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豆腐 家庭料理「鉄砲洲 双葉」で とうふ生揚げ肉豆冨に麻婆豆腐
ふた月ほど前のお昼どき、
湊の洋食「キッチン トキワ」からの道すがら。
のんびりとした空気の路上で、OLさんたち数人が、
空席を待つかのようにしている光景に出会しました。
どんなお店だろうと眺めると、
暖簾には「築地 鉄砲洲 双葉」とある。
どこかで聞き覚えがあるような気もするなぁなどと考えながら、看板を覗くと「豆腐 家庭料理」とも書いてある。そして、何気なくその右隣を眺めて合点がいく。
お豆腐屋さんが併設した料理屋さんなんだね。
まずはやっぱり、当店自慢のと謳っている「とうふ定食」から。
お豆腐は、絹ごしか木綿かが選べます。
絹ごしでお願いすると、待ってましたと膳がやってきました。
きっとこれで、一丁なんだろうなぁという量感でデンと横たわる、お豆腐。
高さ4cmはある厚みを横から眺めながら、薬味を載せ、醤油をかけ回す。へー、透明感のある大豆の風味に素直なコクが備わって、なかなかいい。
昼から冷や奴を口いっぱいに頬張ることって意外とないことに気がついて、
さらに頬張る(笑)。
絹ごしだからってこともあるだろうけど、滑らかにしっとりと解けていって、
大豆の仄かな香りと素朴な旨味がやってきては、すっと消えるンだ。
「生揚げ定食」もまた、素敵(笑)。
「とうふ定食」のお豆腐同様、厚みと量感のある生揚げが揚げ立てでやってくる。サクサクとした衣の品のいい香ばしさとお豆腐のはんなりを大根おろしとおろし生姜で。
動物性タンパク質を直接ガツガツ摂るような主菜でないと、なんだかヘルシーな気分になってくる。
女性のお客さんが多いのは、そんなことが理由にあるのじゃないかな。
そしてお豆腐と云えば、「肉豆富定食」もまた嬉しからずや。
あっさりした味付けに、焼き目をつけた豆腐と豚バラ肉にしらたきが絡まって。ここ「双葉」を賄っているのは、厨房を守っているオバチャンをはじめとする女性三人組なのだけど、なるほど男の料理とはどこか違う、丁寧な仕立てが気配に帯びる。
4本立てお昼メニューの最後にあるのが、「おたのしみ定食」。
いわゆる日替わりメニューは、ロールキャベツだったり、鶏と大根の煮付けだったり。
そして勿論、お豆腐メニューになることもあって、それが例えば、「麻婆豆腐」。
お豆腐屋さんの「麻婆豆腐」というのは、意外と食べる機会がないンじゃないかな。ややヒリヒリの辛さ加減で、家庭的な味わい。
でもそれが何故だか、不思議とあったかーい気持ちにさせてくれる。
豆腐そのものの甘さが引き立って、愉しめるンだね。
湊の裏通りに健気な情緒で佇む、豆腐料理の店「鉄砲洲 双葉」。どうやら、人形町・甘酒横丁の「双葉 本店」の流れを汲む店らしい。
ずっと以前、ちょっと一杯と飛び込んだ新橋のあの店も同じ、豆腐の「双葉」だったなぁと思い出す。
ここでも、あれこれ豆腐料理でちょっと一杯するのもきっと乙だねと訊ねたら、夜の営業はずっとお休みしているのだそうです。
うーん、残念(笑)。
口関連記事:下町洋食「キッチン トキワ」で ウィンブル丼に海老フライカレーに(09年07月)
「鉄砲洲 双葉」 中央区湊2-11-5 [Map] 03-3555-1028