「びっくりうどん本舗」でうどんを啜った帰り際。
暖簾を潜って上げた目線の先に見つけて以来、ずっと気になっていたお店がありました。
白い縁取りで囲み、クリアーな紺色のタイルに白抜いた文字は「GARE DE LYON」。
入口に掛かるトリコロールの暖簾の中央
には、「ビストロ」そして「ビオワイン」とある。
その狭い間口が反って、ファサードを表情あるものにしています。
右手のテーブルを占めるグループを含め、店内は既に満席だ。
朗らかな活気に満ちているようで、スタッフも奥へ手前へと忙しそう。
予約の名を告げ、入口脇のテーブルにゆったりと収まります。
生ビールのグラスの縁を咥えながら横目でみるメニューの「定番の前菜」。
スタッフに声を掛けて、このみっつ、と指を指す。前菜全部なんだけどね(笑)。
まずはビストロといえばこれでしょの「田舎風パテ」。
メニューに示してある通り、レバーのクセを控えた、その分豚や鶏の身肉の旨味や脂の魅力がすすーっと素直に愉しめる仕立てになっている。
続いてやってきた円い陶器のプレートは、たこ焼き器的に六つの窪みが空いている。
その窪みでは、ふつふつと溶けたバターが沸いていて、はよ喰いなはれと誘ってる。
またまたビストロのイメージに浮かぶ、「エスカルゴガーリックバター」だ。
窪みからガーリックのソースと一緒にエスカルゴの身を取り出して、ここでひと呼吸。
そうそう、慌てて食べて、何度大変なことになったことか。
ふーふー(笑)。
ううむ、うまい。ガーリックとバターとエスカルゴ。永遠の組み合わせだよなー(腕組感心)。
そこへワインはやっぱりビオディナミ、
「Domaine de Courbissac Minervois La Liviniere 2003」。
果実味を包む甘さに似たふくよかさと太陽の恵みを思わせる心地いいスムースなボディ。いいね、いいね。
そしてメニュー筆頭の一押しモノ、「もつ煮込み」。
日本的居酒屋さん系のもつ煮込みとはやっぱり魅力のベクトルが違っていて、デミグラスで加減よく煮込んだお皿には、ハチノスの襞が覗き、涎を促します。
ううむ、ワインによく合う、なるほどイチオシメニューなのだ。
ビストロ仕様とも云える「山利喜」の「煮込み」と頭の中で比べてみたりするのもまた面白い。
視線を壁の黒板に移して、メインに挑む。
お願いしたのは、「イベリコ豚ステーキとポンフリ」。
満面笑みになるボリューム感にわくわくしちゃうお皿には、たっぷりのポテトフライと綺麗な脂の滲み滴るステーキの短冊。
生ハムで食べるより断然こうやって食べるのがいいねーと思うのは、それって当たり前?
歯の先がカジカジっと肉に刺さる歯応えと脂よりも赤味肉の旨味と香りが堪能できるンだ。
そして、ポンフリ(ポテトフライ)の軽妙さ。次から次へと食べちゃえて、なんだか可笑しいくらい(笑)。
前菜三皿とメインひと皿をシェアしているだけなのに、不思議な充足に満たされる。
今日のところはこの辺でと、キャラメルのかかったアイスクリームでゆるりと〆る。
給仕の兄さんたちも気の置けないビストロの気風がある「GARE DE LYON」。
Paris10区のワインビストロ「la verre vole」をそのまんま日本でやりたくて開いたお店なのだという。
「MARU」の賑やかさもいいけれど、時にはほんのちょっとゆったりとしたビストロも気分です。
「GARE DE LYON」
中央区八丁堀3-3-9張ケ谷ビル1F
[Map] 03-5541-4343
http://www.garedelyon.jp/
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