column/02174
酒肆「南サンボア洋酒店」
なんて読むのだろうと“酒肆”の文字を眺めながら、押した「サンボア」のドア。決して早い時間ではないものの、先客はない。カウンターの隅に座って、「ホットウイスキー」を。クローブの香りを仄かに添えた湯気を嗅いで、啜る。奥に置かれたテレビに映る阪神戦。電波状況が悪いのか時折ザザっと音を立てて乱れるのを合図にぼんやりとそちらを見上げる。2杯目は、ブレンデットの「Royal Household」。テレビがある「サンボア」って他にあったかな。起源たる今は無き「神戸・花隈」、空襲で焼けた「北浜」。ここ「南」と「京都」「堂島」「北」とが「サンボア」系譜の前列を構成する。そんなことを伺いながら、「サンボア」定番のピーナッツを齧る。まったりと心地いい。“酒肆”は、しゅし、と読んで、そのまんま、お酒を呑ませるところ・酒店、という意味だそうだ。
「南サンボア洋酒店」 大阪市中央区心斎橋筋2-1-10 06-6211-0215