古びたビルが交差点の角に向けた隅切りの扉。
額に載せた緑地の看板が示すのは、オーストリアを代表するビール「Gösser(ゲッサー)」。
うん、昼間っからビール呑みたい(笑)。
でも、外観から窺う雰囲気は、
地元常連色が濃そうで、ちと怪しい。
まぁ、昼間だから大丈夫でしょうと高を括りつつ、
恐る恐ると扉を開きます。
向かって左手にはカウンターがあって、
バックバーにはサーバーに逆さまに刺さったボトル幾つも並んでいます。
その手前に、なにやらわさわさと円を描くオブジェがある。なんだろうと近づいてみると、そのわらわらは、
「Jägermeister(イェーガーマイスター)」のボトルたち。
緑色した「イェーガーマイスター」のミニチュアボトルの空き壜が、
樽の上を埋め尽くすように、美しくもわらわらとディスプレイ。
すぐお隣、ドイツのハーブ系リキュールもおススメのひとつなンだろね。
「イェーガーマイスター」のボトルと同じく、腰壁や椅子に塗った緑色が印象的な店内の装飾。壁の絵は、かつての店の様子を描いているのかな。
まずは早速、ビールを所望。
スリムなジョッキで届いた「ゲッサー」は、すっきりクリアなピルスナー。苦み控えめで、スムーズにすいすいと呑めちゃう感じが、いい。
そのビールに最高にあう逸品が、
CHAMPIGNONS GEBACKEN MIT SAUCE TARTARE、「シャンピニオンのフライとタルタルソース」。
細かいパン粉をしっかり纏わせた衣がきつね色に染まって、なんとも旨そう。火傷しないようにふーふーしてからそっと齧れば、
中から弾けるジューシーなシャンピニオンエキス。
濃密な旨みと風味がそそり、堪りません。
牡蠣フライに勝るとも劣らない、魅惑のフライだ。
ビールをお代わりして今度は、
看板メニューのGRILLHENDL、チキンのグリル、半分。パリパリとした薄い衣がチキンの旨み汁が上手に閉じ込めていて、これまた旨い。
重ったるい脂の感じがないところにも感心です。
ちょこっと汁モノが欲しいなぁとお願いしたのが、
謂わばレバー肉団子スープ、LEBERKNÖDELSUPPE。スプーンを挿し込むとわらわらと崩れるレバーの肉団子がスープに解けて、
レバーの香ばしい風味とスープの温かい旨みにホッとします。
街角のGassenverkauf、
「Steirische Weinstuben(シュタイアリッシェ ヴァインシュトゥーベン)」。Gassenverkauf(ガッセン・フェアカウフ)というのは、
つまりは産直の酒屋さんみたいな形態を指すらしい。
Steirischeは、ウィーンの南の方にある、シュワルツェネッガーの出身地グラーツを州都とするシュタイアーマーク地方の、という意味。
つまりは、”シュタイアーマークの小さなワイン酒場”という店の名だ。
遅い時間まで営業する店の少ない街で、
年中無休で夜中までご飯できる数少ないお店のひとつだそう。
タクシーの運ちゃんの予約席があるとか、ないとか。
娼婦とその男が寄り添う時間帯は、妖しい感じになるらしい(笑)。
「Steirische Weinstuben」
Sankt-Julien-Str. 9 Salzburg [Map] +43 662 8747900