夜歩いて向かう途中にちょっと道に迷って、
コンビニ裏でたまたま出くわした青年が、
友達に待ちぼうけくらってヒマなのでと、
親切にも鈴子公園まで車で送ってくれた。
訊けば釜石シーウェイブスのラガーくん。
レギュラーではないけど頑張っているって、
そう云ってたっけ。
翌朝、朝風呂浴びて、ホテルをチェックアウト。
曇り空ながらそんなに寒くないねとふたたび港方面へと散策する。ところどころ路面が凹んだ岸壁に佇んで、
薄日を浴びながら眺める港は風もなく穏やかで。
なんだか心地よくて、数年前にそんな大波が襲ったなんてことを一瞬忘れそうになる。
でもすぐ横に立つ合同庁舎の外壁には、津波の水位を示すパネルがみえる。
低い堤防の内側には、所謂魚河岸があったようなのだけど、
今はもう、その跡形すらありません。
その足で市庁舎の裏手にある天神町の仮設団地へ。
知人一家が今も暮らす仮設住宅を訪ねた。
ぎゅっとコンパクトなところの随所に暮らしの工夫がある。
壁が薄いだけで色々難儀なことがある。
ひと回り大きくなった子供達に元気もらってしまいました。
どのあたりでおひるご飯したらいいかなーなんて話もしつつ、
仮設住宅と子供達に手を振って、坂道を戻る。
その途中で見付けたのが、蕎麦屋の裏手にある魚屋さん。
小学生くらいの跡継ぎ息子がはりきってお店の手伝いをしてる。
既にいっぱしの魚屋の顔つきをしているのが頼もしい。台の上は、築地場外の魚屋も一目置きそうな品揃え。
「釜石港産」のシールを載せたなめた鰈に黒ソイ、海鼠、
喜知次に目抜けに金目鯛なんかが豪快に並んでる。
土産モノにと瓶詰めとか乾物あたりを物色するのも愉しいね。
すぐ近くのホテルに戻り、預けていた荷物を受け取って、駅へと向かいます。
駅のロータリーまで来たら、横断歩道の向こう側にロケ隊らしき一群がいる。
中心人物はと探すと、それはご存知新沼謙二。
釜石のお隣、大船渡の出身なんですよね。
横断歩道で新沼謙二と擦れ違い、そのまま入り込んだのが、「サン・フィッシュ釜石」。駅前橋上市場と副題のある「サン・フィッシュ釜石」は、
かつて市内の甲子川に架かる大渡橋の上にあった市場を新築移転した施設であるという。
一階には、鮮魚や干物乾物、珍味などの海の幸などを扱う店々が並んでる。
はまゆり飲食店街の「うさぎ」でいただいた「まつも」なんかを買い求める。
ホテル裏の魚屋には、釜石港産の魚介が揃っていたけれど、
此処では、北海道や海外からのモノも少なくないのが微妙なところ。
魚河岸や港の施設が復旧していないことが陰を落としています。
お腹空いたねと二階へと上がり、萌黄色の暖簾の架かる「まんぷく食堂」へ。
まず麦酒!かなんか云いつつ、大判パウチのメニューを捲ります。
「焼きうに・ホタテ コロコロ丼」「いくら醤油漬・ホタテ シコシコ丼」に、
「三陸釜石お宝丼」「あわび海の小判丼」などと、
あんまり嬉しくないネーミングに少々鼻白む。
「三陸海宝漬け定食」をいただくのが、こちらでの王道かなぁと思いつつ、
目に留まったのが、雲丹を塗したおにぎりの写真。
「かぜおにぎり定食」をいただきましょう。
刺身の鉢とお惣菜の4点盛りの皿がまずやってきた。そこに煮物のお皿もついてくる。
麦酒のあてにはちょうどよいけれど、
これらを上手に省いてシンプルな膳にして、
値段(2,300円)を下げて欲しいと思うヒトも少なくないだろなぁと思ったりする。
主役はどどんと焼き雲丹を頂いた大振りおにぎり。
雲丹のことを浜言葉で「かぜ」という。カタチ歪なにぎりっぷりは悪くない。
解さずそのまま大口開けて齧り付く。
成る程、雲丹丼とかよりもさらにダイナミックに、
雲丹とご飯をかっ喰らう感じになって面白い。
これを夏の生雲丹で喰らったらもっと旨いだろなぁと思う一方で、
雲丹は軍艦でいただくのがやっぱり一番かもとも思ったりなんかして。
色々と難しいものですなぁ(笑)。
釜石駅駅前に建つ橋上市場「サン・フィッシュ釜石」二階に「まんぷく食堂」はある。三陸海宝漬けで有名な「中村家」が営む食堂としても知られている「まんぷく食堂」。
ただ、「海宝漬」は、その食材も帆立やいくらなどは、北海道のものであるらしい。
それらもやはり、釜石の港から上がる魚が戻っていないからでありましょうか。
この日だけの印象で云えば、
駅前のこの施設にあるからこそ集客が叶っているのではと思わずにはいられない。
橋上市場が地元釜石の港から運ばれた魚介に満たされて、
観光客はもとより、地元民にも親しまれるようになる日が早く訪れるといいなと思います。
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「まんぷく食堂」
釜石市鈴子町2-1 サンフィッシュ釜石2F [Map] 0193-22-2255