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西洋御料理「小春軒」で かきフライにかきバタヤキ春さんの面影
「来福亭」の並び、「シェ・アンドレ」の向かいにある「小春軒」に久し振りのお邪魔です。
目当ては、店頭の品書きにみつけた「かきフライ」の文字。
いざいざと、白くてたっぷりとした暖簾をすっと潜ろうとしたら、何かが頭に引っ掛かった。
へ?と思って慌てて頭を上げると、どうやら暖簾の縁が解れて、輪っか状になってるところへ頭を突っ込んでしまったらしい。
恥ずかし混じりに改めて眺める暖簾。
そんな古いものではないだろうけど、数箇所見つかる継ぎ接ぎと半円を連ねた縁取りのデザインに、老舗の味わいを思ったりもします。
相席のテーブルへと手招きしてくれたおばちゃんに「カキフライ」をとお願いして、待つこと暫し。
届く簡潔なるお皿には、キャベツの千切りにポテトサラダにお約束の5片のフライ。さっと檸檬を絞って、カプッと齧れば牡蠣の汁がひゃっと迸って、火傷の予感。
そのリスクと引き換えの、一瞬の旨味の迸りはマゾヒステックな歓びにも似て(?)。
揚げたてひと口めの醍醐味なのかもしれないね。
「小春軒」には「来福亭」に同じく、牡蠣料理にもう一品「かきバタヤキライス」がある。
それを求めて今度は、奥のカウンター。
フロスト状の硝子越しにコックコートふたつが忙しなく動く様子を眺めつつ、再び待つこと暫し。
芳しくちょっと焦げたバターの香りと一緒にやってくるお皿。これをズルイと云わずしてなんと云おう。
頃合よくソテーした牡蠣は、牡蠣自身がひと廻り衣となって、自らの旨味を閉じ込める。
そこへ洋食の王道的味つけ風味づけをされちゃー、ご飯が進んで困るじゃんね(笑)。
賽の目に刻んだ野菜が朗らかな「カツ丼」も人気という「小春軒」の創業は、明治四十五年。
「小春軒」の名は、創業した小島種三郎さんの奥様が”春”さんという名だったこと由来しているそう。
そう云われてみるとふと、お店のホールで甲斐々々しく立ち振る舞う”小春”さんの姿が脳裏に浮かんだりしませんか(なんちゃって)。
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「小春軒」 中央区日本橋人形町1-7-9 [Map] 03-3661-8830