博多ラーメンというジャンルに初めて出会い、すっかり嵌まったのは、なんだかんだ云ってもこの店の到来に起因している気がする。
その流れで、「じゃんがら」に通うことになったんじゃなかったかな。
その博多ラーメン「赤のれん」へ、久し振りに寄ってみました。
すっかり縁遠くなった六本木ヒルズ前から、
霞町の底へ向かってずっと坂を辿ると見つかる、
赤い暖簾に一抹の懐かしさが過ぎります。
きっとあの頃のままなンだろなぁと思いながら、
L字カウンターの奥へ。
捻り鉢巻の兄さんたちスタッフの年嵩や、
肝の据わった覇気と落ち着きに、
ちょっとした老舗の風格を思ったりします。
「チャーシュゥめん」に、
「のり」「味つけ玉子」を添えてもらいます。
ラーメンに「のり」トッピングをセットしちゃう習慣も、
「赤のれん」「じゃんがら」での繰り返しが習慣化したものだと、
今気づいたりして、ね。
褐色に白濁したスープに、
チャーシューの焼き目が絵を描くドンブリ。
少々慌て気味に、レンゲを手にスープを啜る。
ザ・乳化とでも詠んでしまいそうな、
マイルドスープに意外とあっさりしたコク味。
あの頃はもっと、屋台の醍醐味の片鱗をみるような、
トンコツの野生が毅然とあったような気がするのだけれど、
時代の趨勢か、世のニーズにアジャストさせるような、
調整がよりなされているのかもしれません。
振り返れば、女性おひとりの客が三人に、
子供連れのお母さん。
なるほどなぁ、でもこれはこれで悪くないなぁと思いながら、
啜る極細麺。
このちょっと平たい細麺も初めて食べた時は、
おおおと刮目したことを思い出す。
「麺カタで!」と叫ぶのが常であったなぁと。
うーん、久し振りに替え玉しちゃいましょう(^^)。
きっとあの頃はなかったのじゃないかなぁ、
そう思うのが、「赤のれん」の「味噌らぁめん」。
再訪しての「野菜盛トンコツ味噌らぁめん」を、
やっぱり「のり」トッピングでお願いします。
わざわざ”トンコツ”と断らなくてもいいのになぁと考えつつ、
でもそうしないとキャラクターが不明で、
「どんなの?」と訊くひとが増えるかもなと考え直す。
一見するスープの表情はやや白っぽいものの、
「らぁめん」と極端な差異はない。
白味噌の甘さが優しくて、
品よく纏めた今のスープは、
こういう仕立てでバランスをとることになるのだねと、
そんな風にひとりごちる。
例えば、「ど・みそ」の味噌ダレを導入しようとしても、
そうするとスープが弱いってことになっちゃうのかな。
でもでも、すんなりと舌に馴染んでするりと胃の腑に収まって、
気持ちも満足なんだけどね。
西麻布「赤のれん」が、
博多「赤のれん」から暖簾分けするかたちで、
東京に誕生したのが1978年のこと。
もう30年にもなるのだね。
新店と閉店が交差するラーメン界にあって、
この店もずっと此処にあって欲しい店の一軒です。
「赤のれん」
港区西麻布3-21-24 第五中岡ビル1F [Map]
03-3408-4775