国分寺駅の北口にあった「甚五郎」は、とっても印象に残る、そして本気で打ったうどんが旨いお店でありました。
残念ながらそんな味ある店は、北口駅前の再開発により取り壊されてしまいました。
ただ、倖いなことに既にその近所に構えていた店に移転統合して「国分寺 甚五郎」として営業が継続されています。
そんな「国分寺 甚五郎」からスピンアウトした店があると知って、お邪魔する機会を窺っておりました。降り立った東小金井駅は、装い新たな感じ。
蒼穹を背にした駅舎を見上げていると、ここへ以前立ち寄ったのは高架化される前のことなんだろうと気がつきます。
「東小金井 甚五郎」は、南口を出て徒歩2分弱。角を折れると、建物側面の壁に木目の看板が見つかる。
店先に暖簾を収める場所はあるのに暖簾は提げてない。
出し忘れってことはないよなーと思いつつ、案内されたテーブル、いやカウンター席に腰を据えます。壁にぶつけたテーブル、いやカウンター(ややこしい)は、おひとりさま用にしっかり分かれているのがちょっと不思議な感じがいたします。
ご注文は勿論「肉づけのおうどん」!
ではなくて、「肉づけのおうどんおそばの合盛り」。「国分寺 甚五郎」でもいただいたメニューです。
うどんは、如何にも手打ちの灰褐色。食べ啜る前からその歯応えが伝わってくるようです。
肉汁は、醤油控えめの具も汁もたっぷり系。飲み干せるタイプの汁だとお見受けします。
啜れば納得の粉の風味にゴリムニュ食感。やや柔らかめの感じもするけれど、文句はない。
品書きでは、地元武蔵野台地で生産された小麦粉を使用した手打ち麺「武蔵野うどん」と明快に謳っていて、頼もしくも気持ちいい(笑)。
武蔵野台地の何処で生産された粉なのかな。
農林61号ではないのかな。
北風の強い日にふたたび東小金井駅に降り立てば、駅前の「宝華」という中華料理屋の前に数人の空席待ちがある。
油そば的「宝ソバ」とか炒飯が人気らしいのかと考えながら徒歩2分。
寒風に晒されたそんな日には、壁の品札にあった「牡蠣のおうどん」を所望します。こね鉢のような大きめのドンブリでドーンと届いた器には、広島産という牡蠣の身がごろごろっと載っている。
早速そのひとつを口に運ぶと、清澄な海域で採れたであろう様子が浮かぶ澄んだ旨味が弾けます。
熱々の汁は味噌仕立て。
その熱々の中にはあっても一定の歯応えを当然のように主張するうどん。汁にも牡蠣のエキスが滲んで迫る。
つけ汁でいただくのがやっぱり一番似合うけど、温かいのも負けず劣らず悪くない美味しさです。
「国分寺 甚五郎」からスピンオフして東小金井に陣取れば、その名は「東小金井 甚五郎」。「国分寺 甚五郎」の武蔵野うどんDNAを真っ当に引き継ぐ店として覚えておきたい拠り所です。
「東小金井 甚五郎」
小金井市東町4-43-10 [Map] 042-383-0151