ホールのオバちゃん達に微妙に仕切られながら入れ込みの狭い椅子に座っていただく臨場感もなかなかの醍醐味のひとつ。
二階の座敷で呑る宴会もオツなもの。
ご近所にある「三洲屋」一丁目店での一献もまた悪くないものでありますね。
その一方、JRの蒲田駅前には本店と示す「三洲屋」がある。
欧州から羽田に到着したばかりの方を連れて蒲田駅前のこちらへ直行!なーんてことがある(笑)。
でも、じっくり一杯やっつけることが今までありませんでした。
「三洲屋本店」と灯りを点す白鶴提供の看板を横目に暖簾を払う。おひとりさまは、右手のカウンター席が似合います。
気分は「ホッピー」かなと、中身とのセットを貰う。グラスには勿論、キンミヤのマークが記されています。
ホワイトボードから、まずは早速「かきフライ」。3ヶか5ヶの選択肢もちょと嬉しい。
今や身近な都市伝説と化した(笑?)、銀座「三洲屋」のそれと比べたりなんてことはせず、素の気持ちで齧り付く。
うんうん、一抹の臭みもなく、澄んだ滋味にぐっとくる。
はい、美味しゅう御座います。
続いて正面の壁に貼られた短冊のひとつから「鳥豆腐」。間違いなくソソる感じは銀座の店に軍配だけれど、これはこれで文句はないぞとホッピーのグラスを追いかけます。
「茄子のしぎ焼き」ってのにもお供になってもらいます。しぎ焼きってのは、鴫焼きと書くようで、つまりは茄子の味噌田楽の別称であるらしい。
名古屋的濃いぃ系味噌がたっぷり載せられていて、濃密な食べ口でありました。
ホッピーの中身、ください(笑)。
なんやかんやでひと心地ついたので、お食事で〆ようと試みる。
ホワイトボードから「鰤のあら煮」を選んで、ご飯と味噌汁を添えてもらいます。醤油タレがこっくりと滲みたブリあらの身が甘く解ける。
うーん、贅沢な晩御飯であります。
改めて壁の短冊を眺める別の夜。さてどの辺りのから攻めましょか(笑)。
まずはホワイトボードに書かれたその日のお造りから「しまあじ刺身」。
ほんのり桜色の皮目を愛でつつ山葵を載せる。しっとりとした旨味がじわじわっと舌にのってきます。
こりゃ熱燗が欲しいとお銚子をもらう。徳利には「活魚 三洲屋」の文字。
ホワイトボードのその日メニューがその一端とお見受けします。
かきフライに並び書かれた「かき塩焼き」に惹かれてみる。
特に強く塩を利かせた訳でもなく、牡蠣が自身の中に含んだ塩分で焼いた感じ。うん、美味い。
広島の牡蠣ですかと訊くと、いえ長崎あたりですとお兄さん。
九十九島だったりするのでしょうか。
今日もご飯で〆ようと、今度は「若鳥唐揚げ」を所望する。赤出汁とご飯を添えて大満足の夕餉でありました。
蒲田駅前に本店の冠抱いた大衆割烹「三洲屋」がある。銀座や神田、八重洲など、三洲屋の系譜に詳しくないものの、ここも他に負けない気風があるとそんな風に思います。
「三州屋本店」
大田区蒲田5-11-10 [Map] 03-3731-5647