市場通りと鉄砲洲通りを結ぶ筋。
そういえば、「Singapore Seafood Emporium」にはちょっとご無沙汰しているなぁと思いながら歩みを進めます。
すると、小学校北の信号の先に如何にも町場の中華料理店が見つかる。
横手の路地にある入口へと廻り込みましょう。
スライドする扉を開けると早速、いらっしゃい!と迎えてくれるオバちゃんの様子もメラミンのテーブルもやっぱり町場中華の正統派。
古いながらも掃除が行き届いています。
メニューは、壁の中央上部にパネルがひとつ。
勝手知ったる常連以外は、皆がここへ向けて顔を上げることになります。
紙を貼って伏せてあるところが気になりつつも、この風情のお店で真っ先にお願いしたいのは「タンメン」だよねと、そう思う。
何気なく覗ける厨房では、年嵩のオヤジさんがせっせせっせと調理中。
活気と勢いのあるキッチン、という訳にはいかないのは仕方のないことでしょう。
オバチャンが運んでくれた「タンメン」は、正しき野菜のこんもり盛り。
シャキッとしたモヤシやキャベツをやっつけては、
どんぶりの脇から澄んだスープを蓮華で掬う。
決して強く訴えるスープではないけれど、
啜るにつれ野菜たちの優しい旨みがゆるゆると滲んでくる。
化調の気配と胡麻油の風味が不思議なアクセント。
ちょっとかん水臭い感じもする麺には改善の余地があるけれど、その辺りは町場の中華共通の課題でもある。
いずれにせよ、荒ぶるタンメン、古川橋「大宝」とかとはベクトルの違うタンメンだ。
別のお昼にもオバチャンに案内されたのは同じ席。
「タンメン」の次にはと、「チャーハン」をお願いしました。
ちょっとゆったりした動きで鍋を反すオヤジさん。
改めて見上げる壁のメニューの右側は、13時から対応のお皿たち。
「野菜炒め」も「五目ヤキソバ」も午後からメニューだ。
そうこうしているうちに届いた「チャーハン」は、外からの陽の明かりにご飯粒がテラっと光る。
どれどれと蓮華を動かすと、ご飯のひと粒ひと粒がパラパラとしている。
でもそれは、ほとんど油のコーティングで、玉子の薄い膜でコーティングした黄金色のチャーハンとは趣を異にする。
でもね、なんか雰囲気には妙にマッチした「チャーハン」なのだ。
鉄砲洲神社近くの町場中華「福島屋」。
ちょっと早い初夏の夕暮れに、此処の「からあげ」や「きくらげ」で、壜の麦酒をやっつけたいなぁ、なんてふと思うのでありました(笑)。
口関連記事:
シンガポール料理「Singapore Seafood Emporium」で 肉骨茶(09年05月)
中華料理「大宝」で ビール餃子と焼飯とニンニク匂いに包まれて(09年06月)
「福島屋」
中央区湊1-3-3
[Map] 03-3551-8539
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