ザルツブルク一番の目抜き通り、ゲトライデガッセGetreidegasseに入り込み、通りの両脇を飾るショップのサインについての解説をしてくれた。
その昔、通り沿いの店々は大抵重い木戸で入口を閉ざすような造りで、その扉を開いて中を覗かないことにはその店が何を売っている店なのか判らない状態だったそう。
そこで店先にサインを掲げるようになったのだけれど、当時文字を読めない人が少なからずいたために、店の商売を彫金に表して示すようにしたという。
その名残りが通りを優雅に飾る金物細工のサインになったのだ。
今は、硝子越しに中を覗ける店がほとんどだけれど、そんな経緯がルール化されているのか、マクドナルドも彫金の中に小さな”M”を提げるに留めています。
で今回は「サウンド・オブ・ミュージック」のロケ地を巡る午前の部と午後の部の両方に参加することにしました。
午前9時前、ミラベル宮殿近くの「PANORAMA TOUR」に集合した参加者の皆さんと一緒にワンボックスカーに乗り込みます。seppガイドが駆るクルマは、新市街を離れてホーエンザルツブルク城の裏手方面に回り込む。
ノンタルNonntal方面から見上げるお城は、旧市街から眺めるものとは表情が違って裏側という印象も抱かせます。
岩山の天辺に構えた城が立派な要塞過ぎたのか、はたたまたまそんな時流でなかったのか、一度も攻め込まれたことはないそうです。
そのまま辿り着いたのは、大振りな池の畔。対岸に見えるのが、トラップ家屋敷のロケ現場として使われたレオポルツクロン宮殿Schloss Leopoldskron。
どうやら部屋内や外観がバッチリ映る撮影ではなかったようで、池畔からはこんもりとした木々に隠れている別館の庭先から池に向かってカメラを向けていた模様。
セミナーハウスとして使用されている宮殿は最近、一部をホテル客室として、宿泊することも可能となっているようです。
ふたたび乗り込んだクルマの車窓からは、草原の向こうにフローンブルク宮殿の建物を望む。
そして、ヘルブルン宮殿へと至るヘルブルン・アレーは、ずっとずっと真っ直ぐに伸びる、両側を木立に囲まれた素敵な一本道。山吹色の壁に沿って進む先にあるのがヘルブルン宮殿。
でもseppガイドはそちらには向かわずに、石の彫刻のエンブレムが飾られた門の中へ。
そこには「サウンド・オブ・ミュージック」を観たことがある人は誰もがこう唄う光景が待っていました。♫ I am sixteen, going on seventeen
Innocent as a rose…
元来、レオポルツクロン宮殿の庭園にあったものが、こちらに移築されたものだそうだ。
さあ、記念写真を撮りましょう(笑)。
午後からはザルツカンマーグート方面への「サウンド・オブ・ミュージック」所縁の地ツアーに参加。
ツアーから帰還後、今度はそのままタクシーに乗り込んで、住宅地のレストランへ。レストランの前の通りは、Leopoldskronstraße。
そう、レオポルツクロン宮殿も間近なエリアにまた戻ってきたのです。
常連のsepp先生にセッティングをお願いした「STRASSEWIRT」。奥のテーブルに陣取って、メニューを開きましょう。
まずは食前酒にいかがでしょうとご提案をいただいたのは、自家製というリンドウのシロップを入れた発泡ワイン。ほんのりと青っぽい香りが漂う感じは悪くないものの、うん、甘い(笑)。
シロップを半分くらいにしてくれたらより素敵なアペリティフになったかもしれません。
バスケットのパンと一緒にバターやリエットなど。フレッシュな印象のリエットが美味しくて、これだけで何枚もパンが食べれてしまいそうだと自重します(笑)。
laraさんがコッチと選んだくれたのは、ERICH & WALTER POLZの「Weissburgunder 2014」。その名の通りピノ・ブランを醸したワインは、すっきりとして柑橘系の香る美味しいワイン。
グラーツGrazの南方、スロベニアとの国境沿いのワイナリーからやってきらものらしい。
ひとつ憶えに(笑)、オランデーズソースでいただくシュパーゲルをと思うも、あ、スープもあるねと「spargelschaumsuppe」。泡立てて空気を含んで軽やかなスープに白アスパラガスの豊かな香りと鮮烈な旨味が籠もっていて、いやはや旨い。
記憶に残るひと皿であります。
laraさんや同席してくれた在ドイツのヴァイオリン奏者エリカさんのチョイスは「Gebackenes Ei」。つまりは揚げ焼いた玉子。
半熟玉子フェチの日本人としては(笑)、ほんのもう少し微妙に火の入りが少ない状態が望ましいような気もするものの、なんだか旨そう。
laraさんもエリカさんも、うんうん頷いておりました。
散々悩んだ挙句メインに選んだのは「Gebratene Kalbsnierndl」。つまりは、仔牛の膵臓。
仔牛の膵臓ってばなかなかいただける機会もないもなぁ、とそんな魂胆から選んだお皿なのだけど、残念ながらこれがなかなかにクサい。
濃い目のバルサミコソースもなんのその(笑)。
モツ煮込みモツ焼き大好き、豚骨ラーメン大好き、発酵系も大好きで、広い意味で”くさいはうまい”と思っているのですけれど…。
常連seppさんが別の日に召し上がった時にはくさみなんてほとんど感じられなかったようなので、タイミングが悪かったと思わざるを得ません。
どろんとした赤ワインを合わせたりしたら違ったかな。
素直にシュパーゲルにしておくべきだったかもしれません(笑)。
途中から、めちゃくちゃ日本語が堪能でびっくりのシャンタールさんや後日日本でもお会いすることになるモーツァルテウム管弦楽団ヴァイオリン奏者マルティンさんやその奥様の同首席ハープ奏者ドリスさんも合流して賑やかなテーブルに。ただ、時差ボケ絶好調に至り、いただいたスフレの味をよく憶えていないのです、ゴメンナサイ。
レオポルツクロン宮殿も間近なエリアの住宅地にあるレストラン「Strasserwirt シュトラッサーヴィルト」。知るに連れ居心地のよさが倍化しそうな、そんなところがseppさんを常連にしているのでしょう。
常連といえば、お気に入りかつシャンピニオンフライが絶品だった、サンクト=ユリエン通りの角の店「STEIRISCHE WEINSTUBEN」が閉めてしまったという悲報をここでまた思い出しました。
「Strasserwirt」
Leopoldskronstraße 39, 5020 Salzburg [Map] +43 662 826391
http://www.zumstrasserwirt.at/