九段「斑鳩」で 余韻愉しむ本枯れ鰹珠玉煮玉子むほほ和風醤油

ikaruga.jpgすっかりご無沙汰してしまってすいません。 そうポリポリと頭を掻き掻き、 坂井さんに逢いに九段下まで。 目白通りのグランドパレス前を往けば、 早くも汗を掻き掻き。 九段エリアのみならず、千代田区内でもトップクラスの人気を得ているであろう「斑鳩」もこうもクソ暑い毎日ということもあってか、店前の行列は短めでありました。
ikaruga01.jpgまずのお目当てだった「本枯れ鰹 醤油らー麺」は、昼夜限定15食。 ところがやっぱり間に合わず、券売機のボタンには、売り止めのサイン。 ならばということで、ぽちと押したのが、「ガーリックまぜそば」のボタンです。 チケットを仕込んでドアを開け入ると、 厨房の坂井さんが顔を上げて、”いらっしゃい”の笑顔を向けてくれる。 これをほとんどの客に対して行い、続けているのは、 なかなか真似のできることではありません。 ワン・オブ・ゼムの客としてひと絡げに扱われているか、ひとりひとりの客として正対してくれているかは、そんな表情から感じるものですもん、大事ですよね。 届いたどんぶりには、その名の通り、砕いたガーリックチップがトッピング。ikaruga02.jpgikaruga03.jpg卓上の「油そばの美味しい食べ方」シートには、とにかく底の方からよく混ぜて、もっともっと混ぜてから食べるようにとの指南がある。 ならばと、天地返しを何度もしつつ、よーくよーくどんぶり底のタレと麺やトッピングを混ぜ込みます。 あれあれ?なんか麺が二色に見える! 眼を擦ってもう一度凝らしてみても、やはりそう見える(笑)。ikaruga04.jpgゴーダチーズのワックス色のような黄色い麺が不思議です。 なにを練り込んであるのでしょう。

日を改めて、お目当ての「本枯れ鰹 醤油らー麺」を。 今度は無事に間に合ったようです。 拝むように受け取ったどんぶりは、 完成度の高さが一種の風格を呼んでいるかのよう。ikaruga05.jpg乳化のまろやかさと一体となったしっかりボディのスープに本枯れ節の深い旨みが渾然として、ぐっとくる。 ikaruga06.jpgikaruga07.jpg そんなスープにすっと馴染んで、自らの粉の風味と滑らかな口当たりの魅力をさも当然のことのように伝えてくれる麺。 慌てて食べないで、啜るごとにひと呼吸待って、スープの旨みの余韻をじっくり愉しむのがおすすめ。 店主坂井さんのこのところのイチオシのであるのが頷けるどんぶりであります。 そうそう、別皿にしてもらった「煮玉子」が何気に珠玉の逸品であります。ikaruga08.jpgやや硬めにとろんとさせた黄身が香り高く、白身に滲みたタレの旨みと渾然となった瞬間には、どこぞのグランメゾンのシェフも秘かにびっくりなのではないかな?なんて想ったりして(笑)。

もひとつ気になる器があるってことで、今度は夜の九段下。 夜の部には、坂井さんの姿はなく、 いまごろきっとどこかのレストランでディナー中(笑)。 そんなことを思いながら正対するどんぶりは、「特製和風醤油らー麺」です。ikaruga09.jpg定番の「らー麺」とも違う、やや澄んだ気配のスープ。 どれどれと早速そのスープを啜る。 むほほほほほほ。 ikaruga10.jpg魚粉のズルい旨みとは明らかに違う、じっくり丁寧に煮出した印象の澄んで深い鰹出汁の旨みが動物系のストックに支えられていきいきと伸びやかにその魅力を発揮しています。 いや~、もしかしたらこっちの方が「本枯れ」よりも好みかも、です。

ひとランク違う完成度とそこに留まらない探究心で期待に応え続ける、 ダンディー店主坂井さんの店、九段「斑鳩」。ikaruga11.jpgスタッフが伝える注文に「ふぉ~」っと応じる坂井さんの声と笑顔に接することができるのは、昼の営業時間のみです。


「斑鳩」 千代田区九段北1-9-12 九段下ビル1F[Map] 03-3239-2622
column/03027