どうやら同じ場所での再開は叶わなかったようで、銀座コアのお店にはまだ寄ったことがないなぁと思い起こします。
次に思い浮かべるのが、玉川高島屋の角地に付設のお店。
ニコタマセレブたちにもご贔屓筋となっている様子を垣間見た記憶が蘇ります。
そしてもうひとつ、品川駅高輪口の白い建物もまたすぐに脳裏に浮かぶ佇まいであります。
車道の広さの割りに舗道が狭いのがやや難の第一京浜に面した「つばめグリル」。斜め向かいには、そろそろ斜陽の気配の「麺達七人衆 品達」があり、その上の高架には京急の紅い車輌が覗きます。
夏至の頃、陽が伸びて心地いい夕方にお邪魔する。
入口を入って正面に立つと、ちょうど半地下のフロアのグリルが目に留まるレイアウト。居並んだ鋳物のプレートの上には、ハンバーグステーキらしきもの達が出番を待っています。
黒板には、本日のハンブルグステーキの牛肉生産者や豚肉の生産者名が示されてる。この日の牛肉は、指宿からやってきたもののようです。
既に賑やかな一階隅のテーブルに案内されてメニューを眺めましょう。
きっと、人気No,1なのは今も、アルミホイルで包んだグランドメニュー「つばめ風ハンブルグステーキ」なのでありましょね。でも、へそ曲がりが選んだのは、ハンブルグステーキのラインアップのひとつ「ジャーマンハンブルグステーキ」。
こちらにも、創業来半世紀の味と謳われています。
大振りなクルトンも印象的な「とうもろこしのクリームスープ」。コーンスープやんけ!と一瞬思うも(笑)、これがどうして、玉蜀黍のフレッシュさを思わせる、旨いスープでございます。
そして届いた「ジャーマンハンブルグステーキ」。「つばめ風」と違うのはまず、アルミホイルに包まれていないこと。
目玉焼きのっけ、なところも「つばめ風」との違いでありましょう。
ホクホクのジャガ芋をハフハフと半分ほどいただいてから、目玉焼きの黄身を目掛けてビーフシチュー的ドミグラ系ハンバーグソースをどどっと流せば、ああシズる。丁寧な仕込を思わせるソースに赤身と脂のバランスのとれたパテが、パサ付くでも脂ぎるでもなく、真っ直ぐに旨味を伝えてきます。
素直に旨いね、美味しいね。
夕闇迫る別の時間。点したサインの灯りが効果を発揮し始めています。
今度は、螺旋階段を上がる二階へと案内されて「ERDINGER」。エルディングの町のヴァイス・ビアは、ミュンヘン空港にある「Käfer」でいただいて以来のことかも。
「Käfer」では、如何にも白ビールらしい香りに感嘆した覚えがあるのだけど、そんな香りが控えめに思うのはなんの加減でありましょか。
嬉しくも、半分でサーブしてくれるというので「ロメインレタスのシーザーサラダ」。ここにも登場する、自家製と思われる大振りクルトン。
ロメインレタスの魅力が十分に活かされていて、感心頻りであります。
ビールのお供といえば、やっぱり「自家製ソーセージの盛り合わせ」。決してミュンヘンの居酒屋でいただくものと比べてはいけません(笑)。
あ、白ソーセージの用意があったりするとより愉しいのであるけれど、なかなかそうは参りません。
ふたたびハンブルグステーキというのもなんなのでと選んだのが「ブイヤベースのおじや」。みんな〆のおじやが食べたくてブイヤベースを食べていませんか!とそんな風に告げられている気分(笑)。
グツグツの中から小海老や鱈や帆立などの魚介が顔を出す。どんな魚介でスープを採っているのかは判然としないけれど、しっかりとそんな出汁の滲むおじやにお腹も和みます。
後半になってから、添えてくれていたガーリックソースを投入すれば、ますます堪らん感じに昇華するのです。
その創業1930年(昭和5年)と80余年の歴史を刻む洋食「つばめグリル」の品川駅前店は、品川プリンスの壁の前。Webサイトによると、アルミホイルで包むスタイルで「つばめ風ハンブルグステーキ」が誕生したのは1974年(昭和49年)のことだそう。
「つばめ」の名はやっぱり、嘗て東海道本線を走っていた“特急つばめ”なのですね。
「つばめグリル」 品川駅前店
港区高輪4-10-26 [Map] 03-3441-0121 http://www.tsubame-grill.co.jp/