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焼鳥「鳥長」で鳥のお刺身たたき生つくね焼鳥串鮮度と旨さの一体感練馬の住宅地にて

練馬駅界隈と云えばまず思い浮かべるのは、南口を出て千川通りを渡ってすぐのエリアの横丁だ。
練馬駅前信号で真っすぐ千川通りを突っ切った小路を往った「加賀屋」並びの角地に、もつやき「金ちゃん」があった。
コロナ禍の影響だったのか経緯は不明ながら、今は袖看板も外されて閉ざされた様子なのが残念でならない。

駅から南西方向にテクテクテクテク歩いて、
玄蕎麦「野中」へ何度か伺ったことがあるなぁ。
そんなことも思いながら目白通りを渡る。
横断歩道の向こう側にはダイビングショップがある。
ここには建物の一階二階を貫くダイビングプールがあって、
講習中に一度だけ潜ったことを思い出した。
そして、その先の住宅地の一角にあるのが、
今宵の目的地「鳥長」だ。

壁には外した看板の痕跡と思われる正方形がふたつ。
扉の前に暖簾がある訳でもなく、
そば焼酎雲海提供の成型看板がなければ、
きっと此処が飲食店であるかどうかさえ判らない。 ちょっとした隠れ家っぽさに期待が膨らみます(^^)。

カウンターの隅に腰掛けてまずは、
お飲み物を物色する。 此処「鳥長」が用意する麦酒は、
サッポロの生、エーデルピルスか、
同じくサッポロの瓶、黒ラベル。
決してスーパードライなんかを置く気配のないのが、
出足から好感だ(^^)。

お通し的小料理が、見た目素朴なおしんこ。 大根は定番なその一方で、
レタスのおしんこはありそうでいて、
そうそうお目にかかるものでもない。
シャクっとした歯触りが面白くて、いい。
予約時からお決まりのコースなので、
この場合、お通しではなく、
先付けと呼ぶべきなのかもしれませんね。

続いて届いたのは、白い三品皿。
題して「生つくねと鳥のおさしみ」。
右から胸肉の刺身、生つくね、
そして、レバーと砂肝のお刺身と並ぶ。 細切りにした長芋の上には、
ふわっとして旨味たっぷりの胸肉の刺身。

胸肉に感心しつつ口にした生つくねが、
これまた凄い。 鮮度の高い鳥の生肉の魅力が、
口の中で小さく炸裂する。
正にそんな感じだ。

そして、鳥の生の魅力の三段活用のトリが、
レバーと砂肝のお刺身。 大蒜風味のタレにちょんと浮かぶ。
食中毒騒ぎから縁遠くなった鳥レバーや砂肝。
何年振りの邂逅でありましょう。
嗚呼、こんなにも美味しかったのですね。

鳥のお刺身を食べてその後、
体調を崩したのかと云えば、
決してそんなことはなく元気そのもの(^^)。
詳しく訊くことは控えたけれど、
きっと、生食用鳥肉として育てられ、
提供までをしっかりと管理されたものであるが故、
自信をもって供してくれているものと思います。
例えば、鹿児島県や宮崎県の衛生基準にも合致した、
管理と調理がなされていなければ、
トラブルが怖くてメニューに載せることはできない、
そんな風に勝手に解釈してみたりする。

続いて届いたのは、二品皿。
右が胸肉のたたきで、左が腿肉のたたき。 ディルをあしらった胸肉にそっと嚙り付く。
柔らかな外周に包まれた中心のレア部分が、
艶めかしくもすっきりと美味い。
塩加減の絶妙さを思ったりする。

右手の腿肉はタレとお友達。 一瞬の抵抗の後さっと歯の先を受け入れてくれる。
そして、咀嚼するほどに旨味が花開く。
うーん、こちらも美味しい(^^)。

座ったカウンターの目の前には、
シングルモルトや焼酎たちのボトルが並んでる。
「ichiro’s」もあれば「Arran」もずらりと。 そんな中からシェリーカスクの「Arran」を選んで、
ハイボールにしてもらいます。
これを焼鳥店で呑めるなんて、ちょと嬉しい(^^)。

「Arran」のハイボールを舐めながら厨房をふと見ると、
どうやら焼き台が本格稼働を始めた模様。 焼鳥串4本のうちのひとつ目が、つくね。
さっき食べて秘かに感激していた、
生つくねと同じものを串焼きしたもの。
ふわっとして、繊細な香ばしさのする。
焼いてなお鮮度を思わせるなんて、
なかなかのことだね。

グラスのハイボールを今度は、
「ichiro’s Malt」の”MWR”にしてもらう。 “MWR”とは、Mizunara Wood Reserveの頭文字。
ミズナラ樽で再熟成したヴァッティングモルト、
ということ、らしい(^^)。

続いて届いたのは円盤状の焼き物。 なんだろうと思いつつ齧れば、
ご存じ、蓮根独特の歯触り。
蓮根に詰めたのは例の生つくね。
刷毛塗りの醤油タレもいい塩梅だ。

ふたたびイチローズを舐めながら焼き台を眺める。
そんなひと時も悪くない(^^)。 小さくとも肉ゞしい串は”そともも”だという。
“そともも”をそとももとして口にしたのは、
お恥ずかしながら、初めてのことだったかもしれません。

続くお皿は、コース唯一の揚げ物。 三品皿でも二品皿でも感心した胸肉が今度は、
繊細にして丁寧な衣のカツになってやってきた。
おろしたての山葵がいいアクセント。
これが美味しくないはずがある訳ない、ね。

モルトたちの棚から外れて、
座った席の正面に飾られていたボトルがあった。 それは、麦焼酎「壱岐島」のシェリーカスク。
まるで泡盛の古酒のように、
9年もの長期に熟成したものらしい。
たまたま視線のあったご主人が、
我が意を得たりとススメてくれる。
そっと舐めれば、シェリーフィニッシュのモルトの風格。
色合いを含めてこれは最早、焼酎ではありません。

そんな「壱岐島」のグラスを、
銀杏の串でちびちびと舐める。 手羽先の品のいい脂にこれまた感心しつつ、
ふたたびグラスを傾けた頃には少々、
いい気分が益々いい気分になってきた(^^)。

コースの”しめ”に用意されているのは、
ミニラーメンかミニミニラーメンか、
麺抜きのラーメン、つまりはスープか。 お腹の具合に合わせてね、
という心遣いが有難い。
ピンクペッパーの風味も粋な”しめ”であります。

練馬駅最寄り、目白通り南側の住宅地に、
焼鳥「鳥長」は、ある。 鮮度抜群の旨さ。
そう書くとなんだか陳腐な表現だけれど、
美味しさと鮮度を一体で感じさせてくれたという、
そんな印象が強い。
ご主人の佇まいや面構えには、
実直さとセンスがよく滲む(^^)。
滋賀の活地鶏専門店からの仕入れでは、
とのレビューをSNS上に読むけれど、
今度は可能な範囲でそのあたりも訊いてみたい。
冬場の鍋もきっといいね。

「鳥長」
東京都練馬区豊玉北4-31-8 [Map]

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