
物凄く久し振りに走る首都高新宿線。
そのまま高井戸から中央道へとのんびり。
調布辺りで渋滞も予想されたけど、
割とすんなり八王子ジャンクションまでやってきた。
其処から圏央道へと逸れて、ちょと北上。
西八王子インターで高速を出る。
そうそう、この6月に圏央道が東名に繋がって、
伊豆に行くのもとっても便利になった筈だね。
インターから秋川街道を下り往く。
橋上から見下ろす秋川渓谷の川原では、
愉しそうにバーベキューに勤しんでいる様子が映ります。
道に沿ってヘアピン切れば、檜原街道に合流する。
そこまで来れば、武蔵五日市駅はもう間近だ。
駅前のロータリーを通り過ぎて、
五日市線の高架を潜る手前右方向に脇道がある。

その角に目的地の看板と幟を見つけました。
自家農場・自家栽培、地元のうどんとそば。
そう謳う立看板の先に一軒の平屋が見える。

民家を改装したというよりは、そのために設えた様子も窺える家屋に、
「初後亭」の白い暖簾が掛かっています。

暖簾の脇には、「ただ今満席です」と知らせる立て札。
作り置きをしないので、30分以上お待ちいただくことと存じます、と続く。
ま、でも、ひとまず入ってみましょうか。

ちょうど入れ替わるように家族連れがお会計中。
こんにちは、と訪ねた店内は、山荘のエッセンスを醸していて、
天井板を省いた空間はゆったりとしています。
隅の座卓の座布団に腰を下ろしました。

お品書きには、謳い文句の通り、
自家栽培の饂飩に自家栽培の蕎麦。
饂飩には、温かいもの、冷たいもの、
そして「名物引きずり出しうどん」が載っている。

注文を受けてから湯掻くので、のんびり待とうというところへ、
切り干し大根の煮物の小皿が届きました。
ご注文は「肉汁もりうどん」に「季節の茹で野菜」の”まし”で。

青菜に甘藍、人参に大根の彩りが鮮やかに映ります。
やや灰褐色を帯びた手打ちのうどん。

手打ちするだけでもなかなかの労力なのに、
それが自家栽培の小麦であるなんて、なんだか気が遠くなるよな凄いこと。
自家栽培した蕎麦を打つという話に触れることがあっても、
自家栽培した小麦粉で饂飩を打つというお店には出逢ったことがなかったもの。
今も農林61号を栽培しているのかなぁ。

そんなことも考えながら啜るうどんには、ぐっとくる適度な噛み応えと素直な粉の旨味。
讃岐うどんが一番だと思ってらっしゃる方にはぴんとこない醍醐味を思います。
ただ、残念なのが汁の仕立て。

久米川辻の「ますや」同様、つけ汁としては、
出汁もかえしも弱い感じが否めない。
確かに、塩分摂取も気になるお年頃(笑)。
うどんの生地にも塩分を含むので、七味なぞで輪郭を加えるのも一手ですが、
もう少しきりっとふくよかな汁にしてくれるとより美味しくいただけると思います。
“まし”の野菜も自らの手によるものらしい。

武蔵野うどんのお店では、”糧”と呼ぶ具を此方では、
“まし”と呼んでいるのが面白い。
シャキシャキした歯触りに、採れ立ての瑞々しさを思います。
そして、「初後亭」の特長のひとつが、名物「ひきずり出しうどん」。
それはつまりは、土鍋で出てくる釜揚げうどん、といったところでしょうか。
熱々の土鍋の湯からうどんを引きずり出して、器に受け、
鰹節と醤油をかけていただくもののようです。

そしてそして、夏場には蕎麦メニューがない模様。
新蕎麦が採れる前の時季なので、それは特段不思議なことではありません。
駐車場の向こうには、沢が流れていて、さらさらとした音が微かに聞こえる。

レールが軋む音に振り返れば、高架をオレンジラインの電車が滑ってゆきます。
ホームページに、
「初後亭をつくる理由」と題するページがある。
現在、都市部に限らず農業の危機が叫ばれています。
それは、後継者に恵まれずに来た結果、
土地を耕す人が居なくなってしまうと言う危機感です。
一生懸命生産し出荷しても、全国一律的な市場価格に左右され、
出荷までどんな手間や材料費、機械設備費がかかっても、
どんなに新鮮で美味しくても、
全国で決められる市場価格それ以下の値段なのです。
ひどい場合、耕作面積の広大な外国とも価格で競わされることになります。
そういった状況では、一般の農家に「がんばろう」という気持ちが失せてしまい、
後継者が少なくなるのも頷けます。
どうしたらよいでしょう。

その答えのひとつは農業に付加価値がつけられないかということです。
消費者としての私たちは、農家で生産したてのものを食べられないかと考えています。
例えば、農家直営の「お握り屋さん」や「お弁当屋さん」、
「手焼き煎餅屋さん」などがあったら美味しそうです。
なぜなら使用している食材が新鮮だったり、銘柄が「信頼がおけそう」だからです。
ひるがえって、わが街あきる野を考えるとき、
あきる野の農産物をそのまま食べさせてくれる施設や料理店は1軒もありません。
農産物に「料理するという付加価値」を付ける場として、
消費者が望む食材を使った料理店として、
私たちは初後亭を開店しなければならないと思います。(以上抜粋)
うどんを打ち始めてから開店まで約20年を要したという。
地元の農作を紡いでいくための手立てを真っ直ぐ実践されていることに、
敬意を表します。
あきる野の自家農場で自家栽培した小麦と蕎麦を地元の技で供する、
旬菜果実処「初後亭(しょうごてい)」。

会計時にご主人に訊ねると、
ハツゴと書いて、ショウゴと読むのだそう。
字地名を最近使わないので、若い人は知らないが、
この辺り一帯の地名が初後。
畑もこの地にあることもあって、店名に相応しいと名付けたそうです。
口 関連記事:
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「初後亭」
あきる野市三内字初後 (三内223) [Map] 042-596-0541
http://www.gws.ne.jp/home/shogotei/
column/03479