そんな平成通りの更に一本裏手の新富一丁目。 裏通りに縦格子が印象的な一軒家。 それが、和食処「まめや」でありました。
どうもランチ営業を止めている様子に出会して以来、 すっかりご無沙汰しちゃっているなぁと思った夏の或る日。 戦後間もないころから芸者さんが住んでいたという家屋から、 立ち退かなければならない状況だと知りました。 契約更新の不調によって閉店してしまうお店を沢山みてきたので、 同じようにならなければよいなと思った矢先、 移転先確保の報にも接することができました。
移転先は、旧店舗と眼と鼻の先。 平成通り沿い、新富町郵便局信号近くの三階建ての小さなビル。 「ジュエリーヒロカワ」という宝飾店があったところ。開店日には、オープンを祝う生花が飾られていました。
店先には、店名に”日本酒と体にやさしい和食店”と添えたA看板。視線を上げれば、旧い店先で店の所在を知らせていた、 丸い木製の看板が見付かります。
図らずも、移転先でのランチ再開第一号の客となってしまったひとは、 カウンターの端っこへ(笑)。腰掛けた木製の椅子は、既製のものではなくて、 職人さんが拵えてくれたものだそう。 壁の漆喰を塗り込めたり、床の塗装をしたりと、 沢山の部位で自作の内装に趣味とセンスが籠もっているようです。
一本勝負のランチメニューは、その名も「さつまランチ」。その地味な色合いのドンブリに、 一瞬あれ?っと思ったのが正直なところなのですが(笑)、 匙を動かす度にゆっくり味蕾が開かれて、だんだん前のめりになってゆく感じ。
ご主人の手元には、擂鉢がある。 その中で、胡麻に味噌、魚の身をあたったもので、 魚には稚鰤(わらさ)を使っているそう。なんでも、愛媛とか香川とか瀬戸内辺りの郷土料理が下敷きになっているらしい。 冷汁の汁なし、と喩えると反って判り難くなるかな(笑)。
二度目にお邪魔した時にちらっと聞いていたカレーが最近、公開されたらしい。 ってことで改めて足を運んだ新富郵便局近く。
今度のお題は、「お魚カレー」。同じおドンブリに、たっぷりとキーマ状のカレーペーストが載ったヤツ。 キーマといっても、お肉じゃなくて、お魚を粗く挽いたもの。 辛さ優しく、お出汁がしっかりと下支えしているところに魚たちの旨味が綻ぶ。 うん、素朴にして美味しくて、お代わりできそうな感じのする(笑)。 お魚は、鰤、鰍(いなだ)を軸に、 お造りを拵えた際の端っこなどを無駄にせず材料に加えているようです。
開店来9年目にして、ご近所に移転新装なった日本酒と和食「まめや」。店名「まめや」は、忠実(まめ)にすること、元気であること、 そして小さな店であることの表出として考えられたものだそうで、 お豆の恩恵に授かることも多い和食の店であることも織り合わさっている。 夜にもお邪魔しなくっちゃだ。
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「まめや」
中央区新富1-9-10 [Map] 03-3206-3155
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