沖縄料理「おもろ」で 豚尾のおもろ煮豆腐よう草分け沖縄料理店

omoro.jpg池袋の西口にある酒場「ふくろ」。 ハムカツと白子鍋にホッピーがよく似合う、一、二、三階までの正しい居酒屋だ。 そして、大学時代の先輩や仲間で囲んでいたそのテーブルを早々に失礼して向かったのは、すぐ裏手の路地。 奇遇にもお隣さんへのハシゴ酒となった二軒目は、ちょっと妖しい路地に違和感なく馴染む店。 亀甲金網に包む看板には、沖縄料理と赤い文字。 こんなところに沖縄料理の店があるとは知らなかったなぁ。
藍の暖簾を払って踏み込んだ店内がいきなりシブい。 永きに亘る毎日の酒場の空気が少しずつ滓のようにそこに漂い留まっているような、そんな雰囲気が強く伝わってくる。 待ち合わせの方は二階です、と告げられて軋む階段を上がる。 座卓の並ぶ二階も古色が色濃くって、でもそれが居心地よくしてくれそうだ。 沖縄料理の店に来たならばやっぱり、それで始めねばなりません(笑)とオリオンをいただいて、遅れましてとまず乾杯。 どもども、お誘いありがとう。 店名を冠した「おもろ」は、つまりはミミガーの酢和え。omoro01.jpgたっぷり振った胡麻と胡瓜と合わせて、シャクコリといただく。 酢味噌和えでいただくことの多いミミガーだけど、ここではさらに素朴だ。 ラー油を垂らしてもよかったかもしれないな。 もうひとつ店名を冠したメニューがあって、それが「おもろ煮」。omoro02.jpgこっちは耳じゃなくて、おおお、豚尾の煮物だと書いてある。 もうすっかり定番の豚足に対して、豚の尻尾はそうそう見掛けるもんじゃないよね。 どれどれと受け取ったお皿に載るそれは、豚足をふた廻りくらい小振りにした感じ。 いかにもゼラチンコラーゲンした風貌を口にすると、なるほどチュルクニュンとした食感で、豚足よりもちょい品のいい気もします。 やや大きめの「豆腐よう」の端っこを口に含めば途端に、泡盛が欲しくなる。omoro03.jpgomoro04.jpg黒じょかに入った「瑞穂」をぺろぺろ舐めては、 豆腐ようの欠片を再びぺろぺろ。 んんんー、これぞまた沖縄ん気分(笑)。 「ソーミンチャンプルー」「ゴーヤチャンプル」でお腹を満たし、 omoro06.jpgomoro07.jpgomoro08.jpg omoro05.jpg「海ぶどう」「島らっきょう」「すぬい(沖縄もずく)」と沖縄定番酒肴でまた泡盛をぺろぺろ。 「ウカライリチー(おから油炒め)」や「ジーマミ豆腐」の素朴な魅力に、うんうんうんうん頷いてまた、ぺろぺろ。 そして、〆はやっぱり「沖縄そば」。omoro09.jpgぽそぽそ感抑えめの麺とコクのほどよいスープに、泡盛浸食気味の脳裡が一瞬彼の地のどこかに飛んでゆきます(笑)。 愉しいひと時を、みなさんありがとう。 池袋西口の妖しい路地にある老舗沖縄料理店「おもろ」。omoro10.jpgどこか創作が匂う沖縄料理店も散見される中で、ここには本場の色を風化させない老舗の安心感がある。 帰り際の戸口でご主人に訊くと、 「おもろ」の創業は、戦後すぐ昭和23年のことだと仰る。 東京の沖縄料理店の紛れもない草分け的な存在、なのですね。 沖縄方言の「思い」から派生したとされる「おもろ」とは、沖縄の古い歌謡、歌のことのようで、その辺りが店名「おもろ」の由来と考えていいのもかもしれません。 そういえば、首里へと向かうゆいレールの途中には「おもろまち」って駅があった。 大阪の大正や梅田に同じ名前の沖縄料理店があるけど、関係あるのかな。

「おもろ」 豊島区西池袋1-13-7[Map] 03-3982-0236
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