数年前の初夏の軽井沢。
深々とした木々の中に古くからの別荘たちが構える中に静謐な雰囲気を漂わせていた「エンボカ」。
予約までしてランチに訪ねていただいた焼き立てピザが、強く印象に残っていました。
なんとその「エンボカ」が東京に出てきていると知りました。
そして、なんだか急にそわそわしてきました(笑)。
耐震工事のためテナントの抜けた代々木上原駅から東に出て、表情のある飲食店の並ぶ通りを進む。
一本手前を曲がってしまったようで(汗)、ぐるりと廻って桜の木を拠り所に辿り着く。
軽井沢同様、紺地に「enboca」を円で囲んだロゴマークが目印だ。
アプローチを伝って、背の高いドアを押し開ける。
手前のテーブルは既に一杯で、予約時に聞いていた通り、奥のカウンターへと案内されました。
突き当たりの薪窯が橙色の炎をちらちらさせています。
まずはビール。
「エンボカ」は、ベルギービールが大充実。
10種に及ぶという生ビールに始まり、生の小麦もしくは小麦杯芽を使ったホワイトビール、修道院のライセンスによるアビイビール、トラピスト派修道院でつくられるというトラピストビール、古典的スタイルの季節ビールのセゾンビール、上面発酵によるエールビール、空気中の野生酵母の自然発酵によるランビックビール、オーク樽で熟成させるレッドビールなどと、メニューには、こんなにあったんか~ぐらいに銘柄が並んでいます。
正面の棚には、銘柄ごとに幾多ものそれぞれにフォルムの違うグラスが並ぶ。
まずは定番系「ヒューガルデン」の生ビールを。
どこかカルピスに似た乳酸ぽい爽やかな香気とほの甘さがやっぱりイケるね。
そしてお食事系メニューも負けじ劣らず。
ピザ以外はサイドメニューかと思いきや、生ハム、自家製スモークもの、窯焼もの、などなどホント目移りして困らせようという意地悪なメニューになっているのです。
まずはスモークものから。
ピザ食べれなくなってはイケナイと、ちょっとビビって「トマトのスモーク」。
半ナマな半ドライなトマトに薫香が滲み入り、面白いンだ。
んん、お隣の「盛り合わせ」には、牡蠣を含めた魚介や豚などなどが並んでいて、それはそれで羨ましい(笑)。
生ハム系でひと皿と、バルセロナの「鴨の生ハム」と「ハモンイベリコ」を一緒盛りにしてもらいます。
イベリコは勿論のこと、脂で縁取った鴨の生ハムのしっとりしたコク味が堪らない。
目の前の黒い爪の肉塊がハモンイベリコで「ハモンセラーノ」は爪が白いのだという。
たまにはとロゼワイン「Mas Comtal」
。
スペインの老舗蔵元による、世界最高峰のロゼだとある。少々濃いめの鮮やかな紅が、うん、綺麗。
頭上のローレルの蓑虫を見上げているところへ、
湯気を上げんばかりに「じゃがいものピザ釜焼きキャベツ添え」がやってきた。
ジャガ芋と春キャベツ、アスパラあたりを入れて、ピザを焼く薪釜で焼き込んで、パルミジャーノを振った鉄鍋だ。
馬鈴薯のほっこりした香ばしさはもとより、春キャベツの甘さが素朴かつ直截に伝わり、う~ん、いい。パルミジャーノの香りが興を上げています。
まだまだピザ以外のメニューに後ろ髪引かれる(笑)けど、そろそろ、いよいよピザのお時間です。
これがね、またまた迷う。
全部ちょうだい!と云っても食べれない(当たり前)のがなんとも口惜しい。
定番中の定番「マルゲリータ」に粉の魅力ハチキレそうな「生地焼き」から、4種のチーズ「クアトロフォルマッジ」、生ハム系「プロシュート」。そして、一連の「野菜ピザ」が興味深い。
「れんこん」「野沢菜」「ルッコラ」「しいたけ」「ふきのとう」「たけのこ」。おまけに「魚介ピザ」に「明太子」「からすみ」まである(ちなみにカラスミは¥5,800なり)。
ぐるんぐるん悩んで、やっと決めたのは「野沢菜」と「ふきのとう」の組み合わせ。
丸めてあった生地を取り出し、あっと云う間に円盤状にして縁を整え、刻んだふきのとうや野沢菜を載せ、そんなにのっけてくれるの?ぐらいにモッツァレラをチギッテは投げチギッテは投げして、
釜に挿し入れ、待つこと数十秒。
釜に向かう背中の表情(?)で、あ、軽井沢にいたご主人とやっぱりおんなじヒトだと判る。
ミミのぽってりふっくらした円盤が届きました。
ヤッベー、スゲー、超ウマソー(大喝采)。
慌てて、でも一応ふーふーして、喰らいつきます。
野沢菜の酸味を含んだような風味とシャキとした食感が、ピザの生地とチーズのまったりに不思議とよく合う。胡麻のソースがいい挿し味になってます。
春の訪れの代名詞のひとつ、ふきのとうはその苦みがなんだかオトナのお味。こちらはアンチョビが補う塩ッ気がいい塩梅だ。うん、うまひ♪
がつがつっと一気喰いしたら、シメはやっぱりデザートですね。
デザートは、勿論、ピザ(笑)。
6月までは「いちご」がメインとなってます。
これがね、もうね、堪らないおいしさ。
弾ける苺の香りと甘さを練乳のようなコクが支えていて、それを生地の香ばしさで包んだ感じ。
この瞬間の醍醐味は、見定めて見定めて焼き立てを供してくれるから味わえるモノなんだね。いやはや、もう、なんつーか。いい。うまい。大満足。
余韻に浸っていたら、目の前の厨房の中へと突入していく女性がいる。
ん?関係者?ん?どこかでみたことあるゾ。
シャキシャキはきはきした娘さんに、だよね?と確認するとやはりそのようで、女優の木内みどりさんそのひとでありました。常連さんなのでしょうね。
まだまだ、気になるあたりが盛り沢山。
そして東京進出に感謝の「エンボカ」(ちなみに軽井沢も別のスタッフで継続中とのこと)。
またお邪魔せねばなりませんて!
口関連記事:
釜焼ピザ「enboaca」 で想定外の満足ピザ口から口へああ旨い(05年07月)
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