受けたという雑誌を見せてくれた。
店名には、色々な思いを込めた、とある。
ひとつには、過去にあったあるいは昔ながらの、
といった意味を持つ”erstwhile”。
これまでに経てきた様々な歴史を踏まえつつ、
宮城や東北の今を表現し、
そして未来に繋げたい。
もうひとつは、イースト=酵母菌。
人と人との繋がり、地域の文化や観光、
ひいては行政の有り様にまで、
酵母菌のように作用して、
地域社会を活発化させる存在でありたい。
さらには、東北の”EAST”。
東北に根差して、
東北から普遍的な価値や魅力を創造したい。
東京生まれ、関東育ち、
内外で研鑽を積んだ俵山シェフは、
これからもっと東北の食材に出会いたい、
そう話すと記事にある。
今後さらにさらに進化・深化して、
シェフが目指すところの、
宮城・東北の土地に根差した食材を活かした、
かつ流行を取り入れ近代的であり、
そして、仙台・宮城・東北を代表するような、
そんなレストランになればいいなと、
秘かに応援しています。

「YEASTWEYL」
宮城県仙台市青葉区大手町7-21 [Map]
https://yeastweyl.jp/

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