
かれこれもう10年以上前のことでしょか。
今は別の健診施設にお世話になっているけれど、
そこに替わる以前の健康診断は、
何故だか京成立石にある古びた診療所のようなところで受診していました。
検査後の帰り道には、立石のどこかに呑みに寄る。
まだちょっと陽は高いけど、
みんなしてバリウムと下剤を飲んだお腹を抱えつつ、
それが毎度の恒例行事になっていました。
同じ健診を受けていた同僚の中には、
勤務前でも築地の場内場外で朝から本格的に呑んじゃうこともある、
ステキな先輩が、いた。
その呑ン兵衛な先輩が、健診後の立石で我先にと飛び込む店があったのが、
京成立石駅前「立石仲見世」のアーケード。
ご相伴に与ろうと追随を試みるも、
既に満員御礼であることに驚愕とすることも恒例であったのが、
そう、ご存知「宇ち多゛」なのでありました。
結局一度もお邪魔したことがないと嘆いていたところ、
習志野習志さんからお声掛けいただき、懐かしの京成立石の駅に降り立つ。

立ち喰い寿司で有名な「栄寿司」の暖簾を横目にアーケードに突入します。
なんとか口開けの店内に潜り込んで見上げる裸電球。

常連さんエリアとそうでもないカウンターと。
一種独特の熱気と緊張感を帯びた空気に包まれます。
ひと口麦酒からと所望すると、
やってきたのはキリンラガーの小瓶。
何気にうーむやるなと唸らせる選択ではありませんか。
スペシャルメニューのひとつらしい「シンキ」のお皿。

「テッポウ」と「コブクロ」のコンビが「シンキ」なのだけど、
今回は、コブクロがなく、代わりにガツナマとなる。
直腸であるところの「テッポウ」の、ふにゅくにゅ食感が堪りません。
続いて届いた串が、「ツルタレよく焼き」。

芳ばしく炙った外側からその中へと滲みるタレ。
一瞬の噛み応えが解けて、滋味が炸裂。
「ツル」ってどこでしたっけと問えばなんと、俗に云う「おちんちん」であるという。
ああ、美味しいものなのね(笑)。
下町の、そして「宇ち多゛」の酒といえば、「焼酎のウメ割り」。

色付け程度にさっと垂らす梅シロップなので、
実態はほとんど甲類焼酎のストレート。
昼からこれは、ガツンと効くこと間違いなし。
美しく、エッジの利いたフォルムでやってきたのが、「タンナマ」。

加減よくボイルしたタンのスライスに醤油タレ。
パサつく気配なんてまるでなし。
“ナマ”と呼ぶのがすっと馴染む、官能的な生々しさに惹かれます。
「ホネ」と云えばつまりは、豚の顎の肉入り煮込み。


骨から剥がすようにしていだだく肉も意外な量感。
思わず手掴みで挑めば、なんかこう、野生なハイエナな気分もいたします。
スペシャルなメニューを経てから、
「ハツ塩」に「レバ塩」。

捌き立てを思う、やや大振りなもつの身が温められて活き活きと中から膨らみ、
炙った表面に張りをつくる。

「おしんこ」と前後して、
「焼酎のウメ割り」のお代わりをいただく頃には、
一杯目の酔いが回ってハッピーになってくる(笑)。
程よくジューシーなカシラは、「カシラタレ」で。


ナンコツはやっぱり、「ナンコツ塩」で。
鶏の軟骨とは似て非なる食べ口でございます。
最後は、「シロタレよく焼き」で大団円。

ザ・ホルモンのシロは塩もいいけれど、
成る程香ばしくタレで焼き炙れば、これまた旨いんだと知りました。
ずっとずっと気になっていた、
京成立石の有名もつ焼き店「宇ち多゛」に初見参。

習志野習志さん、お誘いありがとう。
身を寄せるように過ごした、一時間にも満たない時間は、
実にめくるめくよなひと時でありました。
「宇ち多゛」
葛飾区立石1-18-8 仲見世商店街 [Map] 03-3697-5738
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