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鳥「宮川」で 薄紅とりさし手作りしゅうまい鳥スープ雑炊夜の宮川

薄紅色のアーチで覆う桜満開の頃の様子が、特段と印象的な茅場町のさくら通り。
さくら通りと交差するすずらん通りとの角には、いまや道標のひとつにもなっている店がある。
暖簾には、左隅に小さく「鳥」とあり、外連味のない書体で染め抜いた「宮川」のふた文字。
お昼時には、必ずと云っていいほど行列が出来る。
酸味利かせたタレでいただく「鳥から揚げ定食」が、一番の人気だ。

そんな茅場町「宮川」の夜の部の始まりは、5時半。 何処からかいそいそと集まってくる客たちで、
硝子越しに覗く景色の人影が忽ち濃くなっていきます。

なんとか居場所が確保できたなら、
お通しの大根おろしに醤油を垂らしながら、
確かめるようにゆっくりお品書きを眺めます。 まず麦酒と言ってしまいそうになるの言い留めて、
吹上焼酎の水割りで始めるのも悪くない。

それは、捌き立てを想う澄んだ薄紅色の「とりさし」には、
麦酒よりも合うような気がするからなんだ。 湯びいた鳥刺しにわさびを少々載せて、
醤油にちょん漬けして口に含めば、
ねっとりとして透明な甘さが広がる。
添えてくれた鶉の玉子を解いてソースにするのもオツな食べ口だね。

そして、夜の「宮川」に席を得られたなら必ず注文したいのが、
ランチではいただけない、宮川謹製「手作りしゅうまい」。 大振りなしゅうまいから蒸し立ての湯気が上がってる。
其処此処に刻んだ木耳が表情を添えています。

添えてくれた小皿には、
酸味を足した醤油タレに少々の芥子の挿し色。
無造作に1/4程に箸で切り分けて、
そのタレにちょんと漬けていただきます。
粗めに挽いた鳥肉がしっとりほろほろとして、
軽やかな脂がじゅわと零れてくる。
成る程、木耳の食感もいいアクセント。
一人前は4個で、おひとりさまには2個にもしてくれるのだけど、
4個ならひとりでペロっといただけてしまいそうです。

焼酎の水割りが空いたなら、
やきとりの幾つかをお願いして、菊正宗を冷やで所望する。 いつもの「レバ」「つくね」に「かしわ」「ぼんじり」。
当然の鮮度と焼きの安定感に何気ない老舗の品格を思います。
「正肉」や「ねぎま」が品書きにないのも、
何かの拘りからなのかもしれません。

ランチでサービスしてくれる、
お猪口のスープも思い浮かべる「鳥スープ」で、
すっと〆るのも粋なのだけど、
もちょっとしっかり食べちゃいたい時には「雑炊」がいい。 鳥の旨みたっぷりのスープには、
「手作りしゅうまい」の具と同じつみれが浮かんでいたりする。
はふはふ、うんうん。
スープまでをほぼ飲み干して、
ご馳走さまと手を合わせましょう。

昼夜ともに満席の茅場町、鳥「宮川」。 今夜も、暖簾の間から店内を覗いては、
空席のありなしに一喜一憂するひと達の後ろ姿が見られそうです。

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「宮川」
中央区日本橋茅場町3-5-1 [Map]
03-3668-7080

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