column/02243
ビストロ「Grape Gumbo」
短いながらも味ある横丁「三原小路」。目指すは、ずっとずっと気になっていた「グレープ・ガンボ」の扉なのです。人気店も運よく、当日電話で予約できました。ちょっと閉じた印象のその扉ですが、一旦開き入ればもう居心地のよさそうなウエルカムな空気に包まれます。食前酒のビールに「ヒューガルデンホワイト」。ホワイトビールらしい、すっきりしながら薫り高い一杯だ。まずはオススメの「生しらすとトマトのブルスケッタ」。トマトの柔らかな酸味と生しらすの塩っ気が纏まっていてバゲットでいただく小粋なアントレ。同じくバゲットでいただく「自家製豚肉のリエット」は、思い描く通りの滑らかな豚の脂と身肉が上品なパテ。こいつは面白そうだとお願いした「内臓のコロッケ、スパイシーソース」はというと、コロンと球形のお姿。カリカリカリっとした外装を割り入ると、粗く叩いたつまりはモツ達が香り高く主張してきます。うん、旨い。ワインは、「Grosett 2005 Polish Hill Riesling」。芯廻りの甘さとぱりぱりとした外装のほろ苦さを同時に味わう「芽キャベツのフリット」。一見たこ焼きと見紛う素揚げの、ちょっと焦げた味わいは、屋台のヤキソバの端っこで残ったキャベツを連想させるね。メインなものをひと皿、と「岩手産短角牛のバラ肉の赤ワイン煮込み」。サシの入った牛肉の脂を食べてる感じではなくて、赤身を柔らかく滋味深くいただけちゃうこの口福は、短角牛という肉のパフォーマンスなのか、はたまたまったりと煮込んだ仕立てが巧いのか。マスタードを含んだソースの、独特な香りはなんだろね。グラスで添えてもらったグラスの赤「Mas Fouraquier」は、ガツッとアルコールを感じさせる力強さ。六本木のワインバー「祥瑞」のオーナーが開いたという「グレープ・ガンボ」。往時との比較はできないけれど、全体に漂う男っぽさには思い至る。そんな皿々を味わっているのが、意外や女性ばかりのテーブルだったりして(笑)。
「Grape Gumbo」 中央区銀座5-9-6 03-3569-7388