東横線の祐天寺には、
祐天寺というお寺があるのを知っていますか。
きっとどっかにあるのだろうと、そんな感じのヒト、少なくないよな気もします。
祐天寺駅から鉄チャン御用達のカレー店「ナイアガラ」前を通り、駒沢通りへ抜けたところにあるのが、そう、祐天寺。明顕山祐天寺は浄土宗の寺院のようですね。
その門前に揺らめくトリコローレの旗
が、見つかりました。それがイタリアン「ラ・ロゼッタ」の目印です。
このくらいのハコがいい。
こじんまりとしながら適度な距離感があって、それでいて家庭的な雰囲気の一体感を帯びています。
イタリアンに来ても、まずビール(笑)。
ということで、ローマの麦酒「PERONI NASTRO AZZURRO」。
フルーティなでも甘くない呑み口が嬉しいな。
まずは、前菜のひとつにと、「サザエのエスカルゴバター焼き」。
例のたこ焼き的器の穴凹では、灰緑色のソースがぽこぽこと沸いています。
エスカルゴの代わりにサザエを使っているわけだけど、大蒜とパセリの風味が解けたバターと一緒に掬ってハフハフといただけば、サザエの肝の磯っぽさがふっと追い駆けてきて、なはは、旨い。
お供のワインは、
サンジョヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニョンとのブレンドだという「Don Camillo 2006」。フルーティな表情とタンニンを含むたおやかな芯がバランスして美味しいワインだ。
岩塩でいただくモッツァレラ。「イタリア産生ハム モッツァレラチーズとカポナータの盛り合わせ」をぺろっと平らげて、自家製パスタが並ぶあたりで視線を上下。
フェットゥチーネかタリオリーニか、いっそラザーニャか。
いやいや、すんなり合意はじゃがいもニョッキ。
「自家製じゃがいものニョッキ ゴルゴンゾーラチーズソース」をいただきます。
ふにぃほろっと歯の先舌の上で崩れる食感にはでん粉のどこか甘いよな風味を含み、それを加減のいい青カビチーズのコクが包んでいる。うんうん、頷きながらこれまたぺろっと平らげる。ニョッキって、gnocchiって綴るンだね。
メインにと「米沢牛内モモ肉のグリル 12年熟成バルサミコがけ」。
温めた程度のレアな米沢牛の蕩け具合にも目を瞠るけど、その背後を守る野菜たちがまた興味深い。うるい、こごみ、小茄子、小メロン、黄色い人参、丸小さい大根……。
「おいしいホンモノ食べる会」というチャネルがあって、そこから仕入れる野菜がなかなかのスグレものなのだそうだ。ほ~。気がつけば、牛肉そっちのけで、「この野菜なに?」なんて訊いていました。
メインのもうひと品が「島根県産猪バラ肉のさっぱり煮込みシェリー風味」。
ビーツが染める赤いソースに浮かぶは、野太い葱と柔らかく柔らかく煮込まれた猪のバラ肉だ。
スプーンで掬えちゃいそうな柔らかさには脂ぎったクドサなく、野卑な匂いもまるでない豚バラならぬイノバラ。
こちらのお皿も野菜が肉に負けない主張をしていて、下仁田っぽい短か太い葱や牛蒡が猪をがっちりガード、同調しているのだ。
調理前の葱を見せてもらったりなんかして。
デザートに「フランボワーズのセミフレッド」。
木苺の半分冷たい。つまりはラズベリーのエアインアイスだね。
店名の「La Rosetta」は恐らく、ローマのレストラン「La Rosetta」か、もしくはホテル「La Rosetta」に因んだものだと、そう思う。駅から離れていることもあってか、平日の夜は静かな「ラ・ロゼッタ」。
シェフの工夫がすっとお皿の上に表現されて、ちょっと珍しい野菜たちも愉しめる。きっと週末には地元のひと達でしっとり賑わっているンだろなと、そうも思います。
「La Rosetta」 目黒区祐天寺1-16-4 03-3794-0117
http://ameblo.jp/larosetta/
column/02535