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遊食好房「がぶ」で 艶かしきがぶ丼と骨まで齧るひな鶏のがぶ
武蔵小山を南北に貫く26号線通り。
駅から北へ進む道沿いにも、ぽつぽつと飲食店が並んでいます。
その中の一軒が、遊食好房「がぶ」。
暗がりの外観に匂わす雰囲気は、どことなく常連が犇めき集うような、そんな敷居の高さをふと思わせます。
エイっとドアを押し開けると、カウンターにはスキンヘッドのお兄ぃさん。
むむむ?っと一瞬思います(笑)が、ご安心ください、大将はそんなに怖いヒトではなさそうです。
「がぶ」のお品書きの筆頭にあるのが、がぶのおすすめ、「がぶ丼」。
たたき風レアの牛ステーキ、と注釈がされています。
右の学生風も左手の若サラリーマン風も、ふたりともが喰らっているどんぶりがどうやらその「ガブ丼」らしい。
その思わず目を瞠る光景に、「ボ、ボクもがぶ丼を、肉1.5倍で!」と宣言していました(笑)。
「お待ちどーさまですー」。どんぶりを受け取ってやっぱり、やってくれてるなぁーとしばしそのどんぶりを眺める。
なははははー。
褐色の縁取りで囲んだレアな赤みが艶かしく、その肉片がどんぶりを埋め尽くし、溢れているンだ。
ホテルの立食かなんかで出されるローストビーフに飛びついて、パサパサに辟易し、噛むに噛めず飲み込むに飲み込めない思いをすることがあるけれど、「がぶ丼」の肉片はそんなヤツとは違って、香り高くも加減よくしっとりとしたレアで、食べ口の歯切れいい。
あっさりめのタレが軽めに利いていて、テンポよく、わしわしと喰らうのが叶う、そんなどんぶりだ。
微かに抱いていた、後半飽きがくるのではという危惧は、ただの杞憂でありました。
あ、どんぶりの横っ面には、あはは、「なか卯」の刻印があるね(笑)。
そして、「がぶ」の品書きには、「がぶ丼」以外にも気になるところ、あれこれ。
ということで、改めて武蔵小山に寄り道します。
「自家製アンチョビ」でワインを舐めながら、眺めるメニュー。
すると、牛肉の「がぶ」ではなく、鶏肉の「がぶ」もある。
早速オーダーしたのが、「ひな鶏のがぶ1/2」です。
奥の厨房から聞こえる囁くような揚げ音を耳にしながら待っていると、「骨まで食べちゃってくださーい」と当のお皿が届きました。おおお、半切した雛鶏をじっくりと唐揚げしてくれたものに檸檬と塩が添えてある。
慌てて齧り付くと、なはは、上顎をちょっと火傷する。
改めて、ふーふーしてから塩を振り、ふたたびガブっと齧りつく。
鶏の滋味を真っ向から味わう醍醐味があって、いい。
多少は気になるだろうと思われた骨は、まったくといっていいほどにぱりぽりとそのまま食べれてしまって、それは面白いほどに。
それでいて油っこくないというあたりも、感心どころであります。
仕上げにといただいた「ツブ貝のガールックピラフ」は、コリコリしたツブ貝の食感がアクセント。
でもこれはちょっと油が多かった。
やっぱり仕上げは、黒板メニュー、「がぶ鶏飯」だったかなぁ(笑)。
きっと旨いもんの勘所を本能的に心得ている、そんな気もする食いしん坊な大将の店、「がぶ」。今度は、「たこのカルパッチョ」でワインを舐めて「ポーク生姜焼」から「がぶ鶏飯」へと至る、そんな流れで愉しみたいな。
「がぶ」 目黒区目黒本町3-7-9 [Map] 03-5722-1766