山王小学校通りの「大連」を後にして、
大森駅北口改札に戻る。
じゃぁねと仲間を見送って、折角大森にいるのだものとそのまま向こう側へと足を向けます。
「ちょっとバーに寄っていこうぜ」。
「バーって、あのバー?」
「あれ?行ったことあったっけ?」
そうだ、京急蒲田のコスタリカ料理の店のあと、
寄ったことがあったっけね。
その後を振り返っても、おそらく一年弱振りの「Tenderly」です。
腰掛けたカウンターの眼前に置かれていたのが、
ここにきて急速に認知を増したであろう、角の亀甲ボトル。
なぜか空のボトルと開栓前のボトルが並んでいて、ウイスキーのまだ満ちているボトルは冷え冷えに霜がついていて、涼感を誘います。
偶然かおススメかは判らないけれど、
その状況でハイボールにイカナイ手はありません。
そうお願いすると、「氷を入れないスタイルですがよろしいですか?」と訊かれる。
あ、サンボアスタイルですね、うん、じゃそれで。
檸檬のピールを三度施されたグラスに、
鼻先をこっそりふんふんしてからグラスを傾ける。
おウチで、ラフな作り方で呑む角ハイボールも旨いけれど、
こうして精緻に整ったバランスでいただくハイボールの心地いいことといったら、
もう(笑)。
今度は、バックバーの正面やや左手に見慣れたまん丸のボトルを見つけました。
ゴールドにラッピングされたボトルにブラックのボトル。
流石に「Dry」のボトルは並んでいませんが、ここはひとつ、
「モーツァルト」でなにかカクテルを仕立てていただきましょう。
チョコレートリキュール「Gold」にコニャック「Hennessy」、生クリームがその主なレシピ。
やっぱりクリームな仕立てにはなるのだなぁと思いつつ、カカオの鏤められたグラスを見詰めます。
うんうん、チョコレート風味のコク味がさらっとしていて、そこへスピリッツな香気が輪郭を添える、こっそり大人な装いのカクテルであります。
そして、バックバー正面やや右手でどうしても視線に入ってくるのが、
幟に飾る、青地に赤い「氷」の文字。
ロレンスさんが涼んでいたのはきっとこれだなぁと思い出して、
この夏の暑気をひとつ払うべく。
一見、氷イチゴ?という景色のグラスではありますが、勿論そんなおこちゃまな氷ではありません。
かかっている赤のシロップは、自家製したというグレナデンとカルヴァドス。
粗めに削った氷をしゃくしゃくすると、大人のかき氷はカルヴァドスがキリッと攻める。
氷が溶けかかれば、グレナデンの赤鮮やかなカクテルへと昇華する。
へへへ、意外とこれ、結構効きます(笑)。
いつも安堵とともに柔らかな気分にさせてくれる、バー「テンダリー」。
せめて、季節ごとには訪れたいな。
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「Tenderly」
大田区大森北1-33-11大森北パークビル2F
[Map] 03-3298-2155
http://www.tenderly.gr.jp/
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