どこかにちょろっと寄って夕食を済ませてしまおうと考えていながら、単行本を読み更けているうちに最寄り駅まで帰ってきてしまった。
そこで思案して思いついたのが、環七沿いの路上に店へと導く小さな看板を出している「一福」。
幾度となく店の前を通っていながら、半地下の店のカウンターに並ぶ丸いスツールに客の姿もなく、遠目からでも窺わせる店内の油のベタツキに敬遠していたのです。
意を決して(?)、階段を降りてみると、やはり先客はなし。
「い、いいです?」。
もう営業時間が終わっているのかも、という心配が脳裏を掠める。
「あ、いらっしゃい」。
アジアの人が話す日本語のイントネーションだ。
カウンターの手前側に座り、キリンラガー中瓶に「鮮肉鍋貼」「台湾炒麺」「担仔麺」をお願いしました。
「鮮肉鍋貼」とは、焼きギョーザのこと。
ほうほう、餡がしっかり詰まっていてジューシーで、意外に旨いんでないの。
焼きソバはといえば、
やや平打ちの麺が野菜の甘さと小海老の風味の塩味で調味されている。
“台湾屋台”に似合う一品だね。
そして、”屋台メン”と謳ってある「担仔麺」は、
なにより1/3サイズで200円というのが嬉しい。
ちょこっと汁ものが欲しいっていう気持ちを汲んでくれちゃっています。
その頃には、常連らしい客がやって来て、矢継ぎ早に注文して紹興酒を呑み始めた。
そして台湾出身、王監督の手術の話なんかをしている。
もしかしたらそんな常連さん達でそこそこ混み合う夜もあるのかもしれないな。
「一福」
品川区旗の台5-27-12 03-3786-6817
column/01919