手打蕎麦「なにわ翁」

naniwaokina.jpgあの、翁達磨こと高橋邦弘氏の下で修行し、“翁”の名を襲名することを許されたという二代目蕎麦店主のお店が西天満の裏通り、老松通りにあります。ほどよく席の埋まった店内。「お相席でよろしいですか」と桃の木の活けられたテーブルへと案内されました。落ちついた風情の店内をホールの姐さんがテーブルの間をはきはきと行き交うものの、気忙しさはない。「鴨ざる」を数量限定の十割でいただくことにしました。笊の上の蕎麦は、十割といいながらも、田舎ゝゝした黒色の蕎麦ではなく、見た目は一般的な二八と判別し難いもの。ほんの少し日向臭さを含んだような野趣ある粉っぽさのあとにほんのりとした甘さが残る。期待通りに脂の浮いた辛汁は、きりっと辛めだ。あっと云う間に啜ってしまい(笑)、慌ててもう一枚を通常の二八で追加する。姐さんが辛汁の器を一旦引き上げて、温め直してくれる気遣いが嬉しいゾ。そして愕いたのは、その二八。さっきの十割よりも断然旨いンだ。比較して分かる、辛汁とのバランス。その辛汁に引き出されるように蕎麦粉のたおやかで切ない旨味が、すっと口元滑っていく。その、二八の蕎麦としてのバランス。えへへ。図らずも、十割と二八を比べることになったけど、お陰で黄金率にも似た二八の魅力を再発見しちゃった感じであります。 「なにわ翁」 大阪市北区西天満4-1-18 06-6361-5457  http://www.naniwa-okina.co.jp/
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