そんなことも思いながら、 寄り道するなら此処がいい、と潜った若竹色の暖簾は、 うなぎ・焼鳥「鳥徳」の暖簾です。
穏やかにざわめく、オトナな酒場然とした一階正面のカウンターへ。仕切り硝子の対面は、二台並んだ焼き台で、 その奥でも意外と沢山のひとが調理に勤しんでいらっしゃいます。
売り切れ御免の鰻「きも焼き」の有無を一応訊ねてみるも、案の定。 同じく「俱利伽羅焼き」も売り切れ仕舞い。 然らばまずはと、「鶏屋のモツ煮」から。一見、濃いぃ味のようにみえて、さらっとした仕立ての汁。 旨み湛えるモツの具沢山に煮玉子のほっこりが嬉しいな。
千葉産無農薬野菜を使ってるという「とりとくサラダ(小)」が想定外のヒット。ありがちな野菜のサラダではなくて、 香りと歯触りに主張のある野菜たちがあれこれと詰まってる。 鶏ささみに添えた野菜は、蔓紫に空心菜、千筋京水菜にルッコラ、グリーンケール、 といったところでしょうか。 そんな質問が多いのか(笑)、主だった「サラダの中身」を説くシートが用意されています。
やっぱり焼鳥もいただかなければと、タレの「レバ」「つくね」。艶かしく迫る串ではないけれど、 旨みの凝集感が流石老舗の仕立て、という印象を抱かせます。
もしかして盲点かも、 なぁーんて思い付いて「チキンカツ」をとホールのおねえさんに声を掛けると、 並、上とありますが、と意外な展開。一瞬たじろいで、「上」をお願いすると、 所謂平たいカツのスタイルではなくて、一見すると牡蠣フライのようなフォルム。 チキンだよね?と確かめるように歯を立てるとこれが、中でジューシーな鶏肉が弾けるという按配になっております。 ちなみに、「並」は普通の平たいヤツのようです。
「だし巻き玉子焼き」をお願いすれば、どどんと量感あるお皿。四角く整えられていて、どちらかといえば固めの仕上げ。 玉子自体の仄甘さと優しい出汁の風味に癒されるかのようです(笑)。
〆にと「うな茶漬け」。これはもう、説明するまでもありませんね。
明治時代の創業から続く、焼鳥と鰻料理の老舗、茅場町「鳥徳」。Webサイトには、 “「鳥徳」の由来は初代、徳太郎の徳の字とお店の売りである鶏料理を合わせたもの”とある。 最近上階にはお邪魔してないけれど、 全部屋畳敷きの二階の座敷もまた、古民家の情緒色濃い。 それは、初代がひょっこり顔をだしても違和感のない風情なのであります(笑)。
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「鳥徳」 中央区日本橋茅場町2-5-6 [Map] 03-3661-0962 http://www.toritoku.com/
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