スナック「栄」で 昭和匂うビロードソファで啜る味噌煮込みうどん

sakae.jpg栄・伏見界隈の「どて」の有名店「島正」をランチに訪ねた帰り際。 「島正」が入る古い雑居ビルの奥への通路の入口に「味噌煮込みうどん」と記した黄色い張り紙があるのが目に留まりました。 古びたパイプ椅子の背に立て掛けられた、その紙の脇に小さく「栄」と書いてある。 どこのお店のことかいなと急に好奇心が頭を擡げきて、暗い通路の奥へと進むと、なるほど八丁味噌の香りが漂ってくる。 その匂いを追うように狭い階段を地階へ 。 妖しさ芬々の階段の踊り場から正面にしたのが、その在り処を右手へと示す「スナック栄→」の看板でありました。 緑地に青の文字。赤から黄色にグラデーションする矢印。 開け放ったドアの中を恐る恐る覗くとそこには、如何にも昭和からのスナックな風情が匂う光景。 今度ここで味噌煮込みを食べなくちゃ!と妙な決心をしたのでありました。
sakae01.jpg それから幾許かの月日が流れ、ふたたびやってきた桑名町通り。 「島正」の脇にあの時と同じ張り紙を発見。 お誘いした諸先輩(怖いからって訳じゃないよ)と一緒にあの狭くやや暗がりの階段を降りていきます。 なぜか、ちょっぴり忍び足(笑)。 でも、こふいふ時は躊躇してはいけません。 エイ!とばかりに、ドアの中に入ると、意外や先客が少なからずいらっしゃる。 促されるまま、過ぎ去ったあの頃を思わせるビロード風のソファーに腰を下ろしました。 作務衣っぽい井出達の女将さんが「味噌か、カレーか、どちらにします?」と訊いてくれる。sakae02.jpgバックバーでは、招き猫が何体も左手を挙げている。 「味噌!」「味噌!」「カレー!」。 注文を終えたそのあとから、ちょこちょこと客が訪れて、入れないお客さんまである状況。 意外と人気店だったりするのかしらん。 はい、おまちどうさまーと、くつくつ煮え立つ土鍋を載せた膳がやってきました。sakae03.jpg湯気の中、玉子の廻りに斜め切りした葱がたっぷりと浮かんでいます。 その葱を掻き分けるようにしながら、褐色に映るうどんを引っ張り上げる。 味噌煮込みうどんらしく、”形状記憶うどん”ではあるものの、必要以上の硬さもなくて、程よい加減。sakae04.jpgうどんが浸っている汁は、八丁味噌の酸味控えめで、とろみもマイルドな仕立て。 いいんじゃないでしょうか。 女将さんは、小さな茶碗にご飯をもってきてくれたかと思ったら、 順繰りに、サラダの小皿、煮物の小鉢、お新香にフルーツを運んでくれる。 置き場所ないね、適当に置いとくね、と女将さん。 お店の器や設えはすっかり町場のスナックだけど、女将さんのノリやお膳の上はまるで、味噌煮込みを出す小料理屋さんのようであります。

「島正」の地階には、 味噌煮込みうどんを供する、見かけちょっと妖しいスナック「栄」がある。sakae05.jpgあの女将さんが夕闇以降にはどんな”ママ”に変身するのかは、見たいような見たくないような(笑)。 □関連記事:  お食事「島正」で ランチのどてめしオムライスに味噌おでん定食(10年03月)


「栄」 名古屋市中区栄2-1-14[Map] 052-201-2968
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