純手打生蕎麦「奥藤 本店」で鳥もつ煮発祥の蕎麦の店信玄公像と舞鶴城公園の桜と

okutou甲府というと思い出すのは、そのちょっと先にある北杜市のこと。
中央本線の小淵沢駅からクルマで赴いたのは、サントリーの白州蒸溜所。
木々の間から覗いたキルンを模したという双頭の建物「ウイスキー博物館」で貴重なボトルたちを眺め歩いてから、蒸溜所のポットスチルをまじまじと見詰めたり、貯蔵庫に壮観に並んだオーク樽の山にオオオとただただ感嘆したり。
勿論、10年12年18年ものを呑み比べたり、「白州25年」なんぞも舐めたりして、とっても有意義な時間を過ごせたのでありました。

それからなんと7年程振りに乗り込む「あずさ号」。okutou01なんか車両がすっかり新しいような、前回もこの車両だったような。
ここでE257系の薀蓄を語れないようでは、鉄ちゃんには なれません(泣)。

そんな中央本線新宿駅9時発JR特急は、あずさ号9号。
あずさ2号は今は、信州に旅立つ旅客ではなくて、松本始発の上りの一番列車であるらしい。
ちなみに新宿発8時ちょうどの列車は、スーパーあずさ5号。
あ、前回はあずさ号ではなくて、きっとスーパーあずさだったんだ。

およそ100分の旅程を経て到着した甲府駅の南口駅前広場。
そこにはデデンと武田信玄公があらせられる。okutou02甲斐の国の守護大名、ここにありという風格でありますね。

午前中の用事を終えて向かったのは、身延線の国母という小さな駅。
辿り着いたのは静かな住宅地の中の蕎麦の店。okutou03okutou04手打ち蕎麦屋なのだけど、暖簾の手前には「元祖鳥もつ煮」の立て看板。
暖簾の内側にも「元祖鳥もつ」の大看板。
その隣には、「B-1グランプリ全国制覇」の文字が躍っています。
そんなことはもう、皆さんご存じですよね(笑)。

素直な気持ちで選んだのは、おすすめの「甲府鳥もつセット」。okutou05鳥もつ煮の小盛りにもりかかけかの蕎麦かうどん、小さめご飯に香の物がつくというものです。

どれどれと「鳥もつ煮」を凝視する。okutou06テラテラと照る様子から既に甘辛い風情が滲み出ています。
レバーにハツ、砂肝、キンカンまでもが濃いぃ飴色に包まれて、それぞれの食感と滋味を何気なく主張してくる。
品書きを改めて読むと、「甲府鳥もつ煮」は戦後間もない昭和25年頃、この店「奥籐」で誕生したとある。
“どこが元祖だ問題”は、色々な土地や事柄で起こり得ることだけど、こちらが甲府の「元祖鳥もつ」発祥の地なのでありましょう。

どうも鳥もつ煮にばかり気が向いてしまいますが、こちらはそもそも蕎麦屋さん。okutou07田舎蕎麦とは趣の違う蕎麦は、量を拵えているがゆえの端正さなのでありましょか。
仄かな香りと喉越しは決して観光地的ものじゃない。
なかなか美味しゅうございます。

腹ペコに勢い込んで註文んでしまっていたのが「信玄鶏の天ぷら」。okutou08初めて見知る”信玄鶏”。
名前そのものにはあやかり系の匂いも少々思うものの、身肉の味わいが濃くって旨い鶏天麩羅。
麦酒が呑みたくなってきました(笑)。

1913年(大正2年)に甲府の駅前に創業した手打蕎麦「奥藤本店」は、
甲府鳥もつ煮発祥の店。okutou09創業来一世紀を経て今なお親しまれ、繁盛している様子は、素晴らしい。
B-1グランプリによる町おこし取り組みも伊達じゃぁないなと、やっとこご当地に来れて思うのでありました。
事務局長、お元気かな。

午後の用事を済ませて、上りのあずさ号の時間までの束の間を甲府駅近くの舞鶴城公園を散策する。okutou10時季は桜の散る頃。
鉄門(くろがねもん)の前に置かれた解説を読むと、甲府城は豊臣秀吉の命で浅野長政・幸長によって築城されたもだという。
武田信玄の城ではないのかと頭の中?マークで一杯になったのも歴史的知識の浅きが故。
信玄公は、生涯城を持たなかったようですね。

「奥藤 本店」
山梨県甲府市国母7-5-12 [Map] 055-222-0910
http://www.okutou.com/

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