何度か覗いてみても、いつも大入り満員。 カウンターやテーブルのニコニコ顔を恨めしそうに眺めたものです(笑)。 この夜もダメ元で引き戸をちょと開けると、やはり賑やかなご様子。 でも、テーブルに相席でよければと招き入れてくれました。
瓶の麦酒をいただいて、ご注文はやはり、セットで。 びしっと木札で極めたお品書きは、都合22枚。 ただ、鶏料理となれば例によって、「砂肝」「手羽」「もも」の三点のみ。 そこに、「お新香」と「焼きおにぎり」「焼きおにぎり茶漬け」が加わっています。
晒した玉葱スライスと鰹節のお通しで麦酒をちびちびしていると、 お待たせ~とばかりに「砂肝」の揚げ上がり。唐揚げというよりは、まさに素揚げな表情。 味付けは塩のみ。 硬そうでいて、さくーーっと歯の先を受け止めて、 そうかと思った途端ぎゅぎゅっと旨味をたっぷり滲ませる。 うん、イケる。
と、カウンターが空いたとのことで移動して、角ハイボール。 じゅわわわーという音に誘われて厨房を覗き込むと、広東鍋になみなみの油が活躍中。大将が手にしている団扇はどうやら撥ねる油の飛沫を避けるためみたい。
じっくーり揚げ上げた「もも」がやってきた。 見るからにカラっとしているのが信条さ!とばかりのテクスチャー。 檸檬をじゅじゅっと絞って、熱々のところへ齧りつきます。 見た目の期待を上回るパリッとした感触。 そんな皮目で閉じ込めた中の身からは澄んだエキスが溢れ出す。 ああ、角ハイがゴキュゴキュ呑めてしまいます(笑)。
角ハイをお代わりしたと同時にやってきた「手羽」の笊。 衣というか、カラッと揚げきった皮のクリスピーさは、ももを上回る。そんな皮目と身を一緒に齧ると甘さにすら思う魅力が弾けます。 骨もポリポリ。 なんだか、ああ、満足。
これで、「焼きおにぎり茶漬け」をいただけば、大団円ではあるまいか、と。豪勢に鏤めたあられの隙間から、少々のコゲの気配をみせるおにぎり片。 杓文字でざくざくと解して、ズズっといただけば、焼いたおにぎりの香ばしさと出汁の旨み、刻み海苔の風味が渾然と攻めてくる。 うん、さらに満足(笑)。
自由が丘で唐揚げの店といえばまず筆頭に挙がる、ひな鳥から揚げ「とよ田」。いっつも混んでいるのが足枷だけど、それは勿論人気の証左。 挫けず繰り返し、暖簾の隙間から覗いてみようと思います(開店直後の時間帯は予約できるようです)。
「とよ田」 目黒区緑ヶ丘2-17-12 [Map] 03-3723-7683
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