浜大津駅から上り坂の軌道をするするっと走る京阪京津線の路面電車は、そのままなんと地下鉄になる。
道路の上を走っていた車輌が地下鉄に化けるというのは、世界的にもそんな事例の多いものではないのじゃないかと思うのだけれど、如何なものでしょう。
そんなことを考えている裡に、ややスピードを上げて地下鉄東西線のトンネルを進んでいた電車が、京都市役所前駅のホームへと滑り込む。
久し振りにこの辺りを徘徊してみましょう。
河原町三条から寺町通りへ廻って、
いつぞやの「京都サンボア」の表情を拝み、
そのままずっと南下して、
ひと筋お隣の新京極のアーケードへ。「スタンド」と示すどこかノスタルジックな立体文字が、
行き交うひとの流れの向こうに見付かりました。
白の暖簾越しに中を覗き込むと、
ずっと以前に初めてお邪魔した時と同様、
ほぼ満席状態。ちょっと待ってねと、
奥のほうで一席を捻出してくれるの待つ間、
レジ近くの類さんの写真を眺めます(笑)。
案内いただいた椅子から入口方向を振り返り、
天井を見上げればまたそれもいい表情。赤銅色を天井や照明器具にもってくるなんて、
なかなかのセンスではありませんか。
席の正面の壁を見遣れば、
「かきフライ」の文字。しっかりめに揚がった「かきフライ」は、
いただいた麦酒にも勿論いいお供。
添えてくれたマヨネーズも、なんだかとっても似合います。
「すじ肉煮込み」はきりっとした仕立て。細かめに包丁を入れた蒟蒻にも味が滲みて、
いい合いの手を挿し込んでくれます。
両側からお客さんがぐるりと囲むテーブルのトップは、
長くお仕えしている風の大理石。グラスやお皿を置く瞬間にほんの少し気を遣う。
でもその、レトロな風合いが好ましい。
係りのお名前がしっかり刻まれた伝票も勿論、
どこか懐かしいテイストを保持しています。
お代わりのジョッキを角ハイにする。しっかりめの炭酸がキュッと利く。
ジョッキを口に傾けながら、壁の品札を物色します。
遠く入り口側の品札には、
南蛮漬、シュウマイ、ミックスフライ、ハムカツ、そしてオムレツ。刻んだハムをたっぷし含んだオムレツの、中はふんわり。
なんだかさらに心地よくなってきました(笑)。
新京極の有名酒場と云えば、
ご存じ「京極スタンド」の名が真っ先に挙がる。昭和の匂いを色濃く漂わすハイカラな大衆酒場は、
地元のひとと観光ちっくなひととが袖触れ合って、
きっと今日も混み合っている。
今度は複数名で訪れて、
こんもり盛られた「揚げそば」なんかもやっつけたいな(笑)。
「京極スタンド」
京都市中京区新京極通四条上ル中之町546 [Map] 075-221-4156
http://sutando.aa0.netvolante.jp/