道頓堀といえば、「かに道楽」のわっさわさ動くカニやこの7月に閉店してしまうという「くいだおれ」の人形
がイメージにまず浮ぶ通りだけど、最近はチェーン系の味気ない看板に制圧されつつあるみたい。
どこの繁華街も似たような風景になっちゃうのかなぁと思いながら歩くと、その猥雑な空気がふと途切れる場所がありました。
振り向くと、「今井」、と行燈にある。
銀の瓦の整列が目に留まり、飛び石三つの先に揺れる白い暖簾。柳の枝が風に揺れちゃって、ここだけ切り取って眺めると道頓堀じゃないみたい(笑)。
ちょっと小腹を満たしに寄ってみましょう。
お品書きをみると、例えば「にしんそば」は「にしんそば(うどん)」と書いてある一方で、「かちんうどん」は「かちんうどん(そば)」と書いてある。
これって、それぞれの器で、うどんかそばかオススメの方を主体に示しているってことなのかな。
ちなみに「かちん」は餅のことを云い、「ぼっかけそば」は「ぶっかけそば」かと思いきや、牛スジ蒟蒻が載ったそばだよとオバチャン。「かけそば」が別にあるもんね。
まずはやっぱりと、「きつねうどん」をお願いしました。
たっぷりサイズのオアゲが二枚、どんぶりを覆っていて、ひたひたの汁がなんだか美味しそう。
北海道の昆布と熊本の鰹節でひいたというおだしは、化調が気になっちゃうほど見かけ以上に旨味ボディがしっかりしている。
きつねも妙に甘かったりせず、さりげない上品さ。
うどんそのものはコシ命の讃岐とは違って、主張のない感じがお出汁メインの器なのよと云ってるようでもある。
「だしは鮮度が命」と決して作り置きをしないという。なるほど。
昭和21年創業のそば・うどん処「今井」。
確かに、この汁が当たり前のうどん食べてきて初めて東京のかけ汁みたら、「うげ!黒い!」と思うのだろうね(笑)。
「道頓堀 今井」本店 大阪市中央区道頓堀1-7-22 06-6211-0319
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