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洋食「一新亭」で カキフライ付きオムライス古き下町の味わい
浅草橋の一角に古びた洋食屋さんがあるらしい。
ハヤシとカレーとオムライスを盛り合わせた「三色ライス」というのが、謂わばその店のスペシャリテ。
その「三色ライス」を食べずしてその店の魅力は語れない的な内容のことをテレビ画面が伝えていたことを覚えています。
もうちょっとで蔵前橋通りに至ろうとする、そんな辺り。
寒空の宵闇に揺れていたのは、
大きく「洋食」と墨した、潔き白い暖簾だ。ガラっと引き戸を開くと、定位置と思しき椅子に腰掛けて相撲に見入っていたオヤジさんが、「あいよーっ」ってな所作で立ち上がる。
テーブルに腰を下ろして周囲をきょろきょろ(笑)していると、「三色ライスとかオムライスとかカキフライとか」と助け船を出してくれました。
ここで食指が動いたのが、オムライスに揚げ物を組み合わせるシリーズ。
デフォルトコロッケからメンチ、魚フライ、エビフライ、カツ。
やっぱりね(笑)、と「オムライスカキフライ付」をオーダーです。
揚げ音が響き始めた店内には、雷門の大提灯の向こうを都電が走る写真を始めとした古き下町の味わいを発露するモノクロームが飾られています。
味噌汁のお椀と一緒にお皿がやってきました。
ハコフグを連想させるような、やや角張ったフォルムのオムライス。フライパンの立ち上がりが形造っているのかな。
そこへ寄り添うは、2片のカキフライとケチャップ炒めのスパゲティ。
たっぷり載せたケチャップごとスプーンを割り入れて、パクリ。中のご飯もケチャップをたっぷり使った仕立てで、ケチャップの酸味が利いており、そこへ玉子内側の半熟が溶け込んでいる。
カキフライともども気取りのない感じ、といったところでしょうか。
それは、今更衒うことはない、オッチャンオバチャンやお店の情緒とすんなりと一致する魅力です。
ひと通り少ない下町の一辺にある洋食「一新亭」。お品書きを改めて眺めながら思うは、今度こそ「三色ライス」か、はたまたやっぱり一年中あるという「カキフライ定食」か(笑)。
「一新亭」 台東区浅草橋3-12-6 [Map] 03-3851-4029