またまた美味しい武蔵野うどんを探し訪ねて、
石神井公園から柳沢へと抜ける富士街道の中程まで足を運んでみました。
透かし彫りの額に掠れた空色の文字は”○”に”座”
。
辿り着いたのは、パッチワーク的色合いの暖簾も印象的な「エン座」さんです。
お昼時の店内は丁度満員。食べ終わったお客さんと入れ替わるように席に着きました。
早速、肉汁だという「季節の霙糧もり」をお願いすると、「お時間いただきます!」と姐さん。
生から茹で上げます、のサインだ。
貼紙によると、平日と土日で麺に使う小麦粉を変えていて、土日はまさに地粉の大泉・石神井片山産の「農林61号」で、平日が讃岐「木下製粉」直送+地場産「農林61号」の全粒粉だという。
食べ比べてもみたいけど、今日はまず地粉の、より武蔵野うどんらしい麺を啜れるってことだと、わくわくしてきた。
壁の「御挨拶」
には、地域の風習に因んだ武蔵野うどんの素朴な魅力を伝え供したい旨が手書き文字で記されていて、好感です。
ジジジとベルが鳴ると厨房から「オーーイ!」と大声が聞こえ、せっせと急ぎ手早く茹で上げをしている空気が伝わってくる。
そして、トルネードするように巻き捻られたうどんが量感を湛えてやってきました。
なんとも深みのある艶ではありませんか。
中に一本、ほのかにピンクな麺が織り込んである。
赤紫蘇のエキスを挿した麺だそうで、なかなか乙であります。
引き上げたその麺を下ろす先は、
お約束の肉をはじめ、牛蒡や法蓮草、刻み葱などで具沢山。
むむ、むほ、むほほほほー(笑)。うまい、こいつぁ、うまひ。
麺のエッジがたおやかなに踊りながら口元を滑り、讃岐チックな力強さを携えつつも、地粉の発する風味をぐぐぐっと押し出してくる。
所謂麺のコシに重きをおかない素朴な仕立てが武蔵野うどんの従来だとすれば、「エン座」のうどんはその洗練形。
つけ汁も、もっと豚の脂がギトっとしててもいいけど、この麺にはこれでいいのかもしれないと思わせる。ううむ、やるもんだ。
添えられた大根おろしをたっぷり足すと、優しい辛味がまた啜る勢いを強くさせる。
そうそう、壁の貼紙には「地域の産物練馬大根を活かしたうどん」とも紹介されていて、きっと冬には練馬大根入りのうどんがいただけるンだね。
秋冬のみとある温かい「田舎うどん」も気になるなぁと考えていたら、頭上に「地粉うどん完売」の貼紙がされた。
以降は平日仕様の全粒粉で営業を続行するという。
お代わりしちゃおうかな(笑)。
「エン座」
練馬区石神井台8-22-1第一サンライフ105
[Map] 03-3922-0408
http://www1.ocn.ne.jp/~chiyomom/enzaHP/
column/02389