何度もその前を通って気になっていたのは、
ご存じ、大井町とんかつ「丸八」の支店であります。
支店は、灯りの消えた「大山酒場」の前を過ぎて、
そのまま線路沿いを往ったところにある。
木彫りの看板と白い暖簾が目印だ。
古びたショーケースには、薄っすら埃を被ったサンプルが並んでいて、その前にはアルミの岡持ちが置いてあります。駅前「丸八」のとんかつもなかなかだったものなぁと、とんかつ気分で暖簾を潜り、迎えてくれたオカアチャンとオトウチャンに促されるまま、白木のカウンターの真ん中に座る。
何気なくみた壁に「カキフライ」の文字。
おお、そうかそうだと急遽モード変更、「カキタベ!」へと転じます。
早速手元を動かして、準備が済むと、ふたつ並んだ油殿の前に立つご主人。
おしんこの小皿に続いて、味噌汁のお椀、そしてご飯が用意されたらそれが、揚げ上がりのサインだ。
主人が、柔らかな口調で「おまちどうさまー」とカキフライのお皿を目の前に据える。
おおおおお。
カキフライは5つ盛り、という定説を翻すような、カキフライ6個盛り。
こんもりと重ね盛り上がったお皿を暫く凝視することに(笑)。
ケチャップ&マヨネーズのオーロラソースがたっぷりと色を挿していて、ぐっとくる。
本店のとんかつ同様、玉子をしっかり使った衣がカリサクで、はふっと入れた歯の先を受けて程よく火の入った牡蠣の身がミネラルな旨みを弾けるようにする。
もちろん、とんかつも気になっていたのだけど、それ以上に気になったのが、「生姜焼き」。 Gingerな御仁は当然もう口にしているのだろうなぁと思いながら、前回と同じ丸椅子で待つ。
たーんと食べなよーという心意気がそっと一緒にお皿に盛られているかのようで、それでいて大盛りを強要するような押しつけがましいところがないのがいい。
早速、ご飯片手にお肉に挑む。
うむ、うむ、うむむむむむ。
生姜の風味がしっかりと利いたタレをたっぷりと纏ったロースが、脂の甘さと身肉の旨みを口一杯に溢れ出させる。
いやはや、うまいでないの。
脳裡に浮かんだ科白は、「この生姜焼きが今日以降口にする生姜焼きの基準になりそうかも」ってこと。
どっさり盛ってくれたキャベツもどふいふ訳か、ぺろんと食べれてしまうのね。
とんかつ食べにまたこの白木のカウンターに座っても、しょうが焼きを注文してしまいそうでちょと困る(笑)。
大井町とんかつ「丸八」から暖簾を分けて幾星霜。
本店で培った手練にオトウチャンなりの工夫が多重に加味されているようで、より魅力的。
オカアチャンとのコンビが醸す雰囲気もまた魅力のひとつです。
口関連記事:とんかつ「丸八」本店 で玉子たっぷり上カツとデミなポークソテー(09年04月)
口オイスターパラダイスブログ:「カキタベ! ~牡蠣を食べよう!~」
「丸八」支店 品川区南品川6-11-28 [Map] 03-3471-5689
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