日増しにひとが増えて、おひる時にはずらっと行列をつくっているのが連日のこととなりました。
思えば、八重洲通り沿いに行列をつくるような店が嘗て他にあったかどうか、思い浮かぶものがありません。
「七彩」を知らなかった八丁堀界隈のひと達が、なんの行列だろうと通り縋りに振り返り、やや奥まった店先を眺めゆく。
そんな光景もそろそろ落ち着いて参りました。
開店からちょうど2ヶ月が経とうとしていた9月初旬。
また、朗報が届きました。
去年、八重洲地下街に行く間がとれず涙を吞んだ、
あのトウキビ冷やしが、
昨年同様期間限定で登場するというのです。
その初日、いそいそと平成通りとの交叉点近くに急ぎます。
開店前であっても当然のようにそこにある行列。
並んでいたら、久し振りにナマ大崎御大にも、
相見えたりなんかいたします。
ご註文は勿論「幻のトウキビの冷やし麺」。
例によって、奥のスペースの椅子に座って、
カウンターが空くのを待ちましょう。
やっと出会えた、
黄色一色がなみなみとしたドンブリをしばし凝視(笑)。丁寧に搾り出した様子を想像させる、
滑らかな湖面でありますね。
表面には胡椒を浮かべ、
その先には千切りにした焼豚に唐黍の欠片。唐黍は、岐阜県高山市高根町から届いた”タカネコーン”。
高値ではなくて、高根のタカネ(笑)。
市場になかなか出回らないことから、
”幻の”と肩書きされるようであります。
紅い匙の沈み具合から、
その粘度を推し量ってみたりする。そんなことせんととっとといただけばいいのですけどね(笑)。
その匙で掬った黄色をじっと味わう。
焼き立てのコーンに齧り付いたあの甘さとは、
少々ノリの違う品のいい甘さ。
それが味蕾から脳裏へと広がってゆく。
胡椒の風味が輪郭を添えていい感じ。
これ温めたら、この三倍増し位の甘さが弾けそうな気もします。
おもむろに箸の先を黄色い湖面に突き刺して、
掬い上げた麺はいつもの手打ち麺ではなくて、
細めにしてプニとした仕立てのヤツ。これ以上ない程にたっぷりとトウキビ汁を纏ってくれます。
しっかり冷たくしたトウキビソースに〆た麺。
サラダ麺を食べてる感じを刻んだチャーシューが、
いいリズムをフォローしてくれています。
ローストビーフタイプを刻んだところが、
ちょっとした肝なのかもしれません。
裏を返してその翌日(笑)。
基本形「喜多方らーめん(醤油)」に、
「幻のトウキビ飯」をドッキングしてしまいましょう。
擂り流し的唐黍汁に焦げ目が浮かぶ。
バーナーで炙ったそこには、
パルミジャーノレッジャーノ。コーンとパルミジャーノの相性が悪かろう筈もなし。
温めて、吃驚するほど甘さが炸裂する訳ではなくて、
まったりと滋味が増した小どんぶり。
今度は「喜多方らーめん」が、
小どんぶりのスープにもなるという、
そんなリッチなおひる時でありました。
秋口の一週間限定で、
「幻のトウキビ」を繰り出した麺や「七彩」。また来年も出会えるのかな。
「七彩」八丁堀店
中央区八丁堀2-13-2 ドミノビル [Map] 03-5566-9355
http://menya-sichisai.seesaa.net/